変化する指導者の在り方とスキル
「指導者」という言葉を耳にした際、皆様はどのような指導者を思い浮かべますか?
また、「指導者」を表す言葉としてどのような言葉が思い浮かぶでしょうか?
学校の先生や塾の講師、企業で言うのであれば上司や研修担当者など様々ではないでしょうか。
今回は、「コーチ」・「ティーチャー」・「インストラクター」・「ファシリテーター」の
“指導者”としての違いをお伝えできればと思います。
【「コーチ」「ティーチャー」「インストラクター」の違い】
どれも普段さりげなく使う指導者の呼び名ですが、
実は意味を調べていくと教え方のスタイルが違うことに気づきます。
・ティーチャー(Teacher)は教える人
Teach(教える)はTeacher=先生など使われる通り「教える人」という意味を持ちます。
教えるという意味に含まれるのは”知識や技術を伝えて身につけさせる”ということです。
教科書の内容を分かりやすく伝える先生が良い例ですが、特定の知識を伝えるというイメージが強い職業で使われます。
例えば、サッカーというスポーツが“どういうもの”で、“何を使って”“どう行うのか”など、
ルールを一から教える人というはこの「ティーチャー」にあたります。
・インストラクター(Instructor)は技術などを指導する人
インストラクション(Instraction)が”指示する”という意味を持ちます。
具体的にこのように動いてください、というように文字通り”指し示す”ということです。
ですから指示によって相手を動かすというニュアンスが含まれるので、スポーツ指導者に最も多く使われる呼称ではないでしょうか?ゴルフインストラクターの他にも、ヨガインストラクターや、パソコンインストラクターなど、お手本を示してその動きを真似てもらうような指導スタイルによく使われるイメージがあります。
インストラクターは、英語でも日本語でも同じで、なにかを指導する人ということです。
指導をすることが前提のため、インストラクターは、特定の分野の知識があること、
特定分野の技術があることが求められます。
例えば、サッカーのボールの蹴り方や基本ポジションの取り方、各ポジションでの必要な動き方などを指導する人にあたります。
・コーチ(Coach)は導く
コーチですが、語源は「乗り物」で目的地まで運ぶ(導く)という意味で指導者に使われている言葉です。
相手の目的地を知る(カウンセリング)から始まり、常に相手の動機(行動の意味付け)を行いながら指導するスタイルです。
なので、あまり理論や意見を押しつけず、相手が達成したい目標や方法で達成できることをサポートするという意味を持っているように思います。
例えば、サッカーにおける戦術やチームに合った練習プランの構築、「勝利」というゴールに導くための必要なサポートを行なってくれる人とのことです。
【ファシリテーターとは?】
ファシリテーターとは、会議やプロジェクトなどの集団活動がスムーズに進むように支援する行為(ファシリテーション)を、専門的に担当する人を指します。
広義では、「ファシリテーター自身は集団活動に参加せず中立的に活動を支援する立場」という意味になりますが、日本のビジネスシーンでは主に会議やミーティング、研修といった場面で参加者の発言を平等に引き出し、会議をゴールに導く進行役のことをファシリテーターと呼びます。
司会進行役にも似ていますが、司会進行役は段取りやプログラム通りに進めるだけの役割で、参加者の発言を引き出すようなことは求められません。
【ファシリテーターの役割】
まず、効率的で有意義な場となるように、議題の検討や参加者の選定、内容の事前説明や資料準備なども必要となります。そして、進行していく中で参加者が意見を出しやすい雰囲気作りに努め、意見の対立が起こった場合には、客観的な立場で双方の意見をバランスよく引き出すように心がけなければなりません。
立場が異なり、多様な考えを持つ参加者の意見をまとめることは難しいものです。しかしながら、ファシリテーターは客観的な立場で意見を聞き、相反すると思われる意見の中から共通点を見出すことが必要です。そして、参加者から同調を得ながら、徐々に意見を取りまとめて集約し、議論を結論へと導いていきます。
サッカーで例えると、“ゴール”を決めるには、
まずボールはどう蹴るのが良いのか、どのようにフィールドを動き回るのが良いのか、
各ポジションの選手がどういった位置取りを保つのが良いのかなど、ゴールを決めるために必要な要素を選手同士で話し合わせ、取りまとめる人がファシリテーターの役割となります。
ファシリテーターはあくまでも客観的にそのチームの状況を分析し、必要な課題を出し、選手に解決させることでチーム力の向上をはかります。
【ファシリテーターに求められるスキル】
ファシリテーターは会議やプロジェクト、研修などのシーンによって求められるスキルが異なります。どのようなシーンにおいてもファシリテーターとして必須となる2つのスキルを紹介します。
・参加者の意見を引き出すスキル
会議の参加者は意見や考えを出し合い、互いの理解や共感を深めてアイディアを広げていくことで、会議の結論に対する納得感を高めることができます。
そのためファシリテーターには、参加者の意見を引き出す、あるいは受け止めるといった、傾聴・応答・観察・質問といったコミュニケーションスキルが求められます。
たとえば、参加者の意見が曖昧なときには発言の意図をくみ取ってほかの参加者に伝えたり、話が長くなる参加者に対しては簡潔になるように促したり、また、発言が苦手な参加者にも相槌や質問をして発言させたりする対応が望ましいです。
・結論に導くスキル
議論すべき点を絞り込んだら、結論に向けて舵取りをします。ファシリテーションでは、全員が納得できる結論を目指します。この時に注意したいのが、異なる意見の対立です。
対立点を明確にしつつ互いの利益を尊重するようにサポートすることで、参加者の結束力は高まり、創造の結論が得られやすくなります。たとえば、ホワイトボードに現状の対立点を書き出し、参加者全員が視覚的に状況を把握できるようにするのもひとつの方法です。
反対に、どちらかの意見だけを採用してしまうと、結論に対して不満が残ってしまい、次回以降の会議に対するモチベーションが下がってしまう人も出てくる可能性があります。
このように対立する意見を融合させ、全員が納得できる形で会議を終わらせるように結論へ導くスキルも、ファシリテーターの必要なスキルといえます。
【今後、需要の高まるファシリテーター】
今後、企業だけではなく学校の教育現場やスポーツ指導においても、ファシリテーターとしての役割が求めらてきます。
スポーツ界では、女子サッカーチームの「INAC神戸」もこのファシリテーターを導入し飛躍的に組織力が上がり数々の勝利を収めてきた実績もあります。
業務の効率化や生産性向上のためにも、進行役であるファシリテーターはますます必要となっています。
今後、企業だけでなく学校の教育現場やスポーツ指導においても、人の成長をサポートする立場の人に求められるスキルとしてファシリテーションスキルや、コーチングスキルが求められます。
教師や、スポーツの指導者がファシリテーションスキルを習得する事で、育成の幅が広がります。
自分で考えて行動ができる人に育てるための大切な考え方です。
スポーツの世界でも、サッカー指導者のS級ライセンス(プロの監督ができる資格)取得の際にファシリテーターの考え方もレクチャーされます。また、日本代表のチームメンバー招集の際は、普段同じチームとして所属していない選手同士の集まりのため、チームビルディングをするためにファシリテーターがチームビルディングを行っています。
これまでは、ビジネスシーンでの活躍が見られるファシリテーターですが、現在は子どもの成長の分野でも注目度が高まっています。
弊社、株式会社NEQLIASでは優秀なファシリテーターが多く在籍しております。
現在では学校研修から企業研修、リーダー研修やサッカーチームのスポンサーなど幅広いサポートを軸に活動しております。
もし、現状より更なる結果に繋げたいとお考えでしたら、お気軽にお問合せくださいませ。