コラム2023年1月4日

探究学習

2020年から小学校、21年から中学校、22年から高等学校で新しい学習指導要領がスタートしています。その中では、子どもたちが自ら未来を切り開いていく力を育むことを掲げ、「主体的・対話的で深い学び」を実現することを目指しています。

そこで重視されているのが「探究学習」です。

学校の先生も保護者も自分たちの時代にはなかった教育ゆえに、正直わかりにくいという声も多いです。なぜ「探究学習」が、そんなにも重視されているのでしょうか。


【改めて探究学習とは】
 

探究学習は、自ら問いを立てて、それに対して答えていく学習です。 

教科における、教師が立てた問いを生徒たちが正解を探すのではなく、自分自身で問いを立てて、その答えを出したいという「探究心」を大切にして、学習を進めていく方法です。

そのため、「生徒の主体性」をいかに引き出せるかが重要なキーワードになってきます。

小学校や中学校では「総合的な学習の時間」の科目、高等学校では「総合的な探究の時間」などの科目において、探究学習を導入した授業が行われています。

生徒が未来社会を切り拓くための資質・能力の育成のため、探究学習の課題解決のプロセスを繰り返し行うことが大切ではないかと考えます。

 

【探究学習の進め方・流れ】

探究学習の基本的な進め方・流れは以下のとおりです。 

<探究学習の流れ>

  • 課題(テーマ設定)
  • 情報の収集
  • 整理・分析
  • まとめ・表現

まずは特定のテーマを決定し、関連する情報を収集します。集めた情報を整理・分析したうえでまとめ、発表するのが基本的な流れです。このサイクルを何度も繰り返すことにより、生徒は多くの学びを得ることができます。

 

【探究学習におけるテーマ設定の重要性】
生徒は「自分事」として考えられる話題(課題)であれば、真剣に取り組むようになります。生徒にとって必要なテーマを与えることが探究学習の肝となるため、テーマ設定は極めて重要です。

文部科学省による「高等学校学習指導要領」にも、「必要に応じて、単元の総時数の3分の1程度を当てることも考えられる」という記述があります。その後の学習を実りあるものにするためにも、テーマ設定は最重要項目と考えましょう。

 

【探究学習のテーマは誰が決めるのか】

探究学習のテーマは先生が決めるか、生徒が決めるかの二者択一です。

主体性を養うことが探究学習の目的であるため、可能な限り生徒がテーマを決められるようにすると良いでしょう。

しかし導入期には先生がサポートしたほうがスムーズです。
ここからは、決め方の基本を3項目に分けて解説します。

 

・先生が決める

生徒の主体性を養うことが探究学習の主な目的である以上、テーマは生徒自身で決めることが理想的です。しかし、現実的にはすべての生徒が自主的にテーマを決めることは難しく、特に導入期は生徒も混乱しがちなため、先生がテーマを決めても良いでしょう。

先生がテーマを決める場合、あらかじめ用意していた指導要領を生かし、先生が得意な分野・話題をテーマに設定できるところもメリットです。クラス全員に同一のテーマを与えられるため、評価するときの負担を減らせるところもメリットといえるでしょう。

 

・先生が選択肢を与え、生徒が決める

先生がいくつかのテーマを提案し、その中から生徒が好きなテーマを決めるパターンです。指導のしやすさと生徒の楽しさの両方を追求できるところがメリットの折衷案で、多くの学校が取り入れている手法です。

 

・生徒が決める

先生は基本的にタッチせず、生徒自身がテーマを決める手法です。生徒自身が強く興味を持っているテーマを使って学習できるため、生徒のモチベーションを高められます。一方で多種多様なテーマが出現することが予想され、教師の負担が増す可能性があります。

 

【日本の教育現場で探究が広がりにくい理由】
日本の先生たちは、今回の教育改革や探究的な学びについてどう受け止めているのでしょうか。
意見として上がってきたのは、

「探究的な学びが実践できている学校とできていない学校が二極化している」

「小学校では20年前から総合学習をしているから、それが探究だが、やることが多すぎて後回しの日々。コロナ禍で外にも出かけられない」という悲痛な声でした。

 それでも、ICTを活用して学び合いをしたり、地方の学校や海外の人とつないで授業を行うなど、今だからできることで探究的な学びを進めている公立小学校もあります。

 ある母親は、「学校が変わるには時間がかかることもわかる。でも理想論かもしれないけれど、一人ひとりの子どもたちの自主性を尊重するそんな教育が広がってほしいと思うし、まず私自身がそうありたい」と言う意見も出されました。
大きなシステムを変えるのは難しいけれど、探究は家庭で十分できます。


【まとめ】

18年に小学校に入学し、子どもが成人として社会に出ていくことになるのが30年。
子どもたちは、現時点で開発されていない技術を使い、今は存在していない仕事に就き、
多様な価値観を持つ海外の人と交わって生きていくことになります。 

その子どもたちが、自分で幸せな未来を切り開いていけるように、できない理由を並べるのではなく、できることから始める。そして、いい事例やグッドニュースがどんどん広がっていってほしいと心から思います。


弊社、株式会社NEQLIASでは、海外において教育業界でマストとなる優秀なファシリテーターが多数在籍している企業です。
探究学習の重要性や必要性を改めて知っていただき、新たにスタートしていけるようサポート致します。
もしご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

コラム2022年12月30日

STEM(ステム)教育と経験学習

21世紀型の新しい教育「STEM教育(ステムきょういく)」が世界各国で導入され始めています。
STEM教育は、子どものうちからロボットやIT技術に触れて「自分で学ぶ力」を養う新しい時代の教育方法といえるものです。

アメリカや新興国では何年も前から導入され、国主導の教育カリキュラムとして実践されているSTEM教育。具体的にはどのような教育方法なのでしょうか?また、似たような言葉のSTEAM教育(スティームきょういく)とはどう違うのでしょうか。そして、海外と比べた日本のSTEM教育の現状は?

 

STEM教育とは何か】

STEMの意味は、

Science(科学)

Technology(技術)

Engineering(工学)

Mathmatics(数学)

のそれぞれの頭文字を取ったもので、これらの分野の教育に重点をおいて
科学技術に精通する人材の育成を目的に注目を浴びるようになったとされています。

 

STEM教育の特徴】
STEM教育の特徴は、4つの教育分野を横断的に学ぶこと、実践力を重視すること、
そしてアクティブラーニング(生徒の主体的な授業への参加をうながすもの)と大きく3つに分類されます。

 

特徴14つの教育分野を横断的に学ぶこと
これまでの教育方法では、各分野を別々に学ぶ縦割りの教育が主流でした。しかし、これではさまざまな分野に跨る問題を解決する力が養いづらい点が弱みのひとつでした。STEM教育では、4つの分野をそれぞれ連携させて横断的に学習することで、より柔軟な思考を養い、複雑な問題にも対処できる人材を育成していきます。

 

特徴2:実践力を重視すること
STEM教育では、従来の教育システムのように受動的な授業ではなく、体験型・創造型の能動的な教育を行います。この教育システムにより実践力が培われます。

 

特徴3:アクティブラーニング
体験型・創造型の授業では、子どもたちが課題に直面したときに自分たちの力で工夫して課題を解決します。これにより、主体的に学ぶことができるようになります。

STEM教育ではこれらの3つの特徴を活かして、自発的に学んで創造したり、表現して問題を解決する能力を身につけたりすることが目標とされています。

 

STEM教育・STEM人材が求められている理由】

・日本の課題

イギリスの人材紹介会社のヘイズに、日本は以下のように評価されています。

“「日本では、技術が進化するスピードに人材のスキルが追い付いていない状況で、
AI技術者や自動運転技術者など、世界で開発競争が繰り広げられている最先端分野における人材不足が最も深刻な状況です。」”

そして、「STEMスキルをもつ人材が益々求められる」 「日本では、一つの専門分野を深く追求することがよしとされる傾向がありますが、世界的に、企業が人材に求めるスキルはますます複雑化、多様化しています。 語学やビジネススキルなど、現在の専門分野に加えていくつかの専門分野を併せ持つ人材が今後ますます必要とされる」 と予想されています。

実際、近年ではアメリカのように世界に名を馳せるような新しい企業が日本からはあまり出ていません。 科学技術開発に乗り遅れない人材を育てるためにSTEM教育が必要とされています。

 

・将来の人材育成
今後、他分野の知識をベースに持つジェネラリストが必要になるとされています。 

「理系というとスペシャリスト、一つのことを極める!」というイメージが強いのではないでしょうか。もちろん、そのスペシャリストは依然として必要です。

しかし、IT社会となった今、ベースとして総合的な理系の知識を持った上で仕事ができるジェネラリストが求められつつあるのも事実です。

 

STEM教育の課題】

STEM教育には課題も残っています。 

例えば、STEM教育を行う高校では積極的にIT技術を活用していましたが、
日本の高校全体を見るとIT環境の整備状況は道半ばの状況です。
特に、ある九州の高校でのパソコン利用は、生徒による持参の推奨であり、
生徒全員への販売や貸し出し利用ではないようです。
昨今のコロナウイルスの流行による長期間の学校休校で教育における
IT環境の重要性が浮き彫りとなったので、今後さらなるIT環境整備の加速が期待されます。

また、教える側のSTEM人材の確保も急務になっています。

例えば、大学教授による講座の提供は、大学附属という特徴を活かしたSTEM教育の1つの施策です。
ただ、全国規模で見てみると、まだまだ大学教授などの
STEMの分野の専門的知識を持った人材との連携は活発ではないようです。
今後は、高校や大学、企業などの機関を超えた連携の推進がより一層重要になってくるでしょう。

さらに、STEM教育の根幹部分である様々な学問分野の融合をどのように進めていくかも、
今後さらに検討される必要があるでしょう。
現在のところ、数学と理科など学問分野の近しいものの融合が多く見られますが、
例えば工学と社会や国語など、従来は個別に学ばれてきた学問分野の融合による化学反応が期待されます。

 

【まとめ】

ここまで日本におけるSTEM教育の課題について触れてきましたが、
高まる科学技術人材への需要に対して、日本ではまだまだSTEM教育が広く普及していません。

今後、STEM教育を保護者が子供の教育機関を選ぶ際の1つのポイントになり、
さらにはどこの教育機関であってもSTEM教育が標準的に受けられるようになることが、
日本で科学技術人材を増やすにあたって必要になっていくでしょう。 


弊社、株式会社NEQLIASでは、研修プログラムを用いてこのSTEM教育に携わっております。
優秀なファシリテーターが複数在籍しておりますので、実際どのような研修プログラムなのか、気になりましたらお気軽にお問い合わせ下さいませ。

コラム2022年12月27日

教員免許更新制廃止と教員の質

 教員免許更新制度の廃止についてこんな調査を発見しました。
この教員免許更新制度の廃止について、なんと現役教員の96.0%が「賛成」とした一方で、
「免許を保有していない」人の57.6%が「反対」としたことが、
日本トレンドリサーチのアンケート調査よりわかりました。

 

【教員免許更新制度の廃止】

2022511日、参院本会議で「教員免許更新制度の廃止」を含む改正法が可決、成立したのはご存知でしょうか。
教員免許には10年間の有効期限があり、教員は10年ごとに講習を受け更新手続きをしなければならないという現行制度が、7月から廃止となります。
これに伴い、7月からは過去に更新されずに失効してしまった教員免許も復活する見通しだそうです。
文部科学省の調査によると、20215月時点で全国で2,056人の教員が不足しており、
今回の改正により教員経験のないペーパーティーチャーが教壇に立ちやすくなることで、教員不足の解消につながるともいわれている。 

7月から教員免許の更新制度が廃止されることについて、
どのように感じるかを教員免許の有無別に集計したところ、
現役教員は「賛成」88.0%、「どちらかというと賛成」8.0%、計96.0%が「賛成」の意向を示しました。
また「反対」と回答した人は1人もいなかったそうです。
現役の教員ではないが保有している人も、「賛成」45.3%、「どちらかというと賛成」20.0%と「賛成」意見が半数を占めました。
ですが、教員免許を保有していない人は「どちらかというと反対」がもっとも多く33.8%、ついで「反対」23.8%。計57.6%と、半数以上が「教員免許更新制度の廃止」に反対としたそうです。

回答理由としては、
制度の廃止によって「手続きの時間や費用等の負担が減る」
「今は教員として働いていない人が復職しやすい」等、教員として働く人にメリットがある回答理由が多かったようです。

 ですが一方で、子供を持つ親の立場から

「教員の質が下がりそう」

「問題を起こした先生が簡単に復帰できそう」

「ブランクがある人が教師として指導できるのか」といった不安の声が多く出たそうです。

 

【なぜ教員免許更新制度の廃止をするのか】
これは、公立学校における教員不足を解消するために必要だと言う点からです。
その他の対策については、

「給与を上げる。小学校の先生の負担が大きすぎるので、教科担任制を導入する(40代女性「現役の教員ではないが保有している」)」

「快適な勤務環境の確保。教えることがどんどん増えるが減りはしないので、増える教科に関しては別教員を雇ってほしい。当然評価も分業となってほしい(50代男性「現役教員」)」

「クラブ活動の顧問を廃止し、授業だけにした方がいい。土日に試合等で出勤していたら体がもたない(50代男性「保有していない」)」

「親からのクレームに対応する職種を設ける(50代女性「保有していない」)」

「副業禁止の解除(20代女性「保有していない」)」

「パワーハラスメントや教員同士のいじめ等を強く取り締まることで、働きやすさが増し、教員希望者が増えるのでは(20代女性「保有していない」)」等、

現状の教員を取り巻く労働環境の厳しさを再認識させられるようなさまざまな意見が寄せられたそうです。

 

【どう見直すのか? 資質向上が重要】

具体的にどのように見直すのか。更新制を廃止するだけで良いのか、
または講習を大幅に減らすかなど、どのように見直すにしても、
教師の負担を減らすことと、教育の質を高めることを両立させる必要があります。 

実は、更新制が導入される前から、各地の教育委員会が先生たちの研修をしていて、新任の時や3年目、10年目など、随時、行われています。
これが10年ごとの更新講習と重なる内容が多いので、この研修と更新講習の良い部分を生かしながら整理・統合する案が挙げられています。

また、講習をオンラインにして、職場や自宅で受講できるようにするという案も出ています。このほか、2年の間に受講しなければならない条件を5年間などに延長する案などもあります。

ただ、安易に講習や研修を減らすことには心配の声もあります。教師教育の専門家ら1200人あまりでつくる、日本教師教育学会は「更新制の廃止が検討されるのはよいことだが、お仕着せの研修やオンラインで動画を見るだけの研修ばかりになってしまうことが懸念される。教師が自ら学ぶ研修を充実させるとともに、労働環境の抜本的な改善を進めるべきだ」と要望しています。見直しには教師の質の向上という視点が重要だということです。

【まとめ】
コロナ禍の今、教師はデジタル化や多様化などへの対応を迫られているうえ、コロナ禍で修学旅行や遠足の行き先を変えるなどの対応も加わり、厳しい状況が続いています。

少しでも負担が減ることで、わかりやすい授業や子どもとの関わりにつながってほしいと思います。そうして人材の確保と教育の質の両立を図りながら、先生と子どもたちがもっと生き生きと過ごせる学校になってほしいと思います。

弊社、株式会社NEQLIASでは、「質」にこだわった研修プログラムを取り扱っております。

優秀なファシリテーターが在籍しており、教員の皆様の方向性をそろえ、学校全体で取り組むためのチームビルディングを行うことが可能です。

もし、ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

 

 

 

 

 

 

コラム2022年12月23日

【小中一貫教育】 小学校教師と中学校 教師の価値観ギャップ

小学校から中学校への円滑な接続を目指す「小中一貫教育」が広がっています。
中学入学後に環境の変化に戸惑う「中一ギャップ」を緩和する狙いが大きいようですが、
新学習指導要領で2020年度に始まった小学校の英語教育にも影響があるようです。
一方で地域差があったり、教員の負担が増えたりと課題も見え隠れするのが現状です。

 

【小中一貫教育とは】

義務教育9年間を一貫してとらえる教育のことです。

①新たに、9年間学習する「義務教育学校」を作る。

②独立した小学校・中学校が9年間の教育目標などを共有して、
の義務教育学校に準じた形で一貫教育を行なう「小中一貫型小学校・中学校(仮称)」といった、
2つの形態が考えられています。

 

【小中一貫教育のメリット、デメリット】

・メリット

小学校から中学校への接続がスムーズに行うことができ、中1ギャップ、不登校の減少につながる

小学校時の学習で定着しきれなかった内容を中学校の課程において補うことが容易になる

異年齢とのコミュニケーションの機会が増える

小学生の中学生へのあこがれや中学生の小さい子への思いやりが育まれる

小学校の時から子どもを見続けている先生が中学校にもいるので安心であるなど

 

・デメリット

小学校と中学校の節目がなくなり、新たな気持ちの切り替えや進学する充実感がなくなる可能性がある

小学生が中学生をこわがってしまうのではないかという心配がある

小学校と中学校の組織文化、習慣の違いが大きく、その調整に時間がかかるなど

 

【小中一貫教育の取り組みにおける成果】

・学習指導上の成果

各種学力調査の結果の向上

学習意欲の向上、学習習慣の定着

授業の理解度の向上、学習に悩みを抱える児童生徒の減少 など

 

・生徒指導上の成果

「中1ギャップ」の緩和

学習規律・生活規律の定着、生活リズムの改善

自己肯定感の向上、思いやりや助け合いの気持ちの育成

コミュニケーション能力の向上 など

 

・教職員に与えた効果

指導方法への改善意欲の向上、教科指導力・生徒指導力の向上

小・中学校間における授業観や評価観の差の縮小

小学校における基礎学力保障の必要性に対する意識の高まり

小・中学校で共通に実践する取組の増加や小・中学校が協力して指導に当たる意識の高まり

仕事に対する満足度の高まり など

 

・その他

保護者との協働関係の強化、地域との協働関係の強化

学校運営、校務分掌の効率化 など

 

【小中一貫教育における課題】

最後に、小中一貫教育における課題について、いくつかご紹介したいと思います。

 

・子ども達に関する課題

  小中一貫教育を実施することにより、子ども達に対するいくつかの課題も指摘されています。例えば、9年間の一貫教育の中で、子ども達の人間関係が固定化してしまうことによる悪影響の懸念や、通常の小・中学校から小中一貫教育を実施している学校へと転校する場合やその逆の場合に、学習内容の欠落や、適応に 困難が生じる可能性があるという懸念等です。

これらの懸念に対しては、多様な形態での異学年交流の大幅な増加や、転出入時に子どもや保護者に対し、丁寧なガイダンスや未習内容のフォローを行うなど、工夫をしていく必要があります。

 

・教職員に関する課題

 小・中学校の連携を強めるためには、小・中学校 の教職員が互いに話し合い、共通認識を深める必要があります。そのため、小・中学校間の打合せや、小・中学校合同の研修を行うことが有効と考えられますが、これらの時間を確保することが難しい、という指摘があります。日々の業務に追われる中、小中一貫教育を導入することで、特に導入初期段階を中心に、業務量の増加につながる可能性があり、教職員が負担に感じたり、多忙に感じたりすることが課題と指摘されています。

これらに関しては、教職員が感じる負担をできる限り軽減させるため、校務支援システムの導入や、TV会議システムを活用した打合せを行うなど、負担軽減のための支援を検討する必要があります。

 

・制度に関する課題

 小中一貫教育学校(仮称)は、小学校と中学校を一貫した教育を行う学校です。そこに配置される教員は、9年間の課程を見通した上で、質の高い教育を行うことができる力を持っている必要があります。そのため、配置される教員は、小学校及び中学校教員免許状の併有を原則とすることが適当です。しかし、現状では免許の併有率は地域によってばらつきがみられるため、現実的には難しい状況です。

この状況の中で、小中一貫教育を推進するため、しばらくはどちらか一方の免許のみでも対応できる経過措置が必要と考えられています。今後、小中一貫教育における教員免許制度がどのようになっていくか、注目されています。

 

【まとめ】

このように、小中一貫教育には、課題もありますが、日本の義務教育の在り方について、再考する良いきっかけになっているのではないでしょうか。

小学校と中学校が一貫することで、子ども達に対してできることは何だと思いますか?


弊社、株式会社NEQLIASでは、子どもたちのコミュニケーション能力の向上を狙い、円滑な人間関係づくりが出来るようになるための研修プログラムを行なっております。

優秀なファシリテーターが多数在籍しておりますので、実際どのようなことをしているのか、など気になることがありましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

 

 

コラム2022年12月21日

GIGAスクール構想の現状

政府をあげて取り組みが進められている、GIGAスクール構想。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、構想実現に向けた準備が前倒しで進められています。
教員として働く人や目指している人なら、一度は聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、GIGAスクール構想について紹介します。実現のために何が必要なのか、現状や課題点を解説します。

 

GIGAスクール構想とは】

GIGAスクール構想」とは、2019年に文部科学省によって打ち出された、教育現場のICT化を推進し、子どもたちに個別最適化された教育環境を提供する国家プロジェクトです。
GIGA」は「Global and Innovation Gateway for All」の略で、「すべての子どもたちがグローバルで革新的な扉を開ける」ための環境を整える、という意味を持っています。

・目的:個人に最適化された教育
文部科学省では、GIGAスクール構想の目的を以下のように定義しています。

「1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育ICT環境を実現する

これまでの我が国の教育実践と最先端のICTのベストミックスを図ることにより、教師・児童生徒の力を最大限に引き出す。」

つまり、ICTの活用環境を整備し、子どもたち一人ひとりの学習状況や理解レベルに合わせた教育を実現することを目的としています。

・背景:ICT教育の後れ
国がGIGAスクール構想を打ち出した背景には、日本のICT教育の後れがあります。
2018年の調査では、日本の学校での授業におけるデジタル機器の利用時間は、OECD(経済協力開発機構)加盟国中最下位でした。

モバイル端末の普及率は高いものの、学校外での利用は娯楽がほとんどです。

GIGAスクール構想の根底には、現状のままでは、日本の将来を担う子どもたちが世界のICT化の波に乗り遅れ、ひいては国力の低下につながるという危機感があると言えるでしょう。

・取り組み:ハード以外の整備も重要
文部科学省によるGIGAスクール構想の主な取り組みは次のとおりです。

ハード

・児童生徒1人1台コンピュータを実現

・高速大容量の通信ネットワーク

・全国の自治体や学校がより容易に、より効率的・効果的な調達ができるよう支援

ソフト

・デジタル教科書・教材など良質なデジタルコンテンツの活用を促進

・各教科等ごとにICTを効果的に活用した学習活動の例を提示

AIドリルなど先端技術を活用した実証を充実 

指導体制

・教職員支援機構による,各地域の指導者養成研修の実施

ICT活用教育アドバイザーによる,各都道府県での説明会・ワークショップの開催

ICT支援員など,企業等の多様な外部人材の活用促進

 

端末やネットワークなどのハード面の整備はもちろんのこと、ICTを活用した教材などのソフト面、ICTを効果的に活用するための人材の整備も重要となります。

 

GIGAスクール構想の現状と課題】

2018年に文部科学省が掲げたGIGAスクール構想ですが、2023年の実現目標よりも前倒しして進められているのが現状です。この背景には、新型コロナウイルス感染拡大があります。全国の学校が休校措置を取らざるを得なくなり、教育現場は混乱に陥りました。

そこで必要とされたのがオンライン授業。オンライン授業が可能な環境であれば、休校による学習の遅れを最小限にとどめることができます。このオンライン授業はGIGAスクール構想が押し進める取り組みの一つでした。オンライン授業の必要性が高まるとともに、GIGAスクール構想実現が急ピッチで進められるようになりました。

一方で、GIGAスクール構想実現に向け課題も抱えています。例えばICT教育に必要不可欠な端末。端末導入を含め環境整備には費用がかかるため、学校や自治体によって導入スピードに差が出ている現状があります。特に公立高校のICT端末の整備は喫緊の課題として挙げられます。 

さらにICT教育は従来までの教育方法とは大きく異なる側面もあるため、指導する側がITリテラシーを向上させる必要があります。

また活用の仕方は、学校や自治体によって差が出る部分です。差を埋めるための、活用事例の共有が不十分な点も課題の一つです。

 

GIGAスクール構想を実現していくためのポイント】
GIGAスクール構想を実現する上では、端末や環境の整備だけでなく児童・生徒を指導する教員側にもITリテラシーが必要不可欠です。デジタルネイティブな子どもたちはすぐに慣れることができても、パソコンが苦手な教員にとってはハードルが高いと感じるかもしれません。 

また教員側にもITリテラシーがないと、かえって業務を複雑にすることが考えられます。教員側もGIGAスクール構想やICT教育の重要性を理解し、根気よく取り組むことが大切です。

なお教員のITリテラシーを向上させるためには、IT活用のスペシャリストから学ぶなどの対策が効果的です。ワークショップや説明会に参加したり、学校にICT支援員を配置するなど、ITリテラシーを学ぶ機会が増えています。

 

GIGAスクール構想の成功には教員のスキルアップが必要】
児童・生徒に11台の端末を配布し、ICT教育を行うGIGAスクール構想ですが、現代の教育現場において、避けては通れない道だと感じます。
GIGAスクール構想がうまく機能すれば、これからの日本を担う子どもたちによるSociety 5.0の実現や教員の働き方改革につながるのではないでしょうか。 

GIGAスクール構想の成功は、端末や環境の整備だけでなく教員自身のスキルアップも大切です。教員もICTを活用できるようITリテラシーを身に付けることが今後は必須となると思います。

 

【まとめ】

GIGAスクール構想によって端末整備が進んだとはいえ、それは始まりに過ぎません。ICT教育を効率的に行い、アフターGIGAを乗り越えるためには、運用の中で発生してくる課題に適切に対処していく必要があります。

弊社、株式会社NEQLIASでは、ICT教育やGIGAスクールにおいて必要とされる教員の能力アップに向けたスキルアップ研修や、学年団体での思想をそろえて目標を達成するための教員研修を行なっております。ぜひお気軽にご相談ください。

 

コラム2022年12月16日

ICT教育時代におけるコミュニケーションスキル

ICTとは】

ICT」とは、

Information and Communicaton Technologyの頭文字で、

日本語では「情報通信技術」となります。

 

IT業界、IT人材、IT技術といった「IT」という言葉をよく耳にしますが、
このITとはInformation Technologyの略で、
パソコンのハードウェア、アプリケーション、インターネットなど「情報技術」を指します。

つまり、「情報通信技術」であるICTは、コミュニケーションを取るための情報技術のことを指しています。
情報技術そのものではなく、技術を用いた情報の伝達に重きを置いている言葉です。

 

そのため「ICT教育」とは、パソコンやタブレット、インターネットなどの情報通信技術を活用してコミュニケーションを取っていく教育方法を指します。

また、ICT教育は文部科学省が特に力を入れている分野で、
小学校~大学まで全国の学校でICTを活用した教育が推進されています。

 

ICT教育の現状】

今回、文部科学省の「平成30年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」をもとに紹介していきます。

またこの調査は、全国の公立学校(小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)を対象としています。

 

・教育用コンピュータの普及状況

教育用コンピュータとは、調べ学習などの際に生徒が使用できるコンピュータを指します。

平成31年度の教育用コンピュータ1台あたりの平均児童生徒数は5.4人です。 

この値は年々低くなっており(平成30年度:5.6人、平成29年度:5.9人)、コンピュータの普及台数が増えているように思えます。

しかし、実際は児童生徒数が年々少なくなっており、コンピュータの台数はほとんど横ばいの状態です。

 

・ネットワーク整備率

平成31年度の普通教室の無線LAN整備率は40.7%で、平成29年度以降年々向上しています(平成30年度:34.5%、平成29年度:29.6%)

有線LANなどを含めた校内LANの普通教室の整備率は89.6%です。

今後生徒11台タブレットが支給されるようになると、無線LANの整備はますます求められます。

 

・普通教室の大型提示装置整備率

大型提示装置とは、電子黒板やプロジェクタ、デジタルテレビ等を指します。

平成31年度の普通教室の大型提示装置整備率は51.2%です。

平成30年度まで電子黒板の整備率のみを調査しており、その結果は

平成30年度:26.8

平成29年度:24.4

です。

 

ICT教育の課題】
日本におけるICT教育の現状から、学校現場のICT環境は年々充実してきているものの、まだ道半ばといった状況なのです。 

現在の日本におけるICT教育の課題としては、

・地域間の格差

・教員のICT活用指導力

2点を挙げ、説明していきたいと思います。

 

・地域間の格差
現状のICT環境で、地域間での格差が出てきています。

教育用コンピュータの普及率を見ると佐賀県では1.8/1台であるのに対し、平均値は5.4/1台、最も低い愛知県では7.5/1台となっています。

このように、ICT教育に多くの財源を割いている地域とそうではない地域で差が生じています。

ICT機器の中にはかなり高価なものも含まれるため、財源の厳しい地域では導入が進みにくいのは課題と言えるでしょう。

 

・教員のICT活用指導力
現在教壇に立つ多くの教師は、ICTを活用した授業を受けたことがありません。 

そのため、授業のどのような場面でICTを活用すればいいのかわからないと感じる教師も少なくないようです。ICTの活用に慣れておらず操作方法がわからないといった声も多く聞かれます。

更にICTは技術進歩が速いため研修だけでは不十分な状況も多くあります。

実際にICT活用をサポートしてくれる外部専門家やICT支援員の導入などが求められています。

 

【ますます重要視される個のコミュニケーションスキル】

ICT教育」は、今後も更なる進化を遂げていくことは間違い無いです。

ですが実際、調べてみると地域での格差があったり、教員による指導の差も出てしまいます。

また、様々な機器を利用して便利になると、人とのコミュニケーションの機会が失われていきます。
SNSでコミュニケーションを取っていると思われている方がいるのであれば、それは間違いと言えます。

もし、しっかりとコミュニケーションが取れているのだとすれば、
オンライン授業での学力の低下および退学率の増加や、企業の在宅ワークによる売り上げの低下などは起こり得ないはずです。
やはり対面でのコミュニケーション能力の低下は様々な場面においてマイナス要素となります。

 今後、さらに便利になるからこそ各個人のコミュニケーションスキルは今まで以上に求められるのではないでしょうか。

 

「人と話す」ということから、少しの期間でも離れて過ごしてきた今の人たちが、
不安を抱えどうすれば良いのか迷われている状況です。

教育現場において、この状態の生徒たちをそのままにしておくわけにはいかないことは、

どの教員の方も理解できるはずです。

学生時期というのは、コミュニケーション能力の開発時期で、コミュニケーション上において、失敗する機会が少なくなる、同年代の未熟な仲間とぶつかって考える機会が少なくなるということで、思春期以降のリアルなコミュニケーション能力の発達に不安が生じてしまいます。

 

【まとめ】

今後を良くする「ICT教育」ですが、その裏にはコミュニケーションスキルの低下という不安要素は拭いきれません。

弊社、株式会社NEQLIASには優秀なファシリテーターが在籍しており、この「コミュニケーションスキル」に重点をおいた研修プログラムを行なっております。

現在、60校以上の学校と、複数の企業様の「コミュニケーションスキル」の向上をはかるため各学校様、企業様に合わせてオーダーメイドの研修プログラムを実施させていただいております。

今後の「ICT教育」をうまく活用するために気になりましたらお気軽にお問い合わせください。

 

 

 

コラム2022年12月13日

コロナ渦におけるコミュニケーション不足

「コロナ禍で友達や社員とのコミュニケーションが減った」と考える人は珍しくありません。コロナ禍のなかリモートワークやテレワークのような新しい働き方が増えています。働き方の自由化という観点から見れば良いことですが、一方で従業員と対面する機会が減少しコミュニケーションも減ってしまったと懸念の声もあるようです。

 

【コミュニケーションロスとは?】

コミュニケーションロスとは、相手と意思疎通がとれずお互いに認識のズレが生じるなど、コミュニケーション不足を原因として生じる損失やミス、トラブルをいいます。

「説明が不十分で、誤った資料を作成した」「スケジュール変更がメンバーに伝わらず、プロジェクト進行が遅延した」といったトラブルがコミュニケーションロスです。
近年では、テレワークの浸透を背景に、対面コミュニケーションがとれないため、コミュニケーションロスが生じることが多くなっています。

 

【コミュニケーションロスが起こる3つの原因】
コミュニケーションロスの原因は、コミュニケーション不足が起因していますが、ここでは、コミュニケーションロスが起こる3つの原因を次のとおり説明します

 

・ヒューマンエラー

コミュニケーション不足というと、「報連相」が足りないことが要因にあげられます。しかし、報連相がしっかりとできていても、「勘違い」のような人的ミスもあり、コミュニケーションロスがなくならないでしょう。

こうした人的ミスはヒューマンエラーといい、「意図しない結果を生じる人間の行為」とJIS Z8115 ディペンダビリティ(信頼性)用語で定義されています。

厚生労働省では、ヒューマンエラーを「ついつい・うっかり型」「あえて型」に大別して定義しています。「ついつい・うっかり型」は、記憶・認知・判断・行動のそれぞれの間違いを指し、「あえて型」は、決まりを守らない・手抜き・横着など意図的行動を指しています。

 

・認識の違い

「言ったはずなのに伝わっていない」「指示通りに動いてくれない」など、コミュニケーションの相手との認識の違いもよくあるコミュニケーションロスです。
認識違いの多くは、コミュニケーションの送り手が十分に伝えていない、受け手が理解できていないなど、両者の報連相不足が原因です。

認識の違いやズレがないかをお互いにコミュニケーションをとらずに放置する、あるいは、「言わなくても分かるだろう」「多分やってくれている」など憶測で判断するといった行動が認識の違いを引き起こしやすいケースでしょう。
伝えたつもりでも、相手には伝わっていないことが多くありますが、相手に伝わっているかを確認することなく、一方的なコミュニケーションを取っている場合に、認識の違いが起きやすいといえます。

 

・情報共有の不足

目の前の職務に翻弄され、コミュニケーションが疎かになるなどにより、情報共有の量や頻度が不足することも、多く見られるコミュニケーションロスです。

先輩らが忙しく新入社員が放置されることもありがちですが、近年は、テレワークの浸透を背景に、対面コミュニケーションがとれないために情報共有不足が起きやすくなっています。
とくに、定期的な会議や報告会などを実施していない場合、情報共有のタイミングを逃すケースもあるでしょう。テレワーク環境下では、ビジネスチャットやグループウェアなどの情報共有ツールを整備していないと情報共有不足に陥りやすいです。

【会話と雑談の不足で7割以上が心的不調】

・テレワークで心的ストレスが増加
新型コロナウイルスによるテレワーク推進や外出自粛により、深刻化している課題が「孤独」と「孤立」。人と接する機会が減ることで、メンタルへの影響が懸念されています。

日本国内では、2020年の自殺率が11年ぶりに増加に転じ、新型コロナウイルスによる「孤独」と「孤立」との関係が深いのではないかと懸念されています。2021年2月には、内閣官房に「孤独・孤立対策担当室」が設置され、坂本哲志少子化相が担当相に任命されたことでも話題になったのはご存知でしょうか。

社内でのコミュニケーションはストレスの原因になることも多く、近年は、会社の飲み会や社員同士のプライベートな会話を好まない風潮も高まっている。会社だけと割り切り、仕事に関係のない会話はしたくないというワーカーも多くなっているように感じました。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークの長期化で、コミュニケーションが大幅に制限された今、コミュニケーション不足から孤独や孤立を感じ、心的ストレスに悩む人が急増しているようです。

 

・運動不足もメンタル不調の要因に
テレワーク下での課題には運動不足もある。毎日決まった時間に起きて、自宅と会社を行き来するという行為は、それ自体が一定の運動になり、生活のリズムを整える役割もあったが、テレワーク下ではそれがなくなってしまう。

運動不足が影響して、「肩こり、首のこり」「肥満」といった身体的な不調を感じている人が多く、4人に1人が「気分の落ち込み」というメンタル面への影響も感じているようです。

また、「眠気が多い」「慢性的な疲れ」など、メンタル不調につながりやすい身体的不調が多くなりつつあるようです。

テレワーク下では、意識的に生活のリズムを整える、運動をする機会を積極的につくるなど、出社時以上に、個々人での健康管理が重要になりますね。

 

【まとめ】

どのような状況であっても、コミュニケーションを取ることはとても重要です。

実際に、弊社が大学へ研修プログラムを行う際、オンライン授業のため学力が低下、生徒の発言が極端に減ったと講師や先生方からお話をよく聞きます。

ある企業では、リモートワークにより作業効率が落ち売上が下がったという事例も聞いております。

人はどれだけコミュニケーションが重要なのか改めて知るきっかけとなったこのコロナ禍ですが、再度、能力としてコミュニケーションスキルを上げるための対策はいかがでしょうか。


弊社、株式会社NEQLIASでは、優秀なファシリテーターによるコミュニケーションスキル向上を目的とした研修を行なっております。

もし、ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。

 

 

コラム2022年12月9日

教員負担を減らす部活地域移行は進むのか

公立中学校の休日部活動を、民間のクラブや指導者へ委ねる「地域移行」が2023年度から段階的に始まるとされているのはご存知でしょうか。
スポーツ庁の有識者会議は25年度までの3カ年で完了するように提言されています。

文部科学省においてもこの内容は示されています。

参照:https://www.mext.go.jp/sports/content/20200902-spt_sseisaku01-000009706_3.pdf

鹿児島県内では、43市町村中32自治体が、移行へ向けた協議会を来春までに設立する方針を示したそうです。
教員の働き方改革や少子化の進展で学校単位による部活運営が困難になる中、どう進めていけば良いのでしょうか。

 

【部活動の改革が叫ばれる理由】

部活動に関する問題は、立場や競技の種類によって様々なものがあります。

部活動の地域移行が必要だとされる理由を、

「教員の働き方改革の必要性」

「少子化における部活動の活動の維持」

という、2点に分けて紹介していきます。

 

・教員の働き方改革の必要性

教員の働き方改革を行うにあたって、部活動の改革は欠かせません。

それは、現状の部活動が3つの側面から問題になっているからです。

 

「部活動顧問の長時間労働の原因となっている」

部活動は、学校教育の一環として実施されてきました。

休日にも部活動があることを考えると、教師の負担の上に支えられており、長時間労働を助長する一因です。

実際、公立小・中学校教員の勤務実態調査の報告書にも「中学校教員の勤務時間の長時間化は(中略)特に土日の部活動に費やす時間が長時間化したことによる」とあるなど、改善の必要性が指摘されています。

 

「十分な手当が出ない」

教員が部活動の指導をする際には、特殊勤務手当が支給されます。

この手当の額は、国の方針をもとに自治体が定めており、手当の支給条件や額などは自治体によって様々です。

しかし、支給の基準となる活動時間は最長でも3時間~4時間程度に設定されている場合が多く、その場合、大会など丸1日活動をするような日でも追加の手当が支払われません。実際には、時給換算で最低賃金を割ることもありえるのが現状です。

 

「校長指名を拒否できない」

部活動顧問の指名は、各学校の校長に権限があります。

校務分掌のひとつであり、進路指導や生活指導などのように、教員が協力して分担しています。法令上、校長は勤務時間外の部活動業務を命令することはできないのですが、上司の指示であることや、自分が断れば同僚の誰かがやらなければならないことなどから、部活動顧問を断ることを難しくしています。

 

・少子化における部活動の活動の維持

進行する少子化も、部活動改革が叫ばれる大きな理由になっています。

 

実際、少子化によってサッカーや野球など1チームに多くの人数が必要なスポーツで学校単位でのチームを組めなくなったり、顧問の不足から人数の少ない部活動が廃部になったり、という影響が出ています。現在の部活動の在り方が変わらないと、子どもたちが多様な文化やスポーツに触れる機会が失われる恐れがあります。

本来自主的な取り組みであるはずの部活動が少子化の影響で“必須加入”となってしまうと、それによって苦しむ子どもたちが出てくることも考えられます。

部活動改革には、そのような事態を防ぐ意味合いもあると言えるでしょう。

 

【改革の3つの方向性】

教員の働き方改革と少子化による部員減少という課題について、

どのような解決策があるのか見ていきましょう。

 

・地域移行

地域移行とは、簡単に言うと教員が担っている管理者、指導者という役割を、

民間の方に担ってもらうということです。

 

教員の忙しさを解消するだけでなく、部活動の文化やスポーツの専門性をもった人材を登用することができるメリットもあります。

一方、デメリットもあります。現在の中学校学習指導要領において、部活動は「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」「学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意する」ことが求められています。この教育的な側面が民間の方に依頼したいとして、どのように担保されるのかという問題が懸念されています。また、人件費等の費用がどのように捻出され、何処が負担するのか、といった課題もあります。

 

・合理化(ICT活用など)

教員を部活動の職務から外すだけでなく、部活動自体を変化させていく方法もあります。

 

例えば教師がしっかり目を向けられるときは、全体練習でしかできないチームプレーの確認や事故や怪我が起こらないよう管理の重要な活動を中心にします。

教師が忙しい場合は、筋トレなど個人でできる練習や事故や怪我のリスクの低い活動をまとめることで、教師の負担を軽減できるかもしれません。

またICTの活用によって、個人情報の管理や連絡、書類手続きなどを直接的に業務削減する方法も可能になるかもしれません。

 

・大会の在り方の見直し

部活動の大会の運営も大きな負担の一つです。

基本的に休日に開催され、大会運営の多くが教員によってなされています。

また、大会には部活動の成果としての意味合いが大きくあります。

結果を求めるあまり、勝利至上主義や長時間の活動を引き起こし、

身体の発達以上の負荷やスポーツが「苦しい」ものになりかねないという問題があります。

 

このような観点から、各競技について若年層向けの大会のあり方を見直す動きが出ています。実際、海外では15歳以下の全国大会を廃止した例があるほか、日本でも、全日本柔道連盟が2022年から個人戦の全国小学生学年別大会の廃止をしているようです。

 

【まとめ】

部活動の改革はメリット・デメリットがはっきりとしていて、

すぐに浸透するとはなかなか考えにくいと思います。

部活動に対して熱量のある教員の方もいれば、もちろんそうではない方もいます。

教員と生徒の両局面から考えた際、どちらにもメリット・デメリットが見えてきますね。

弊社、株式会社NEQLIASもこの部活動の改革の一環として、チームビルディング研修を部活動に対して行なっております。

地域のサッカーチームのスポンサーもしておりますので、ぜひ応援してください!

https://www.facebook.com/GirasoleKyotoAC/

 

 

コラム2022年12月6日

VUCA時代における教員の働き方

教育の新キーワードの1つとして意識されるようになった「VUCA(ブーカ)」は、
4つの単語の頭文字を合わせて作られた言葉で、近年においては現代社会の状況を表す意味でも用いられます。
まずは、VUCAとは何かを解説します。

 

【「VUCA」(ブーカ)とは】

VUCA」とは以下の4つの英単語の頭文字を取って作られた用語です。

Volatility(変動性)

Uncertainty(不確実性)

Complexity(複雑性)

Ambiguity(曖昧性)

 

・Volatility(変動性)

様々な技術の進歩により、現代社会は常に変化し続けています。ビジネス環境だけみても、パソコンの普及やインターネットの普及、パソコンの性能向上に伴う様々なITサービスの登場など、常に変化し続け、仕事のやり方は変わり続けています。

一度集めた情報や身につけた能力が、しばらく経つと陳腐化することも多くなっており、常に適切な情報を収集し、変化に適応していくことが求められています。

 

・Uncertainty(不確実性)

年功序列や終身雇用といった旧来の雇用形態は少なくなったことを始め、景気や災害、2020年のコロナ禍などにより、「安定、確実」と思われていた企業においても、急激に業績が悪化するということが不思議ではなくなっています。

不確実性が増していることによって、経営の方向性を決めるための予測がより困難な状況になっています。

 

・Complexity(複雑性)

ビジネスのグローバル化などにより、一つの会社や組織、一つの国だけで解決できる課題が少なくなり、解決すべき問題は複雑に絡み合っているものが多くなっています。

また仕事におけるITなどの技術の進歩に伴い、単純作業は機械に任されるようになり、人が行うべき仕事がより高度な内容となっています。

複雑な課題に対して取り組んで行くために、問題や課題の本質を探る能力や、情報を集めて問題や課題を整理・分析する能力、複雑な問題に対して最後までやり遂げる能力などが求められます。

 

・Ambiguity(曖昧性)

環境の変化や不確かさ、問題の複雑さから、ビジネスにおける成果を再現しようとしても、要因を明確にすることが難しくなっています。

また、経営方針に関する裏付けや根拠に関しても同様に、内容を提示した直後に状況が変化することも増えているため、明確に示すことが困難になっています。

 

VUCA時代に求められる教育と人材】

VUCA時代を担う子どもたちには、変化に対応し、持続可能な社会を実現できる能力が求められます。しかしそれらの能力は、従来の受け身の教育だけで身に付けることはできません。ここからは、VUCA時代に求められる教育と人材について解説します。

 


・柔軟で自律的な思考力

これまでの常識が通用しないVUCA時代を生き抜くためには、柔軟で自律的な思考力が必要です。テクノロジーは日々進歩し、医師や弁護士のような職業ですらAIに置き換えられることも考えられます。

AIとの共存生活に対応できるよう、疑問に対して自ら考える力を育てる教育が大切です。VUCA時代には物事の本質を見極める力や、自ら課題を設定し解決できる力を持つ人材が求められるでしょう。

 


・新しい知識の吸収力

新しいテクノロジーの誕生や発展は、VUCA状況を作り出す要因の1つです。企業が存続するうえでは、破壊的イノベーション(これまでのルールをくつがえすような技術革新)が危機を救うチャンスになります。

革新をもたらすためには、新しい知識を幅広く吸収する力が必要です。ICT教育を足掛かりとし、テクノロジーを理解し活用していけるような人材が求められています。

 


・あらゆる状況への対応力

VUCA時代では、あらゆる状況へ臨機応変に対応できる力が必要です。職業や人生設計も不確実で予測できない社会では、「どこでも通用する」人間的能力が欠かせません。

変動する社会では、自分の立場が流動化したときに果断に決断し、新しい道を切り開いていける人材が求められます。

 


・他者との関わりを深める力

VUCA時代を生き抜くためには、他者との関わりも非常に重要になってきます。
SNS
の普及で、リアルに顔を会わさずとも世界中の人々と交流できる時代になりました。

対面が基本だった今までの社会から、大きく様変わりしています。
そんなコミュニケーションのあり方が大きく変わる中だからこそ、
人と人とのコミュニケーション・つながりが非常に重要になっています。

コロナ禍で、対面で家族以外の人と会えない時期が続いた時、
心の支えとなったのはオンライン上のコミュニティでした。
人はいつの時代でも、一人では生きていくことはできません。

対面だろうとオンラインだろうと、人と人とのコミュニケーション・つながりから生み出される価値は、これからの時代、ますます欠かすことができないものになるでしょう。

 

【まとめ】

VUCA時代(変化が激しく、複雑で予測困難な時代)において、環境の変化への柔軟な対応や誰も答えを持たない仕事への挑戦、革新的な発想へ転換するための能力が求められています。

また、これからの時代は一人ひとりが適切な内容を自ら進んで選び学ぶ『戦略的学習力』と「いかなる環境や境遇に置かれても、どこでも活躍するためのスキル」が重要になります 

弊社、株式会社NEQLIASではこのVUCA時代において、
教職員や会社員、学生へ向けた研修プログラムを行なっております。

優秀なファシリテーターが在籍しておりますので、
皆様に合わせたオーダーメイドのプログラムでしっかりと身につけて頂きます。

ご興味がありましたらお気軽にお問い合わせください。

 

 

コラム2022年12月2日

自走する組織をつくるには?

「自ら考え行動できるメンバーを育成してほしい」という企業の要望は年々増えています。同時に“メンバーを育てられるリーダー育成”の要望も増えています。マネジメントと人材育成を両立できる管理職が足りないなかで、指示待ちや受け身のメンバーが増えており、頭を悩ませる企業が多いのです。

 

【「今」必要とされる人とは】

今、社会で働く会社員は二極化が進んでいます。
二極化の一方は、市場や企業から求められている人たちです。
この人たちは様々な機会を得ることができ、高い報酬を手にしています。
もう一方は、希望する機会や報酬を手にすることができていない人たちです。
その差はどうして生まれてしまうのでしょうか?

その違いを生み出している要因の一つは、「自ら考え行動する働き方ができているかどうか?」です。
今は「自ら考え行動できる人」が必要とされる時代です。
その様な社員を一人でも多く増やさなければ企業は成長することができません。
簡単ではありませんが、「自ら考え行動できる人」を教育しなければなりません。

 

【自ら考え行動する社員がいる組織の特徴】

組織づくりの観点から、「自ら考え行動する」社員について考えていきます。
自ら考え行動する社員が多い組織の特徴、そして、自ら考え行動する社員を増やす組織づくりのポイントをお伝えします。

 

・心理的安全性が高い


心理的安全性とは、「年齢、性別、役職などに関係なく自分の思っていることを言いやすい状態」「ありのままの自分をさらけ出せる状態」「自分の失敗を開示したり、初歩的な質問などを躊躇なくできたりする状態」を指します。

心理的安全性という言葉が有名になったのは、Googleの調査がきっかけです。Google社内で生産性の高い組織の特徴を調査した結果、生産性に最も影響を与える要素は、他のどの要素よりもチームの心理的安全性であるという発表です。

心理的安全性がなぜ「自ら考え行動する」社員の育成につながるのでしょうか。心理的安全性が高い状態は、社内での経験や職位が低い若手も気兼ねなく提案や発言ができる状態です。また、的外れな意見やアイデアを出しても批判されることはない、また、価値ある失敗に対しては寛容に受け入れてくれると信じられる状態です。当然、このような心理的安全性が高い状態は「自ら考え行動する」ことにつながります。 

一方で、日本企業の多くは心理的安全性の高い組織が少ないといわれています。昔から「余計なことはするな」「上がやることを見て覚えろ」といった形で、自分で考えることを抑制されていました。そういう組織で「自ら考え行動する」社員が増えることはありません。

 

・チャレンジを歓迎する環境がある

チャレンジを歓迎するという点も重要です。そもそも挑戦できる環境がなければ、自ら考えて行動する機会を活用することは難しいでしょう。最近こそ挑戦を奨励する日本企業も増えていますが、現場レベルで見るとまだまだ少ないのが現状です。

チャレンジといっても新規事業のような大きな話である必要はありません。トヨタ自動車の「カイゼン」のような日々の業務をルーティン化させず、生産性向上に向けて変化に取り組むといったことも立派なチャレンジです。

しかし、チャレンジして失敗した際、「だから勝手なことをするなと言ったんだ」と怒る上司がいたら、現場の若手や新人は“挑戦を歓迎されている”とは思わないでしょう。チャレンジを歓迎する環境作りは容易ではありませんが、実現すれば若手のモチベーション向上につながり、「自ら考え行動する」社員を育成することにつながります。

 

・フィードバックする文化がある


フィードバックする文化も「自ら考え行動する」社員の育成につながります。部下が自ら考え行動したとき、どういった影響をおよぼしたのか、どのような成果や貢献につながったかをフィードバックすることが次の思考や行動につながります。

また、うまくいかなかった際も単に結果を叱責するのではなく「何が原因だったか」「何を学べるか」「もう一回やるならどうするか」などをフィードバックすることが、成功要因や失敗要因を自ら考え、次に挑戦しようという気持ちにつながります。

 

【「自ら考え行動する」社員を育てる組織作りのポイント】

社員が自ら考え行動する組織作りはどうすれば実現できるでしょうか。
組織作りは文化作りともいわれます。重要なことは経営陣のメッセージや上司の理解です。

経営陣が組織作りに関してコミットし、心理的安全性やチャレンジする風土を社員に意識させて浸透させるようにします。
そして上司が経営陣のメッセージを理解して、メンバーに対してチャレンジを歓迎しフィードバックを行ないます。
大事なことは、言葉と行動がともなっていることです。
組織作りには時間がかかりますが、あきらめずに取り組むことが大切です。

 

【まとめ】

「自ら考え行動できる人」は、その人自身の能力ではありません。

学生時代からの経験でそれができる人はわずかです。日本の教育制度的にもこのような考えを持って育っているとは言い難い環境です。

このような人が入社するまで待つ、探すと言うのは途方も無い苦労だと思います。

結論としては、企業が人材を「育てる」方が早いです。

社内体制の見直しから、適任者を見つけ、社内育成に取り組む方がコストも時間も何倍も削減できることは間違いありません。

ですが、実際に内政化を行うには基準となる存在が必要です。

弊社、株式会社NEQLIASではそういった人材を育てることができる研修プログラムを取り扱っております。

優秀なファシリテーターが在籍しておりますので、基礎から実用的な部分までしっかりとお伝えし、スムーズな内政化を行なっていけるよう研修を行います。

ご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。