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コラム2022年12月27日

教員免許更新制廃止と教員の質

 教員免許更新制度の廃止についてこんな調査を発見しました。
この教員免許更新制度の廃止について、なんと現役教員の96.0%が「賛成」とした一方で、
「免許を保有していない」人の57.6%が「反対」としたことが、
日本トレンドリサーチのアンケート調査よりわかりました。

 

【教員免許更新制度の廃止】

2022511日、参院本会議で「教員免許更新制度の廃止」を含む改正法が可決、成立したのはご存知でしょうか。
教員免許には10年間の有効期限があり、教員は10年ごとに講習を受け更新手続きをしなければならないという現行制度が、7月から廃止となります。
これに伴い、7月からは過去に更新されずに失効してしまった教員免許も復活する見通しだそうです。
文部科学省の調査によると、20215月時点で全国で2,056人の教員が不足しており、
今回の改正により教員経験のないペーパーティーチャーが教壇に立ちやすくなることで、教員不足の解消につながるともいわれている。 

7月から教員免許の更新制度が廃止されることについて、
どのように感じるかを教員免許の有無別に集計したところ、
現役教員は「賛成」88.0%、「どちらかというと賛成」8.0%、計96.0%が「賛成」の意向を示しました。
また「反対」と回答した人は1人もいなかったそうです。
現役の教員ではないが保有している人も、「賛成」45.3%、「どちらかというと賛成」20.0%と「賛成」意見が半数を占めました。
ですが、教員免許を保有していない人は「どちらかというと反対」がもっとも多く33.8%、ついで「反対」23.8%。計57.6%と、半数以上が「教員免許更新制度の廃止」に反対としたそうです。

回答理由としては、
制度の廃止によって「手続きの時間や費用等の負担が減る」
「今は教員として働いていない人が復職しやすい」等、教員として働く人にメリットがある回答理由が多かったようです。

 ですが一方で、子供を持つ親の立場から

「教員の質が下がりそう」

「問題を起こした先生が簡単に復帰できそう」

「ブランクがある人が教師として指導できるのか」といった不安の声が多く出たそうです。

 

【なぜ教員免許更新制度の廃止をするのか】
これは、公立学校における教員不足を解消するために必要だと言う点からです。
その他の対策については、

「給与を上げる。小学校の先生の負担が大きすぎるので、教科担任制を導入する(40代女性「現役の教員ではないが保有している」)」

「快適な勤務環境の確保。教えることがどんどん増えるが減りはしないので、増える教科に関しては別教員を雇ってほしい。当然評価も分業となってほしい(50代男性「現役教員」)」

「クラブ活動の顧問を廃止し、授業だけにした方がいい。土日に試合等で出勤していたら体がもたない(50代男性「保有していない」)」

「親からのクレームに対応する職種を設ける(50代女性「保有していない」)」

「副業禁止の解除(20代女性「保有していない」)」

「パワーハラスメントや教員同士のいじめ等を強く取り締まることで、働きやすさが増し、教員希望者が増えるのでは(20代女性「保有していない」)」等、

現状の教員を取り巻く労働環境の厳しさを再認識させられるようなさまざまな意見が寄せられたそうです。

 

【どう見直すのか? 資質向上が重要】

具体的にどのように見直すのか。更新制を廃止するだけで良いのか、
または講習を大幅に減らすかなど、どのように見直すにしても、
教師の負担を減らすことと、教育の質を高めることを両立させる必要があります。 

実は、更新制が導入される前から、各地の教育委員会が先生たちの研修をしていて、新任の時や3年目、10年目など、随時、行われています。
これが10年ごとの更新講習と重なる内容が多いので、この研修と更新講習の良い部分を生かしながら整理・統合する案が挙げられています。

また、講習をオンラインにして、職場や自宅で受講できるようにするという案も出ています。このほか、2年の間に受講しなければならない条件を5年間などに延長する案などもあります。

ただ、安易に講習や研修を減らすことには心配の声もあります。教師教育の専門家ら1200人あまりでつくる、日本教師教育学会は「更新制の廃止が検討されるのはよいことだが、お仕着せの研修やオンラインで動画を見るだけの研修ばかりになってしまうことが懸念される。教師が自ら学ぶ研修を充実させるとともに、労働環境の抜本的な改善を進めるべきだ」と要望しています。見直しには教師の質の向上という視点が重要だということです。

【まとめ】
コロナ禍の今、教師はデジタル化や多様化などへの対応を迫られているうえ、コロナ禍で修学旅行や遠足の行き先を変えるなどの対応も加わり、厳しい状況が続いています。

少しでも負担が減ることで、わかりやすい授業や子どもとの関わりにつながってほしいと思います。そうして人材の確保と教育の質の両立を図りながら、先生と子どもたちがもっと生き生きと過ごせる学校になってほしいと思います。

弊社、株式会社NEQLIASでは、「質」にこだわった研修プログラムを取り扱っております。

優秀なファシリテーターが在籍しており、教員の皆様の方向性をそろえ、学校全体で取り組むためのチームビルディングを行うことが可能です。

もし、ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。