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コラム2024年7月1日

デジタル・シティズンシップ教育について

 現代の生活において、インターネットやスマホ、パソコンは必須となってきております。このようなデジタル環境に生まれた時から触れることの多い世代を「デジタル・ネイティブ世代」と呼ぶこともあります。しかし、このようなデジタル環境においては多くのトラブルや危険性があるため、今では学校において「情報モラル教育」が行われていることもあります。そこで、皆様は「デジタル・シティズンシップ」を聞いたことがあるでしょうか。今回の記事ではこの「デジタル・シティズンシップ」について触れていきたいと思います。

 【デジタル・シティズンシップとは】


デジタル・シティズンシップとは、直訳すると“デジタル社会における市民権”となりますが、UNESCOが掲げる定義では「情報を効果的に見つけ、アクセスし、利用し、創造することができ、他のユーザーやコンテンツと積極的に、批判的に、繊細に、そして倫理的に関わり、自らの権利を認識しながら、オンラインとICT環境を安全かつ責任を持ってナビゲートできること」とされています。

これは、デジタル社会において積極的かつ責任を持って行動することを表しています。

 

【デジタル・シティズンシップ教育と情報モラル教育との違い】

デジタル・シティズンシップ教育は、学校で行う「情報モラル教育」と同じとされることもありますが、実際は本質的な部分が違っていると考えます。

情報モラル教育はどちらかというと“抑制“要素が強く、ネット上での大きなトラブルや問題から事前知識を得て危険回避し、ネット依存にならないような利用方法などの教育が行われております。これは現代のデジタル社会をある程度”怖いものだ“という前提で捉えており、子どもたちを守るために、「やってはいけないこと」を教えるという立場からの考え方だと思います。それに対し、デジタル・シティズンシップ教育は、デジタル社会において”どのように“することで、今のデジタル社会でよりうまく生きていけるかを考えるポジティブな捉え方だと思います。そのため、必要な能力を育て、自分たちで何が良くて何が悪いのかを考えさせる立場として教育を行います。つまり”自立的“にデジタル社会で過ごせるようにすることを目的としていると言えます。

 

GIGAスクール構想とデジタル・シティズンシップ教育】

GIGAスクール構想は、生徒1人に対し1台の端末を活用します。これは生徒の情報端末が、これまで当たり前だった「複数人で使う借りもの」から「占有して使う自分のためのもの」に変化したと言えます。従来のICT環境としては、学校が管理していたためルールを提示し守らせる「抑制・他律」が主だったと言えます。しかし、これからは自立型として子どもたち自分で管理をしていくための「活用・自律」の教育が求められています。つまり、この考え方こそが“デジタル・シティズンシップ”そのものなのです。

 

GIGAスクール構想の推進やデジタル庁の設立をもあり、私たちの社会では今後もデジタルの進化が止まることはないでしょう。実際、デジタル化やICT活用にはマイナス面もありますが、マイナス面ばかりに目がいき抑制的になってしまっては結局前に進むことはできません。まずはマイナス面をしっかりと認識し、正しく活用するためにはどのようなことが求められているのか、どのように活用すれば私たちが幸せになれるのかとプラス面でどう考えるかが重要です。プラス面を意識し、ポジティブな行動変容を目指す学びこそが、デジタル・シティズンシップ教育の本質といえます。

 

【まとめ】

 今回はこのデジタル・シティズンシップ教育について取り上げさせていただきました。確かに抑制をし、未然にトラブルや危険から子どもたちを守ると言う考え方も重要です。しかし、今後の生まれてくるデジタル・ネイティブ世代はより進化したネット社会へと飛び込んでいきます。そうした社会の中で、子どもたち自身で自立し自ら考え、どのように向き合って過ごしていくのか、ネットを活用するのかを理解する必要があると考えます。

弊社NEQLIASには優秀なファシリテーターが多数在籍しております。デジタル・シティズンシップ教育の考え方である「どのように考え、どのように活用するのか」を自ら考え行動へ移すと言う視点を持って研修を行っております。インプット型からアウトプット型の独自体験プログラム『VAPIONSプログラム』を行っておりますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。