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コラム2022年12月23日

【小中一貫教育】 小学校教師と中学校 教師の価値観ギャップ

小学校から中学校への円滑な接続を目指す「小中一貫教育」が広がっています。
中学入学後に環境の変化に戸惑う「中一ギャップ」を緩和する狙いが大きいようですが、
新学習指導要領で2020年度に始まった小学校の英語教育にも影響があるようです。
一方で地域差があったり、教員の負担が増えたりと課題も見え隠れするのが現状です。

 

【小中一貫教育とは】

義務教育9年間を一貫してとらえる教育のことです。

①新たに、9年間学習する「義務教育学校」を作る。

②独立した小学校・中学校が9年間の教育目標などを共有して、
の義務教育学校に準じた形で一貫教育を行なう「小中一貫型小学校・中学校(仮称)」といった、
2つの形態が考えられています。

 

【小中一貫教育のメリット、デメリット】

・メリット

小学校から中学校への接続がスムーズに行うことができ、中1ギャップ、不登校の減少につながる

小学校時の学習で定着しきれなかった内容を中学校の課程において補うことが容易になる

異年齢とのコミュニケーションの機会が増える

小学生の中学生へのあこがれや中学生の小さい子への思いやりが育まれる

小学校の時から子どもを見続けている先生が中学校にもいるので安心であるなど

 

・デメリット

小学校と中学校の節目がなくなり、新たな気持ちの切り替えや進学する充実感がなくなる可能性がある

小学生が中学生をこわがってしまうのではないかという心配がある

小学校と中学校の組織文化、習慣の違いが大きく、その調整に時間がかかるなど

 

【小中一貫教育の取り組みにおける成果】

・学習指導上の成果

各種学力調査の結果の向上

学習意欲の向上、学習習慣の定着

授業の理解度の向上、学習に悩みを抱える児童生徒の減少 など

 

・生徒指導上の成果

「中1ギャップ」の緩和

学習規律・生活規律の定着、生活リズムの改善

自己肯定感の向上、思いやりや助け合いの気持ちの育成

コミュニケーション能力の向上 など

 

・教職員に与えた効果

指導方法への改善意欲の向上、教科指導力・生徒指導力の向上

小・中学校間における授業観や評価観の差の縮小

小学校における基礎学力保障の必要性に対する意識の高まり

小・中学校で共通に実践する取組の増加や小・中学校が協力して指導に当たる意識の高まり

仕事に対する満足度の高まり など

 

・その他

保護者との協働関係の強化、地域との協働関係の強化

学校運営、校務分掌の効率化 など

 

【小中一貫教育における課題】

最後に、小中一貫教育における課題について、いくつかご紹介したいと思います。

 

・子ども達に関する課題

  小中一貫教育を実施することにより、子ども達に対するいくつかの課題も指摘されています。例えば、9年間の一貫教育の中で、子ども達の人間関係が固定化してしまうことによる悪影響の懸念や、通常の小・中学校から小中一貫教育を実施している学校へと転校する場合やその逆の場合に、学習内容の欠落や、適応に 困難が生じる可能性があるという懸念等です。

これらの懸念に対しては、多様な形態での異学年交流の大幅な増加や、転出入時に子どもや保護者に対し、丁寧なガイダンスや未習内容のフォローを行うなど、工夫をしていく必要があります。

 

・教職員に関する課題

 小・中学校の連携を強めるためには、小・中学校 の教職員が互いに話し合い、共通認識を深める必要があります。そのため、小・中学校間の打合せや、小・中学校合同の研修を行うことが有効と考えられますが、これらの時間を確保することが難しい、という指摘があります。日々の業務に追われる中、小中一貫教育を導入することで、特に導入初期段階を中心に、業務量の増加につながる可能性があり、教職員が負担に感じたり、多忙に感じたりすることが課題と指摘されています。

これらに関しては、教職員が感じる負担をできる限り軽減させるため、校務支援システムの導入や、TV会議システムを活用した打合せを行うなど、負担軽減のための支援を検討する必要があります。

 

・制度に関する課題

 小中一貫教育学校(仮称)は、小学校と中学校を一貫した教育を行う学校です。そこに配置される教員は、9年間の課程を見通した上で、質の高い教育を行うことができる力を持っている必要があります。そのため、配置される教員は、小学校及び中学校教員免許状の併有を原則とすることが適当です。しかし、現状では免許の併有率は地域によってばらつきがみられるため、現実的には難しい状況です。

この状況の中で、小中一貫教育を推進するため、しばらくはどちらか一方の免許のみでも対応できる経過措置が必要と考えられています。今後、小中一貫教育における教員免許制度がどのようになっていくか、注目されています。

 

【まとめ】

このように、小中一貫教育には、課題もありますが、日本の義務教育の在り方について、再考する良いきっかけになっているのではないでしょうか。

小学校と中学校が一貫することで、子ども達に対してできることは何だと思いますか?


弊社、株式会社NEQLIASでは、子どもたちのコミュニケーション能力の向上を狙い、円滑な人間関係づくりが出来るようになるための研修プログラムを行なっております。

優秀なファシリテーターが多数在籍しておりますので、実際どのようなことをしているのか、など気になることがありましたらお気軽にお問い合わせ下さい。