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コラム2022年12月21日

GIGAスクール構想の現状

政府をあげて取り組みが進められている、GIGAスクール構想。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、構想実現に向けた準備が前倒しで進められています。
教員として働く人や目指している人なら、一度は聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、GIGAスクール構想について紹介します。実現のために何が必要なのか、現状や課題点を解説します。

 

GIGAスクール構想とは】

GIGAスクール構想」とは、2019年に文部科学省によって打ち出された、教育現場のICT化を推進し、子どもたちに個別最適化された教育環境を提供する国家プロジェクトです。
GIGA」は「Global and Innovation Gateway for All」の略で、「すべての子どもたちがグローバルで革新的な扉を開ける」ための環境を整える、という意味を持っています。

・目的:個人に最適化された教育
文部科学省では、GIGAスクール構想の目的を以下のように定義しています。

「1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育ICT環境を実現する

これまでの我が国の教育実践と最先端のICTのベストミックスを図ることにより、教師・児童生徒の力を最大限に引き出す。」

つまり、ICTの活用環境を整備し、子どもたち一人ひとりの学習状況や理解レベルに合わせた教育を実現することを目的としています。

・背景:ICT教育の後れ
国がGIGAスクール構想を打ち出した背景には、日本のICT教育の後れがあります。
2018年の調査では、日本の学校での授業におけるデジタル機器の利用時間は、OECD(経済協力開発機構)加盟国中最下位でした。

モバイル端末の普及率は高いものの、学校外での利用は娯楽がほとんどです。

GIGAスクール構想の根底には、現状のままでは、日本の将来を担う子どもたちが世界のICT化の波に乗り遅れ、ひいては国力の低下につながるという危機感があると言えるでしょう。

・取り組み:ハード以外の整備も重要
文部科学省によるGIGAスクール構想の主な取り組みは次のとおりです。

ハード

・児童生徒1人1台コンピュータを実現

・高速大容量の通信ネットワーク

・全国の自治体や学校がより容易に、より効率的・効果的な調達ができるよう支援

ソフト

・デジタル教科書・教材など良質なデジタルコンテンツの活用を促進

・各教科等ごとにICTを効果的に活用した学習活動の例を提示

AIドリルなど先端技術を活用した実証を充実 

指導体制

・教職員支援機構による,各地域の指導者養成研修の実施

ICT活用教育アドバイザーによる,各都道府県での説明会・ワークショップの開催

ICT支援員など,企業等の多様な外部人材の活用促進

 

端末やネットワークなどのハード面の整備はもちろんのこと、ICTを活用した教材などのソフト面、ICTを効果的に活用するための人材の整備も重要となります。

 

GIGAスクール構想の現状と課題】

2018年に文部科学省が掲げたGIGAスクール構想ですが、2023年の実現目標よりも前倒しして進められているのが現状です。この背景には、新型コロナウイルス感染拡大があります。全国の学校が休校措置を取らざるを得なくなり、教育現場は混乱に陥りました。

そこで必要とされたのがオンライン授業。オンライン授業が可能な環境であれば、休校による学習の遅れを最小限にとどめることができます。このオンライン授業はGIGAスクール構想が押し進める取り組みの一つでした。オンライン授業の必要性が高まるとともに、GIGAスクール構想実現が急ピッチで進められるようになりました。

一方で、GIGAスクール構想実現に向け課題も抱えています。例えばICT教育に必要不可欠な端末。端末導入を含め環境整備には費用がかかるため、学校や自治体によって導入スピードに差が出ている現状があります。特に公立高校のICT端末の整備は喫緊の課題として挙げられます。 

さらにICT教育は従来までの教育方法とは大きく異なる側面もあるため、指導する側がITリテラシーを向上させる必要があります。

また活用の仕方は、学校や自治体によって差が出る部分です。差を埋めるための、活用事例の共有が不十分な点も課題の一つです。

 

GIGAスクール構想を実現していくためのポイント】
GIGAスクール構想を実現する上では、端末や環境の整備だけでなく児童・生徒を指導する教員側にもITリテラシーが必要不可欠です。デジタルネイティブな子どもたちはすぐに慣れることができても、パソコンが苦手な教員にとってはハードルが高いと感じるかもしれません。 

また教員側にもITリテラシーがないと、かえって業務を複雑にすることが考えられます。教員側もGIGAスクール構想やICT教育の重要性を理解し、根気よく取り組むことが大切です。

なお教員のITリテラシーを向上させるためには、IT活用のスペシャリストから学ぶなどの対策が効果的です。ワークショップや説明会に参加したり、学校にICT支援員を配置するなど、ITリテラシーを学ぶ機会が増えています。

 

GIGAスクール構想の成功には教員のスキルアップが必要】
児童・生徒に11台の端末を配布し、ICT教育を行うGIGAスクール構想ですが、現代の教育現場において、避けては通れない道だと感じます。
GIGAスクール構想がうまく機能すれば、これからの日本を担う子どもたちによるSociety 5.0の実現や教員の働き方改革につながるのではないでしょうか。 

GIGAスクール構想の成功は、端末や環境の整備だけでなく教員自身のスキルアップも大切です。教員もICTを活用できるようITリテラシーを身に付けることが今後は必須となると思います。

 

【まとめ】

GIGAスクール構想によって端末整備が進んだとはいえ、それは始まりに過ぎません。ICT教育を効率的に行い、アフターGIGAを乗り越えるためには、運用の中で発生してくる課題に適切に対処していく必要があります。

弊社、株式会社NEQLIASでは、ICT教育やGIGAスクールにおいて必要とされる教員の能力アップに向けたスキルアップ研修や、学年団体での思想をそろえて目標を達成するための教員研修を行なっております。ぜひお気軽にご相談ください。