ICT教育時代におけるコミュニケーションスキル
【ICTとは】
「ICT」とは、
Information and Communicaton Technologyの頭文字で、
日本語では「情報通信技術」となります。
IT業界、IT人材、IT技術といった「IT」という言葉をよく耳にしますが、
このITとはInformation Technologyの略で、
パソコンのハードウェア、アプリケーション、インターネットなど「情報技術」を指します。
つまり、「情報通信技術」であるICTは、コミュニケーションを取るための情報技術のことを指しています。
情報技術そのものではなく、技術を用いた情報の伝達に重きを置いている言葉です。
そのため「ICT教育」とは、パソコンやタブレット、インターネットなどの情報通信技術を活用してコミュニケーションを取っていく教育方法を指します。
また、ICT教育は文部科学省が特に力を入れている分野で、
小学校~大学まで全国の学校でICTを活用した教育が推進されています。
【ICT教育の現状】
今回、文部科学省の「平成30年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」をもとに紹介していきます。
またこの調査は、全国の公立学校(小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)を対象としています。
・教育用コンピュータの普及状況
教育用コンピュータとは、調べ学習などの際に生徒が使用できるコンピュータを指します。
平成31年度の教育用コンピュータ1台あたりの平均児童生徒数は5.4人です。
この値は年々低くなっており(平成30年度:5.6人、平成29年度:5.9人)、コンピュータの普及台数が増えているように思えます。
しかし、実際は児童生徒数が年々少なくなっており、コンピュータの台数はほとんど横ばいの状態です。
・ネットワーク整備率
平成31年度の普通教室の無線LAN整備率は40.7%で、平成29年度以降年々向上しています(平成30年度:34.5%、平成29年度:29.6%)
有線LANなどを含めた校内LANの普通教室の整備率は89.6%です。
今後生徒1人1台タブレットが支給されるようになると、無線LANの整備はますます求められます。
・普通教室の大型提示装置整備率
大型提示装置とは、電子黒板やプロジェクタ、デジタルテレビ等を指します。
平成31年度の普通教室の大型提示装置整備率は51.2%です。
平成30年度まで電子黒板の整備率のみを調査しており、その結果は
平成30年度:26.8%
平成29年度:24.4%
です。
【ICT教育の課題】
日本におけるICT教育の現状から、学校現場のICT環境は年々充実してきているものの、まだ道半ばといった状況なのです。
現在の日本におけるICT教育の課題としては、
・地域間の格差
・教員のICT活用指導力
の2点を挙げ、説明していきたいと思います。
・地域間の格差
現状のICT環境で、地域間での格差が出てきています。
教育用コンピュータの普及率を見ると佐賀県では1.8人/1台であるのに対し、平均値は5.4人/1台、最も低い愛知県では7.5人/1台となっています。
このように、ICT教育に多くの財源を割いている地域とそうではない地域で差が生じています。
ICT機器の中にはかなり高価なものも含まれるため、財源の厳しい地域では導入が進みにくいのは課題と言えるでしょう。
・教員のICT活用指導力
現在教壇に立つ多くの教師は、ICTを活用した授業を受けたことがありません。
そのため、授業のどのような場面でICTを活用すればいいのかわからないと感じる教師も少なくないようです。ICTの活用に慣れておらず操作方法がわからないといった声も多く聞かれます。
更にICTは技術進歩が速いため研修だけでは不十分な状況も多くあります。
実際にICT活用をサポートしてくれる外部専門家やICT支援員の導入などが求められています。
【ますます重要視される個のコミュニケーションスキル】
「ICT教育」は、今後も更なる進化を遂げていくことは間違い無いです。
ですが実際、調べてみると地域での格差があったり、教員による指導の差も出てしまいます。
また、様々な機器を利用して便利になると、人とのコミュニケーションの機会が失われていきます。
SNSでコミュニケーションを取っていると思われている方がいるのであれば、それは間違いと言えます。
もし、しっかりとコミュニケーションが取れているのだとすれば、
オンライン授業での学力の低下および退学率の増加や、企業の在宅ワークによる売り上げの低下などは起こり得ないはずです。
やはり対面でのコミュニケーション能力の低下は様々な場面においてマイナス要素となります。
今後、さらに便利になるからこそ各個人のコミュニケーションスキルは今まで以上に求められるのではないでしょうか。
「人と話す」ということから、少しの期間でも離れて過ごしてきた今の人たちが、
不安を抱えどうすれば良いのか迷われている状況です。
教育現場において、この状態の生徒たちをそのままにしておくわけにはいかないことは、
どの教員の方も理解できるはずです。
学生時期というのは、コミュニケーション能力の開発時期で、コミュニケーション上において、失敗する機会が少なくなる、同年代の未熟な仲間とぶつかって考える機会が少なくなるということで、思春期以降のリアルなコミュニケーション能力の発達に不安が生じてしまいます。
【まとめ】
今後を良くする「ICT教育」ですが、その裏にはコミュニケーションスキルの低下という不安要素は拭いきれません。
弊社、株式会社NEQLIASには優秀なファシリテーターが在籍しており、この「コミュニケーションスキル」に重点をおいた研修プログラムを行なっております。
現在、60校以上の学校と、複数の企業様の「コミュニケーションスキル」の向上をはかるため各学校様、企業様に合わせてオーダーメイドの研修プログラムを実施させていただいております。
今後の「ICT教育」をうまく活用するために気になりましたらお気軽にお問い合わせください。