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コラム2022年11月10日

チームが進化する瞬間〜タックマンモデル〜

学校のクラス形成や会社組織を持続的に成長させるため、チームビルディングを重要視する学校・企業が増加傾向にあります。
組織は「人」の集まりですが、単に「人」を集めただけではチームとしては有効に機能しません。
成果をあげるチームになるためには、メンバー同士が前向きな協力関係を築きながら、相乗効果を生むチームビルディングが必要です。

 

【タックマンモデルとは】

タックマンモデルとは、心理学者のブルース. W. タックマンが1965年に提唱した、
チームビルディングにおける4つの発展段階です。

タックマンは、チームには、

・形成期(Forming
・混乱期(Storming
・統一期(Norming
・機能期(Performing
という、4つの発展段階があることを示し、その過程について明らかにしました。

 

【タックマンモデルにおける4つのステージ】

ここでは各ステージについて具体的にどのような段階なのか説明するとともに、
それぞれの段階においてどのようなチーム形成や組織運営をするのが望ましいかを記述したいと思います。

 

・ステージ1|形成期(Forming)

形成期(Forming)は、チームが結成されたばかりの初期段階を指します。この段階では、メンバーがお互いの人となりや能力・考え方・価値観などを把握していないため、不安や緊張感・ぎこちなさが生じがちです。

そのため、まずはリーダーがチーム全体の目標やそれぞれのメンバーの役割を早期に決定し、目標が達成された際の成功イメージをメンバー全員が共有できるようにすることが重要です。

また相互理解を深めるために、飲み会や交流会を開催して雑談する機会を増やしたり、チームとしての目標を確かめ合ったりすることも有効となります。

 

・ステージ2|混乱期(Storming)

チームでの活動を進めていくうちに、個々の仕事の進め方や考え方における違いが徐々に明確になってきます。そこで意見の衝突が発生し、軋轢が生まれるようになるのが混乱期(Storming)です。

この段階に達した時、飲み会で雑談などをすることは逆効果となります。まずはお互いの認識をすり合わせることが重要なため、お互いが納得行くまで話し合いを続けることが重要です。

また、混乱期においてリーダーはより良い立ち回りをするよう心掛けることが求められます。それぞれのメンバーの仕事に対する考え方・価値観・方針などを可能な限り話して共有してもらい、それをもとに個別にアドバイスすることがチームでの活動を円滑にする助けとなるのです。

 

・ステージ3|統一期(Norming)

仕事の進め方や考え方に関する意見の食い違いを乗り越え、メンバー全員が共通の目標や役割を持てるようになった段階が統一期(Norming)です。

ここまで来ると、各メンバーが自身の能力を最大限に発揮し、他のメンバーの考え方を受け入れられる状態になっています。普段から活発な議論が行われるようになるため、多少の意見の食い違いがあっても自然に解決する場合が多くなります。

重要なのは間違った方向に進まないようにすることです。いくらメンバー全員が同じ方向を向いていても、正しい方向に進まなければ目標は達成できません。リーダーは日頃の議論の内容をしっかりと把握した上で、必要な時には軌道修正を行うことが求められます。

 

・ステージ4|機能期(Performing)

チームが組織として機能し、成功体験を積めるようになる時期が機能期(Performing)です。各メンバーは自身の役割を正しく認識し、互いの個性を認め合いながら自信を持って活動するため、次々と成果を出すことができます。

統一期まではリーダーがアドバイスや軌道修正などを行う必要がありましたが、機能期ではそれまでリーダーが担っていた役割をメンバー自身が果たすことが可能です。

その中でリーダーは、機能期を可能な限り長く持続させることが求められます。細かい指示出しやアドバイスをしようとせず、逆にメンバーが働きすぎで心身を疲労させることのないようリフレッシュを促すことが重要です。

 

・今は、5段階とも言われているので…
散会期(Adjourning

タックマンが提唱しているのは4段階までなので、軽くご紹介させていただきます。
1977
年に新たに1段階を加え、現在では5段階の発展順序であるともされています。

どのようなチームでも、未来永劫活動を続けるわけではありません。目的を達成できたり、時間の制約を受けたりするとやがて解散となります。この時期が散会期(Adjourning)です。

形成期〜機能期の間で各メンバーはスキルを向上させてきたため、そのスキルを別の活動・チームでの仕事で活かす時が来たということでもあります。

 

【タックマンモデルを利用し成功した事例】

タックマンモデルにおける4段階のモデルとチームの役割についてご説明しましたが、実際どのようにしてこのモデルを活用していくのか、実際にタックマンモデルが当てはまる事例及び、活用された事例をご紹介します。

 

・事例1:サッカーワールドカップ2010年南アフリカ大会

2010年南アフリカ大会に出場した岡田ジャパンは、ベスト16という素晴らしい結果を残すも、20102月に行われた東アジアカップでは、非常にふがいない結果に終わっています。このときチームは形成期から混乱期にかけての非常に不安定な状態だったと言われています。

このような中でも岡田監督は、「本気でベスト4を目指したい」「ベスト4を本気で目指す人とサッカーがしたい」と訴え続け、その後選手たちも、じっくり本音で話し合いのできる機会を設けました。
戦い方に関する議論が出たり、インタビューにおいても選手の口から「自分たちのサッカー」というキーワードが飛び交い始めます。この時期が統一期です。

そして迎えたワールドカップ本番の時期に機能期を迎えます。
これまで負け続きだったチームが、まずカメルーン戦で一勝します。続くオランダ戦では、有効だと思っていた戦術がうまく機能しないと選手同士が気づき、フィールド内で対応しました。これまでには見られない「チームとしての動き」です。そして最後のデンマーク戦ではチームとしての組織力を生かした試合展開をするという結果に。

最終的に機能期を迎えられたのも、混乱期をきっかけに皆が本音での話し合いを行い、同じ方向に向かって動き始めたことが大きな要因だったといえるでしょう。

 

・事例2:公立中学校1年生の事例


この中学校は、2つの小学校から進級した生徒たちが通う学校です。
1年2組では、それぞれの小学校からの生徒が20人ずつで構成されたクラスです。
同じ地域という事で、2つの小学校間での交流はありましたが、
ほとんどが顔と名前が一致しない状態で入学を迎えました。
4月は、互いに緊張していたのか、もめ事はほとんどなく落ち着いたクラスの状況でした。
5月に入り、関係性が構築され徐々にグループができ、仲間外れや、グループ間の対立など人間関係の問題が露呈し始めます。
「混乱期」の状態が顕著に表れます。
現状を踏まえ、担任は、クラスの生徒たちへ問題解決の為のアプローチを試みます。
今、クラスで起こっている状態が担任からどのように見えるか客観的視点で伝えます。
その上で、生徒一人一人がどんなクラスを目指していきたいかの確認をヒヤリングしていきました。個々では、「楽しいクラス」「みんなが仲の良いクラス」「このクラスでよかったと思えるクラス」など前向きな内容が多かった事を伝え、今後生徒一人一人が自分たちのクラスをどうしていきたいかをクラス全員で時間をかけて話し合いました。話し合いでは、クラスの理想の姿を共有し、どうすればそのクラスが実現できるかなどの規範も同時に生まれました。

この後もしばらくの間、問題が発生しましたが、その度に、自分たちの規範に照らし合わせどうだったかという振り返りをするようになりました。
クラスは徐々にまとまりはじめ、7月に入り文化際に向けクラスの出し物を決める事になりました。話し合いをする為のクラスの規範もうまれ様々な意見が飛び交いクラスの雰囲気が良くなり、本音で対話ができるようになってきました。
生徒一人一人の方向性が整いはじめ、同じ目標に向かい始め、「統一期」の段階に達しました。

9月に入り文化祭の準備も本格化しはじめました。クラスが同じ方向に向かい、小さないざこざなども起こりましたがこの段階では、担任の力を使わなくても自分たちの力で解決できる状態にまでなっていました。
文化祭の出し物が大成功し、大きな成果を上げる事ができました。
「機能期」に入り、様々な場面で、結果を出せるクラスへと成長していきました。
関係性が構築されていない4月から徐々にクラスが一つにまとまり、生徒一人一人が自律し、自分たちで行動する習慣もうまれました。まさにチームビルディングができたのです。

【まとめ】

チーム・組織としての成功・パフォーマンスの最大化を目指すためには、それぞれのメンバーにビジョンや自身の役割を認識してもらう必要があります。
タックマンモデルの4段階のステージは、相互理解を深めてもらうことにも最適です。

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