体験から学ぶ②
前回、記述しております「体験から学ぶ①」より、
より体験学習について知って頂きたいと思い、
今回は「体験学習サイクル」について
ご説明させていただきます。
この記事の監修者
株式会社NEQLIAS
コラム編集部
【経験学習(体験学習)サイクルとは】
経験学習サイクルとは、
コルブ(D.A Kolb)によって提唱された、
経験学習理論をもとに、
経験から学びを得るプロセスを理論化したものです。
人が経験を通して学習するプロセスには、
次の4つの要素があります。
1)具体的経験(日々の仕事に取り組む中での具体的な経験を重ねること)
2)省察(自分の経験を多様な観点から振り返って気づきを引き出すこと)
3)概念化(自分なりの『自論』を形成すること)
4)試行(自論を新しい状況下で実践してみること)
コルブの主張によれば、
これら四つの要素を順に辿りながら、
かつ1→2→3→4→1→2→ …
というように、継続的にサイクルを
回していくことで、人は成長することができるというモデルです。
「経験学習モデル」で重要な「省察」
この四つの要素の中でも注目したいのが、「省察」です。日々の出来事や経験を振り返り、自分にとってのレッスンを引き出すことは、人の持続的な成長に欠かせないことです。
そのためにも、自分と向き合い自己対話する時間を設けることが必要になりますし、また他者からの問いかけやフィードバックがあれば、多様な観点からの振り返りができ、視野の拡大につながることでしょう。
「省察」がリーダーに特に必要な理由
「省察」は、組織を率いるリーダーにとっては、とりわけ重要です。
昨今の上司は、部下に対して高い要求をすることもないし、言うべきことがあってもソフトな言い方で取り繕うなど、優しいリーダーシップを発揮する方が多いようです。
なぜ、部下に対して厳しく毅然とした態度を取れないのでしょうか。
それは、リーダーとしての持論が充分に練られていないことが原因と思われます。
リーダーに求められる持論とは、
「我々の組織の使命は何か」
「事業を通じて誰にどのような価値を提供しているのか」
「なぜ、事業を発展させなければいけないのか」
といった仕事観から、
「人はどうすれば成長するのか」
「どのような生き方をすることが幸せなのか」
という人生観に至るまで、広範囲に及びます。
リーダーがこのような持論をもてば、
「何が正しいか」「何をするべきか」という判断の基軸が明らかになり、
行動することへの勇気も出てきて、厳しいリーダーシップを発揮できるようになるきっかけとなります。
「経験学習モデル」を実践するには?
私たちは日々、さまざまな経験を重ね、たくさんの知識・情報にふれています。
しかし、それらが自分の内側に取り込まれることは少なく、
右から左へ流れてしまうことが多いのではないでしょうか。
先述の「経験学習モデル」では、
経験を省察する(≒振り返る)ことで、さまざまな気づきが得られ、
持論形成が促進するとされています。また、松下幸之助が長年実践していた
自己観照(じこかんしょう)も、省察に近い行為と言えます。
このように、心理学の分野で導き出された理論も、経営者が実践を通じて紡ぎ出した実践知も、同じように振り返りの重要性を指摘しています。したがって、組織を預かるリーダーの方がたには、忙しい日々の中であっても振りかえりの時間を確保していただきたいものです。
- 今日一日、何があったか
- 自分のあり方はどうであったか
- 今日の学び、気づきは何か
- 明日に向けて、自分はどうあるべきか
こうした地道な取り組みによって持論が形成・強化されると、言うべきことを言える毅然としたリーダーシップを発揮できるようになります。そのことが、今日とは違う明日を迎えることになり、「日に新た」な自分へと向上する、そして成果を生み出す組織をつくる第一歩となるでしょう。
弊社NEQLIASでは、総合学習(体験学習)を通じて学校や企業への研修に取り組んでおります。
優秀なファシリテーターが在籍しておりますので、総合学習(体験学習)をご希望の方や、この体験から何が得れるのか、何が変わるのかと気になった方は、お気軽にお問合せください。