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コラム2023年1月10日

自己決定理論

人間は、何かしらの報酬を得ることを目的に行動するときもあれば、
リスク回避のために行動を起こすときもあります。ほとんどの行動には、
人を突き動かす「動機づけ」があり、リスクよりもメリットが上回りそうなときは自らの希望を優先して、
リスクがメリットを上回りそうなときは、リスク回避を優先してしまうことが多いです。

今回は、スポーツや教育、コーチング、人材マネジメントなど幅広い場面で使われている、
“自己決定理論”をについて記載したいと思います。

 

【自己決定理論とは?】
自己決定理論(Self-determination theorySDT))とは、
1985年にアメリカの心理学者であるエドワード・デシ(Edward L. Deci)と、
リチャード・ライアン(Richard M. Ryan)が提唱した動機づけ(=モチベーション)理論です。
人(親、教師、上司、コーチ、セラピストなど)に指摘されて行動する(非自己決定)ところから、
自発的に行動する(自己決定)に至るまでの道筋が、研究によって明らかにされています。

 

【自己決定理論と3つの基本欲求】

自己決定理論の根幹を支えるのは3つの基本欲求、「有能さ」「関係性」「自律性」です。

・「有能さ」は自分の能力とその証明に対する欲求。

・「関係性」は周囲との関係に対する欲求。

・「自律性」は自己の行動を自分自身で決めることに対する欲求。

 これら3つの欲求が満たされていくことで、
人は内発的動機づけや心理的適応を促進させるのです。

例えば、最初はやらされていたサッカースクール。
しかし少しずつ上手になっていったり(有能さ)、
友人と一緒に練習したり(関係性)、
好きな技や試合でのチャレンジが許されたり(自律性)していくうちに、「やりがい」を感じていきます。

 

【外発的動機づけから内発的動機づけに至る5段階】

自己決定理論では、自己決定の度合いによって、外発的動機づけから内発的動機づけへと変化します。
外発的動機づけは、外的調整、取り入れ的調整、同一化的調整、統合的調整の4段階に分けられ、
自己決定の度合いが高まるのにしたがって段階が進んでいき、内発的動機づけへと至ります。
 

・外的調整:人から言われたので行動する
外的調整は、動機がない状態から一歩進んだ最初の段階で、誰かから言われたために行動します。
この段階では、報酬の獲得や罰則の回避といった外的要因によって行動が調整されます。

具体的には、子どもがご褒美をもらうために勉強や手伝いをする、という状況などが外的調整に当てはまります。
 

・取り入れ的調整:羞恥心や罪悪感から行動する
取り入れ的調整は、誰かに言われたわけではないが、羞恥心や罪悪感、義務感から行動する段階です。
自己決定は少しはあるものの、行動は外的要因によって調整されます。

遅刻するとバツが悪かったり恥ずかしかったりするので時間通り行動する、という状況は取り入れ的調整に当たります。

・同一化的調整:価値があると感じているために行動する
同一化的調整は、楽しいわけではないが、そこに価値を見出しているために行動する段階です。
外発的動機づけの一部ではあるものの、自分自身やその価値観、
目標達成などにとって必要だと感じているために行動します。

例えば、試験に合格するために勉強に励むのは同一化的調整の一例です。


・統合的調整:自分らしさのために行動する
統合的調整は自分らしさのために行動する段階で、
周囲からの期待や要求に価値を見出すだけでなく、それを自分の他の側面と統合して行動します。
そのため、自分自身の価値観や目的、欲求と行動の価値が一致しており、無理なく行動することができます。

統合的調整の例としては、将来の夢を叶えるために受験勉強することが挙げられます。

・内発的動機づけ:やりがいや楽しさから行動する
内発的動機づけは、やりがいや楽しさ、好奇心をもとに行動する段階です。
内発的動機づけがなされると、高い成果が得られ、行動が継続されやすくなります。

また、同一化的調整と統合的調整では動機づけが内在化しており、内発的動機づけと同様の効果があります。そのため、この3つの段階をまとめて「自律的動機づけ」といいます。

 

【まとめ】

ポイントは「なぜ学習するのか」を問いかけ続ける
加えて、「なぜ自分がそれを学習するのか」を問いかけ続けるのも大事です。
最初のうちは、報酬や義務感、必要性が答えになると思います。
しかし段階が進むと、自分の人生の目的や価値観、そもそも楽しいから、
といった答えが浮かんでくるようになります。

問いかけることによって、これらの変化を認識することが大切です。
自己決定理論を理解して、動機づけをコントロールしよう
今回は自己決定理論について記載させていただきました。
「3つの欲求」と「5つの段階」について簡単にイメージはできましたでしょうか。

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