トライやる・ウィーク~職業体験の役割と意義~
皆様は、“トライやる・ウィーク”という言葉をご存知でしょうか。
これは、兵庫県で実施されている体験活動です。
今回はこの“トライやる・ウィーク”について少し触れてみたいと思います。
【トライやる・ウィークとは】
トライやる・ウィークは、兵庫県が、1995年の阪神・淡路大震災、1997年の神戸連続児童殺傷事件を機に中学生に働く場を見せて学習させようとする趣旨のもと、県内の中学2年生を対象として1998年度から実施されている職場体験、福祉体験、勤労生産活動など、地域での様々な体験活動です。
一部の私立・国立中学校においては、期間が短縮されているか、実施されていないことがありますが、 一週間、中学2年生が職場体験などを通して地域について学び「生きる力」を育むことを目的としている体験活動となります。
【体験活動の内容について】
職場体験活動では、ケーブルテレビ局、病院、農場、工場と様々な職場で活動を行っています。「トライやる・ウィーク実施中」というのぼりを作成し、事業所に立てさせていただいている学校が多くあり、「トライやる・ウィーク」の実施期間中には県内各地で見られる、兵庫県の風物詩となっています。
また、文化・芸術創作体験活動としては、例えば赤穂市の塩田での塩作り、織物、丹波市の陶芸、城崎温泉の麦わら細工等地域の伝統産業を体験し、地域の良さや故郷の恵みに触れることにより、故郷意識の醸成にもつながっています。
・事前事後指導でより効果が出るように
こうした活動に向けての意欲を高め目的意識を明らかにするために、事前・事後指導の充実に努めています。事前指導は、中学1年生から進路学習と関連させながらの指導、活動時の心得や社会人としてのマナー等を学び事前訪問といったことを行っています。
事後指導としては、活動のまとめを作文集や報告書にしてお世話になった事業所への報告、指導ボランティアや保護者を招いての報告会の開催など、中学3年に向け志望する進路実現のために目的意識を高める進路指導につなげています。
【職場体験が求められる背景】
職場体験が求められる背景として、
子どもたちの生活や意識の変容、学校から社会への移行をめぐる様々な課題、
そして、何よりも望ましい勤労観、職業観を育む体験活動等の不足が指摘されています。
社会性の不足、規範意識の低下、人間関係や連帯感の希薄化、集団や社会の一員としての自覚や責任感の低下などが指摘されていることはご存知でしょうか。
そして、若者の世界に漠然とした閉塞感や無力感、あるいは、職業について考えたり、職業の選択・決定を先送りにするモラトリアム傾向やフリーター志向の広がり、高水準で推移する若年者の失業率や就職後の早期離職、また最近ではニートの問題が指摘される中で、生徒の進路意識や目的意識の低下が懸念されています。
一方、このようなことから、学校段階では、従来から課題となっている不登校や中途退学についても、将来の社会的自立に向けた支援の視点から「進路の問題」として捉えることの重要性が指摘されているのです。
【職場体験の必要性】
職場体験には、生徒が直接働く人と接することにより、また、実際的な知識や技術・技能に触れることを通して、学ぶことの意義や働くことの意義を理解し、生きることの尊さを実感させることが求められています。また、生徒が主体的に進路を選択決定する態度や意志、意欲など培うことのできる教育活動として、重要な意味を持っています。
望ましい勤労観、職業観の育成や、自己の将来に夢や希望を抱き、その実現を目指す意欲の高揚を図る教育は、これまでも行われてきたところであるが、より一層大切になってきていると言えます。
職場体験は、こうした課題の解決に向けて、体験を重視した教育の改善・充実を図る取組の一環として大きな役割を担うものです。
特に、生徒の進路意識の未成熟や勤労観、職業観の未発達が大きな課題となっている時代、
生徒が実際的な知識や技術・技能に触れることを通して、学ぶことの意義を理解し主体的に進路を選択決定する態度や意志、意欲など、培うことのできる教育活動として重要な意味を持っていると言えます。
【まとめ】
“トライやる・ウィーク”は、子供たちの将来の選択肢を実際に見ることのできる体験活動だと私は考えます。
学校生活だけでは学びきれない部分、親御様から伝えきれない“仕事”について実際に触れることで、自身の職業観を培うきっかけとなるものです。
こういった取り組みが増えることで将来有望な人材が現れたり、革新的な技術や技能を生み出す可能性もあります。
第二新卒という言葉もある今の時代、どんな仕事をしたいのか、どのように仕事と向き合うのか、そういった学びがある体験活動と言えます。
弊社、株式会社NEQLIASでは、こういった“体験”をベースとしたアウトプット型の研修プログラムを行なっております。
ご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。