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コラム2022年12月30日

STEM(ステム)教育と経験学習

21世紀型の新しい教育「STEM教育(ステムきょういく)」が世界各国で導入され始めています。
STEM教育は、子どものうちからロボットやIT技術に触れて「自分で学ぶ力」を養う新しい時代の教育方法といえるものです。

アメリカや新興国では何年も前から導入され、国主導の教育カリキュラムとして実践されているSTEM教育。具体的にはどのような教育方法なのでしょうか?また、似たような言葉のSTEAM教育(スティームきょういく)とはどう違うのでしょうか。そして、海外と比べた日本のSTEM教育の現状は?

 

STEM教育とは何か】

STEMの意味は、

Science(科学)

Technology(技術)

Engineering(工学)

Mathmatics(数学)

のそれぞれの頭文字を取ったもので、これらの分野の教育に重点をおいて
科学技術に精通する人材の育成を目的に注目を浴びるようになったとされています。

 

STEM教育の特徴】
STEM教育の特徴は、4つの教育分野を横断的に学ぶこと、実践力を重視すること、
そしてアクティブラーニング(生徒の主体的な授業への参加をうながすもの)と大きく3つに分類されます。

 

特徴14つの教育分野を横断的に学ぶこと
これまでの教育方法では、各分野を別々に学ぶ縦割りの教育が主流でした。しかし、これではさまざまな分野に跨る問題を解決する力が養いづらい点が弱みのひとつでした。STEM教育では、4つの分野をそれぞれ連携させて横断的に学習することで、より柔軟な思考を養い、複雑な問題にも対処できる人材を育成していきます。

 

特徴2:実践力を重視すること
STEM教育では、従来の教育システムのように受動的な授業ではなく、体験型・創造型の能動的な教育を行います。この教育システムにより実践力が培われます。

 

特徴3:アクティブラーニング
体験型・創造型の授業では、子どもたちが課題に直面したときに自分たちの力で工夫して課題を解決します。これにより、主体的に学ぶことができるようになります。

STEM教育ではこれらの3つの特徴を活かして、自発的に学んで創造したり、表現して問題を解決する能力を身につけたりすることが目標とされています。

 

STEM教育・STEM人材が求められている理由】

・日本の課題

イギリスの人材紹介会社のヘイズに、日本は以下のように評価されています。

“「日本では、技術が進化するスピードに人材のスキルが追い付いていない状況で、
AI技術者や自動運転技術者など、世界で開発競争が繰り広げられている最先端分野における人材不足が最も深刻な状況です。」”

そして、「STEMスキルをもつ人材が益々求められる」 「日本では、一つの専門分野を深く追求することがよしとされる傾向がありますが、世界的に、企業が人材に求めるスキルはますます複雑化、多様化しています。 語学やビジネススキルなど、現在の専門分野に加えていくつかの専門分野を併せ持つ人材が今後ますます必要とされる」 と予想されています。

実際、近年ではアメリカのように世界に名を馳せるような新しい企業が日本からはあまり出ていません。 科学技術開発に乗り遅れない人材を育てるためにSTEM教育が必要とされています。

 

・将来の人材育成
今後、他分野の知識をベースに持つジェネラリストが必要になるとされています。 

「理系というとスペシャリスト、一つのことを極める!」というイメージが強いのではないでしょうか。もちろん、そのスペシャリストは依然として必要です。

しかし、IT社会となった今、ベースとして総合的な理系の知識を持った上で仕事ができるジェネラリストが求められつつあるのも事実です。

 

STEM教育の課題】

STEM教育には課題も残っています。 

例えば、STEM教育を行う高校では積極的にIT技術を活用していましたが、
日本の高校全体を見るとIT環境の整備状況は道半ばの状況です。
特に、ある九州の高校でのパソコン利用は、生徒による持参の推奨であり、
生徒全員への販売や貸し出し利用ではないようです。
昨今のコロナウイルスの流行による長期間の学校休校で教育における
IT環境の重要性が浮き彫りとなったので、今後さらなるIT環境整備の加速が期待されます。

また、教える側のSTEM人材の確保も急務になっています。

例えば、大学教授による講座の提供は、大学附属という特徴を活かしたSTEM教育の1つの施策です。
ただ、全国規模で見てみると、まだまだ大学教授などの
STEMの分野の専門的知識を持った人材との連携は活発ではないようです。
今後は、高校や大学、企業などの機関を超えた連携の推進がより一層重要になってくるでしょう。

さらに、STEM教育の根幹部分である様々な学問分野の融合をどのように進めていくかも、
今後さらに検討される必要があるでしょう。
現在のところ、数学と理科など学問分野の近しいものの融合が多く見られますが、
例えば工学と社会や国語など、従来は個別に学ばれてきた学問分野の融合による化学反応が期待されます。

 

【まとめ】

ここまで日本におけるSTEM教育の課題について触れてきましたが、
高まる科学技術人材への需要に対して、日本ではまだまだSTEM教育が広く普及していません。

今後、STEM教育を保護者が子供の教育機関を選ぶ際の1つのポイントになり、
さらにはどこの教育機関であってもSTEM教育が標準的に受けられるようになることが、
日本で科学技術人材を増やすにあたって必要になっていくでしょう。 


弊社、株式会社NEQLIASでは、研修プログラムを用いてこのSTEM教育に携わっております。
優秀なファシリテーターが複数在籍しておりますので、実際どのような研修プログラムなのか、気になりましたらお気軽にお問い合わせ下さいませ。