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コラム2022年12月9日

教員負担を減らす部活地域移行は進むのか

公立中学校の休日部活動を、民間のクラブや指導者へ委ねる「地域移行」が2023年度から段階的に始まるとされているのはご存知でしょうか。
スポーツ庁の有識者会議は25年度までの3カ年で完了するように提言されています。

文部科学省においてもこの内容は示されています。

参照:https://www.mext.go.jp/sports/content/20200902-spt_sseisaku01-000009706_3.pdf

鹿児島県内では、43市町村中32自治体が、移行へ向けた協議会を来春までに設立する方針を示したそうです。
教員の働き方改革や少子化の進展で学校単位による部活運営が困難になる中、どう進めていけば良いのでしょうか。

 

【部活動の改革が叫ばれる理由】

部活動に関する問題は、立場や競技の種類によって様々なものがあります。

部活動の地域移行が必要だとされる理由を、

「教員の働き方改革の必要性」

「少子化における部活動の活動の維持」

という、2点に分けて紹介していきます。

 

・教員の働き方改革の必要性

教員の働き方改革を行うにあたって、部活動の改革は欠かせません。

それは、現状の部活動が3つの側面から問題になっているからです。

 

「部活動顧問の長時間労働の原因となっている」

部活動は、学校教育の一環として実施されてきました。

休日にも部活動があることを考えると、教師の負担の上に支えられており、長時間労働を助長する一因です。

実際、公立小・中学校教員の勤務実態調査の報告書にも「中学校教員の勤務時間の長時間化は(中略)特に土日の部活動に費やす時間が長時間化したことによる」とあるなど、改善の必要性が指摘されています。

 

「十分な手当が出ない」

教員が部活動の指導をする際には、特殊勤務手当が支給されます。

この手当の額は、国の方針をもとに自治体が定めており、手当の支給条件や額などは自治体によって様々です。

しかし、支給の基準となる活動時間は最長でも3時間~4時間程度に設定されている場合が多く、その場合、大会など丸1日活動をするような日でも追加の手当が支払われません。実際には、時給換算で最低賃金を割ることもありえるのが現状です。

 

「校長指名を拒否できない」

部活動顧問の指名は、各学校の校長に権限があります。

校務分掌のひとつであり、進路指導や生活指導などのように、教員が協力して分担しています。法令上、校長は勤務時間外の部活動業務を命令することはできないのですが、上司の指示であることや、自分が断れば同僚の誰かがやらなければならないことなどから、部活動顧問を断ることを難しくしています。

 

・少子化における部活動の活動の維持

進行する少子化も、部活動改革が叫ばれる大きな理由になっています。

 

実際、少子化によってサッカーや野球など1チームに多くの人数が必要なスポーツで学校単位でのチームを組めなくなったり、顧問の不足から人数の少ない部活動が廃部になったり、という影響が出ています。現在の部活動の在り方が変わらないと、子どもたちが多様な文化やスポーツに触れる機会が失われる恐れがあります。

本来自主的な取り組みであるはずの部活動が少子化の影響で“必須加入”となってしまうと、それによって苦しむ子どもたちが出てくることも考えられます。

部活動改革には、そのような事態を防ぐ意味合いもあると言えるでしょう。

 

【改革の3つの方向性】

教員の働き方改革と少子化による部員減少という課題について、

どのような解決策があるのか見ていきましょう。

 

・地域移行

地域移行とは、簡単に言うと教員が担っている管理者、指導者という役割を、

民間の方に担ってもらうということです。

 

教員の忙しさを解消するだけでなく、部活動の文化やスポーツの専門性をもった人材を登用することができるメリットもあります。

一方、デメリットもあります。現在の中学校学習指導要領において、部活動は「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」「学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意する」ことが求められています。この教育的な側面が民間の方に依頼したいとして、どのように担保されるのかという問題が懸念されています。また、人件費等の費用がどのように捻出され、何処が負担するのか、といった課題もあります。

 

・合理化(ICT活用など)

教員を部活動の職務から外すだけでなく、部活動自体を変化させていく方法もあります。

 

例えば教師がしっかり目を向けられるときは、全体練習でしかできないチームプレーの確認や事故や怪我が起こらないよう管理の重要な活動を中心にします。

教師が忙しい場合は、筋トレなど個人でできる練習や事故や怪我のリスクの低い活動をまとめることで、教師の負担を軽減できるかもしれません。

またICTの活用によって、個人情報の管理や連絡、書類手続きなどを直接的に業務削減する方法も可能になるかもしれません。

 

・大会の在り方の見直し

部活動の大会の運営も大きな負担の一つです。

基本的に休日に開催され、大会運営の多くが教員によってなされています。

また、大会には部活動の成果としての意味合いが大きくあります。

結果を求めるあまり、勝利至上主義や長時間の活動を引き起こし、

身体の発達以上の負荷やスポーツが「苦しい」ものになりかねないという問題があります。

 

このような観点から、各競技について若年層向けの大会のあり方を見直す動きが出ています。実際、海外では15歳以下の全国大会を廃止した例があるほか、日本でも、全日本柔道連盟が2022年から個人戦の全国小学生学年別大会の廃止をしているようです。

 

【まとめ】

部活動の改革はメリット・デメリットがはっきりとしていて、

すぐに浸透するとはなかなか考えにくいと思います。

部活動に対して熱量のある教員の方もいれば、もちろんそうではない方もいます。

教員と生徒の両局面から考えた際、どちらにもメリット・デメリットが見えてきますね。

弊社、株式会社NEQLIASもこの部活動の改革の一環として、チームビルディング研修を部活動に対して行なっております。

地域のサッカーチームのスポンサーもしておりますので、ぜひ応援してください!

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