コラム2022年12月6日

VUCA時代における教員の働き方

教育の新キーワードの1つとして意識されるようになった「VUCA(ブーカ)」は、
4つの単語の頭文字を合わせて作られた言葉で、近年においては現代社会の状況を表す意味でも用いられます。
まずは、VUCAとは何かを解説します。

 

【「VUCA」(ブーカ)とは】

VUCA」とは以下の4つの英単語の頭文字を取って作られた用語です。

Volatility(変動性)

Uncertainty(不確実性)

Complexity(複雑性)

Ambiguity(曖昧性)

 

・Volatility(変動性)

様々な技術の進歩により、現代社会は常に変化し続けています。ビジネス環境だけみても、パソコンの普及やインターネットの普及、パソコンの性能向上に伴う様々なITサービスの登場など、常に変化し続け、仕事のやり方は変わり続けています。

一度集めた情報や身につけた能力が、しばらく経つと陳腐化することも多くなっており、常に適切な情報を収集し、変化に適応していくことが求められています。

 

・Uncertainty(不確実性)

年功序列や終身雇用といった旧来の雇用形態は少なくなったことを始め、景気や災害、2020年のコロナ禍などにより、「安定、確実」と思われていた企業においても、急激に業績が悪化するということが不思議ではなくなっています。

不確実性が増していることによって、経営の方向性を決めるための予測がより困難な状況になっています。

 

・Complexity(複雑性)

ビジネスのグローバル化などにより、一つの会社や組織、一つの国だけで解決できる課題が少なくなり、解決すべき問題は複雑に絡み合っているものが多くなっています。

また仕事におけるITなどの技術の進歩に伴い、単純作業は機械に任されるようになり、人が行うべき仕事がより高度な内容となっています。

複雑な課題に対して取り組んで行くために、問題や課題の本質を探る能力や、情報を集めて問題や課題を整理・分析する能力、複雑な問題に対して最後までやり遂げる能力などが求められます。

 

・Ambiguity(曖昧性)

環境の変化や不確かさ、問題の複雑さから、ビジネスにおける成果を再現しようとしても、要因を明確にすることが難しくなっています。

また、経営方針に関する裏付けや根拠に関しても同様に、内容を提示した直後に状況が変化することも増えているため、明確に示すことが困難になっています。

 

VUCA時代に求められる教育と人材】

VUCA時代を担う子どもたちには、変化に対応し、持続可能な社会を実現できる能力が求められます。しかしそれらの能力は、従来の受け身の教育だけで身に付けることはできません。ここからは、VUCA時代に求められる教育と人材について解説します。

 


・柔軟で自律的な思考力

これまでの常識が通用しないVUCA時代を生き抜くためには、柔軟で自律的な思考力が必要です。テクノロジーは日々進歩し、医師や弁護士のような職業ですらAIに置き換えられることも考えられます。

AIとの共存生活に対応できるよう、疑問に対して自ら考える力を育てる教育が大切です。VUCA時代には物事の本質を見極める力や、自ら課題を設定し解決できる力を持つ人材が求められるでしょう。

 


・新しい知識の吸収力

新しいテクノロジーの誕生や発展は、VUCA状況を作り出す要因の1つです。企業が存続するうえでは、破壊的イノベーション(これまでのルールをくつがえすような技術革新)が危機を救うチャンスになります。

革新をもたらすためには、新しい知識を幅広く吸収する力が必要です。ICT教育を足掛かりとし、テクノロジーを理解し活用していけるような人材が求められています。

 


・あらゆる状況への対応力

VUCA時代では、あらゆる状況へ臨機応変に対応できる力が必要です。職業や人生設計も不確実で予測できない社会では、「どこでも通用する」人間的能力が欠かせません。

変動する社会では、自分の立場が流動化したときに果断に決断し、新しい道を切り開いていける人材が求められます。

 


・他者との関わりを深める力

VUCA時代を生き抜くためには、他者との関わりも非常に重要になってきます。
SNS
の普及で、リアルに顔を会わさずとも世界中の人々と交流できる時代になりました。

対面が基本だった今までの社会から、大きく様変わりしています。
そんなコミュニケーションのあり方が大きく変わる中だからこそ、
人と人とのコミュニケーション・つながりが非常に重要になっています。

コロナ禍で、対面で家族以外の人と会えない時期が続いた時、
心の支えとなったのはオンライン上のコミュニティでした。
人はいつの時代でも、一人では生きていくことはできません。

対面だろうとオンラインだろうと、人と人とのコミュニケーション・つながりから生み出される価値は、これからの時代、ますます欠かすことができないものになるでしょう。

 

【まとめ】

VUCA時代(変化が激しく、複雑で予測困難な時代)において、環境の変化への柔軟な対応や誰も答えを持たない仕事への挑戦、革新的な発想へ転換するための能力が求められています。

また、これからの時代は一人ひとりが適切な内容を自ら進んで選び学ぶ『戦略的学習力』と「いかなる環境や境遇に置かれても、どこでも活躍するためのスキル」が重要になります 

弊社、株式会社NEQLIASではこのVUCA時代において、
教職員や会社員、学生へ向けた研修プログラムを行なっております。

優秀なファシリテーターが在籍しておりますので、
皆様に合わせたオーダーメイドのプログラムでしっかりと身につけて頂きます。

ご興味がありましたらお気軽にお問い合わせください。

 

 

コラム2022年12月2日

自走する組織をつくるには?

「自ら考え行動できるメンバーを育成してほしい」という企業の要望は年々増えています。同時に“メンバーを育てられるリーダー育成”の要望も増えています。マネジメントと人材育成を両立できる管理職が足りないなかで、指示待ちや受け身のメンバーが増えており、頭を悩ませる企業が多いのです。

 

【「今」必要とされる人とは】

今、社会で働く会社員は二極化が進んでいます。
二極化の一方は、市場や企業から求められている人たちです。
この人たちは様々な機会を得ることができ、高い報酬を手にしています。
もう一方は、希望する機会や報酬を手にすることができていない人たちです。
その差はどうして生まれてしまうのでしょうか?

その違いを生み出している要因の一つは、「自ら考え行動する働き方ができているかどうか?」です。
今は「自ら考え行動できる人」が必要とされる時代です。
その様な社員を一人でも多く増やさなければ企業は成長することができません。
簡単ではありませんが、「自ら考え行動できる人」を教育しなければなりません。

 

【自ら考え行動する社員がいる組織の特徴】

組織づくりの観点から、「自ら考え行動する」社員について考えていきます。
自ら考え行動する社員が多い組織の特徴、そして、自ら考え行動する社員を増やす組織づくりのポイントをお伝えします。

 

・心理的安全性が高い


心理的安全性とは、「年齢、性別、役職などに関係なく自分の思っていることを言いやすい状態」「ありのままの自分をさらけ出せる状態」「自分の失敗を開示したり、初歩的な質問などを躊躇なくできたりする状態」を指します。

心理的安全性という言葉が有名になったのは、Googleの調査がきっかけです。Google社内で生産性の高い組織の特徴を調査した結果、生産性に最も影響を与える要素は、他のどの要素よりもチームの心理的安全性であるという発表です。

心理的安全性がなぜ「自ら考え行動する」社員の育成につながるのでしょうか。心理的安全性が高い状態は、社内での経験や職位が低い若手も気兼ねなく提案や発言ができる状態です。また、的外れな意見やアイデアを出しても批判されることはない、また、価値ある失敗に対しては寛容に受け入れてくれると信じられる状態です。当然、このような心理的安全性が高い状態は「自ら考え行動する」ことにつながります。 

一方で、日本企業の多くは心理的安全性の高い組織が少ないといわれています。昔から「余計なことはするな」「上がやることを見て覚えろ」といった形で、自分で考えることを抑制されていました。そういう組織で「自ら考え行動する」社員が増えることはありません。

 

・チャレンジを歓迎する環境がある

チャレンジを歓迎するという点も重要です。そもそも挑戦できる環境がなければ、自ら考えて行動する機会を活用することは難しいでしょう。最近こそ挑戦を奨励する日本企業も増えていますが、現場レベルで見るとまだまだ少ないのが現状です。

チャレンジといっても新規事業のような大きな話である必要はありません。トヨタ自動車の「カイゼン」のような日々の業務をルーティン化させず、生産性向上に向けて変化に取り組むといったことも立派なチャレンジです。

しかし、チャレンジして失敗した際、「だから勝手なことをするなと言ったんだ」と怒る上司がいたら、現場の若手や新人は“挑戦を歓迎されている”とは思わないでしょう。チャレンジを歓迎する環境作りは容易ではありませんが、実現すれば若手のモチベーション向上につながり、「自ら考え行動する」社員を育成することにつながります。

 

・フィードバックする文化がある


フィードバックする文化も「自ら考え行動する」社員の育成につながります。部下が自ら考え行動したとき、どういった影響をおよぼしたのか、どのような成果や貢献につながったかをフィードバックすることが次の思考や行動につながります。

また、うまくいかなかった際も単に結果を叱責するのではなく「何が原因だったか」「何を学べるか」「もう一回やるならどうするか」などをフィードバックすることが、成功要因や失敗要因を自ら考え、次に挑戦しようという気持ちにつながります。

 

【「自ら考え行動する」社員を育てる組織作りのポイント】

社員が自ら考え行動する組織作りはどうすれば実現できるでしょうか。
組織作りは文化作りともいわれます。重要なことは経営陣のメッセージや上司の理解です。

経営陣が組織作りに関してコミットし、心理的安全性やチャレンジする風土を社員に意識させて浸透させるようにします。
そして上司が経営陣のメッセージを理解して、メンバーに対してチャレンジを歓迎しフィードバックを行ないます。
大事なことは、言葉と行動がともなっていることです。
組織作りには時間がかかりますが、あきらめずに取り組むことが大切です。

 

【まとめ】

「自ら考え行動できる人」は、その人自身の能力ではありません。

学生時代からの経験でそれができる人はわずかです。日本の教育制度的にもこのような考えを持って育っているとは言い難い環境です。

このような人が入社するまで待つ、探すと言うのは途方も無い苦労だと思います。

結論としては、企業が人材を「育てる」方が早いです。

社内体制の見直しから、適任者を見つけ、社内育成に取り組む方がコストも時間も何倍も削減できることは間違いありません。

ですが、実際に内政化を行うには基準となる存在が必要です。

弊社、株式会社NEQLIASではそういった人材を育てることができる研修プログラムを取り扱っております。

優秀なファシリテーターが在籍しておりますので、基礎から実用的な部分までしっかりとお伝えし、スムーズな内政化を行なっていけるよう研修を行います。

ご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

 

コラム2022年11月29日

自分の「当たり前」が、他人の「当たり前」とは限らない

『~~という時には,〇〇して当たり前なのに,できないあの人はおかしい』

皆様はこのような感覚を持ったことはありますか。

 

【一度はこんな経験が…】
例えば,挨拶をしたのに返してもらえなかった時に,
『人に挨拶をされたら返すのが当たり前なのに,それもできないなんておかしな人。』、


他者に対して何か善いことをしたのにお礼を言ってもらえなかった時に,
『人に何かお世話になったらお礼を言うのが当たり前なのに,この人はなんて常識がないなー。』や、

 

他者に迷惑をかけられたのに謝ってもらえなかった時に,
『人に迷惑をかけたら謝るのが当たり前なのに,謝りもしないなんて考えれない。』

など、一度はどこかで思ったことがある方もいるかもしれません。
上記のような感覚を持ったことがある方に考えていただきたいのですが、

“あなたが思った「当たり前」は,間違いなく相手にとっても「当たり前」であり,絶対的な「原則」といえるものかどうか”

ということです。

 

【当たり前と言えるための「原則」】

「原則」は,以下の4つの要素を持っています(※スティーブン・R・コヴィー著「7つの習慣」参照)

 ① 普遍的である(万国共通である)

 ② 不変的である(時代を選ばない)

 ③ 自明の理である(考えなくても感覚的に理解できる)

 ④ 意思に関係なく作用する

つまり「原則」とは、国や人種に関係なく、時代を問わず共通するもので、感覚的に誰しもが理解できるようなものであり、尚且つ誰の意思にも関係なく作用する法則を指します。

典型的な「原則」の例として、『嘘つきよりも正直者の方が信用される』というものがあります。

これは、嘘つきの方が他人に信用されやすい国や人種などはまずないのではないでしょうか。(①普遍性)

また、昔であれば嘘つきの方が信用された、ということも考えにくいです。(②不変性)

嘘つきよりも正直者の方が信用されるということは、考えなくても感覚的に理解できるかと思います。(③自明の理)

どれだけ「嘘つきの方が信用される」と人に信じ込ませようと思っても、そのような人の意思に関係なく、誰しもが「正直者の方が信用できる」と考えると思います。(④意思に関係なく作用する)

このような「原則」に当てはまることについて、それに反することがあったとすれば、それは相手の異常を疑っても良いと思います。

考える限り、非常に低い確率の例外的な状況と言えます。

上記の例でいえば,「嘘つきの方が絶対に信用できる!」と心から信じている人がいたような場合です。

これは,むしろ「なぜ?」と思うべきです。

 

では,このような「原則」に該当しない事柄の場合はどうでしょう。
それでも相手の感覚や反応を「異常である」と断言することはできますか。 

正直、それはとても危険な行為であり,お勧めできません。

「原則」に該当しない事柄であるということは、

・ 国や人種等によって変わりうる考え方(≠普遍性)

・ 時代によって変わりうる感覚(≠不変性)

・ 必ずしも誰しもにとって感覚的に理解できるものではない(≠自明の理)

・ 誰かの意思によって作用しない可能性がある(≠意思に関係なく作用する)

と言えるものだからです。

つまり,「原則」に該当しない事柄の場合,あなたにとって「当たり前」のことであっても,他者にとって「当たり前」といえるとは限らないわけです。

全てを決めつけることは難しいと思います。

上記の内容を瞬間的に考えて発言をしたり行動をしたりしている人は本当に限られた人たちかも知れません。

 

【価値観の違いであること】

今回お伝えしたいのは、「価値観が違う」ということです。

この価値観の違いというものを前提に他者と接するようにすると、

多くの人間関係の悩みはかなり軽減されるはずと我々は考えています。

夫の価値観、妻の価値観、子供の価値観、親の価値観、
兄弟(姉妹)の価値観、友人の価値観、上司の価値観、
部下の価値観、同僚の価値観、顧客の価値観、などなど、

みんなそれぞれ異なります。そして,そこに優劣はありません。

 あくまでも、自分の理想の価値観を追い求めている中で、自分の価値観である「当たり前」を他者に求めてしまい、攻撃的な発言や、相手を罵倒するような発言をしてしまうこともあります。

ですが、改めて考えて頂くと「価値観の違いがある」というのは皆様もお分かりいただけるのではないでしょうか。

自分の当たり前という価値観を押し付けて他者を責めてしまう。

そこから生まれる感情や行動は負の連鎖としかなりません。

今一度、ご自身の価値観を他人へ押し付けていないか、考えてみてください。

周囲にもそういった人がいないか、もしいるのであればこの記事をお勧めしてください。

 

【まとめ】

自分の当たり前は他人の当たり前とは違います。

それは価値観の違いです。ですが、この価値観の違いに気づき、他人の価値観を理解できるようになると、自分の価値観も広がり様々なことにチャレンジできるようになります。

私自身も、仕事をする上で経験のない業種から知らない価値観を教わることで、自分の能力の向上を身を持って体感しております。

しかし、誰もがこの価値観の違いに気づき、理解し吸収できるものではありません。

実際、私も当時の企業へ来ていたファシリテーターによる研修で理解することができました。


弊社、株式会社NEQLIASには優秀なファシリテーターが在籍しております。

当たり前とは何か、どう他人の価値観を理解するのか、そしてどのように自身の能力へと変換していくのかなど、研修プログラムを通じてお伝えしております。

もしご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

 

 

 

 

コラム2022年11月25日

「チームワーク」と「チームビルディング」の違い

チームワークとチームビルディング、これは似ているような、違うような2つの用語です。組織の問題が起こっている場合、この違いによって発生している場合があるかもしれません。この違いについてお伝えさせていただきたいと思います。

 

【「チームワーク」と「チームビルディング」とは】

・チームワーク

「チームワーク(teamwork)とは集団に属しているメンバーが同じ目標を達成するために行う作業、協力、意識、行動など。」(Wikipediaより参照)

チームワークは、集団が同じ目標を達成するために行う行為をさす言葉のようです。

 

・チームビルディング

チームビルディングとは、メンバーの能力や特性を活かし、
高いパフォーマンスを上げるチームを作る取り組みをいいます。
組織全体の生産性を上げるうえでチームビルディングは不可欠な要素です。 

より良いチームにするための研修やワーク、日常業務でのコミュニケーションなども含めて、「チームビルディング」と呼ぶことがあります。

チームワークとの違いですが、イメージで言えば

「チームワークは単なる共同作業、もしくは個人の弱点を補う事に対して、チームビルディングは個人の強みを活かしてチームを創り上げる事」というイメージがあります。

 

「チームビルディング」を効果的に行うためには、段階を経ることが重要です。

「タックマンモデル」は、チームの状態を5段階に分類し、次の段階に移行するためには、どのような施策が求められるのかを明確にしたモデルです。

心理学者のタックマンが提唱したモデルであり、チームビルディングを体現するための有名な理論です。

各段階の概要については、過去のコラムにて解説しております。
↓↓↓
https://neqlias.net/
チームが進化する瞬間〜タッグマンモデル〜/

 

【チームビルディングのメリット】
チームビルディングによって得られる効果やメリットを、あらためて紹介します。
代表的なものは、以下の3つです。 

①コミュニケーションの活性化

共同作業やワーク、イベントなどを通じて、コミュニケーションが活発になります。やりとりがスムーズだと情報共有がしやすくなり、メンバー同士で共通認識を持てるようになるのがメリットです。

②モチベーションの向上

ビジョンの共有や目的の明確化により、目標達成へ向かって、モチベーション高く行動していけるようになります。また、コミュニケーションの活性化により、チームに一体感が生まれ、メンバーの士気が高まります。 

③アイデアが生まれやすくなる

コミュニケーションが円滑に進み、関係性が深まることで、チームでの議論が活発になります。新しいアイデアやイノベーションが生まれやすい組織になるといったメリットがあります。

 

【チームビルディングを成功させるためのポイント】
それでは実際に「どうやってチームビルディングを進めていくか」説明していきます。
チームのパフォーマンス向上や関係の強化を図るには、4つのポイントがあります。

①目標を明確に設定する
はじめに、個人と組織の両方で目標を明確にし、「達成へ向けたマインド」の共有を目指していきます。 

ここで重要となるのは「強制的な目標にしない」ということです。個々人が主体性を持って行動する機能期と違い、形成期ではモチベーション管理が非常に難しいからです。無理にやらされているように感じると、メンバーの士気は下がり、結果的にチームとして機能しなくなる可能性があります。 

②個々の役割を明確にする
次に、メンバー個々の役割分担を明確にし、それぞれの担当領域をチーム内で共有します。 

この時期はタックマンモデルにおいて形成期にあたり、何かとリーダー任せになることが多いです。メンバーは不安を抱えている状態のため、的確な指示がなければチームがまとまりません。

しかし、個々の役割を明確にすることによって、各自が自分のやるべきことを認識できるようになります。今、何をすべきかが明確になるだけで、リーダーの指示を待たずとも、主体的に動けるようになっていきます。

③チーム内で発生した問題や課題を特定して解決策を探す
起きた問題を解決することは、チームビルディングにおいて必須の作業です。タックマンモデルの形成期〜散会期において、段階ごとに様々な問題が発生します。

起きた問題は共通課題として認識し、チーム全体で取り組みましょう。 

例えば、形成期ではメンバーが遠慮がちになり、コミュニケーションが上手くいきません。混乱期では、意見のぶつかり合いや衝突がしばしば起こります。リーダーが価値観の多様性を認めることによって、チーム全体にもそれが浸透していきます。

問題解決は、メンバー間の交流を活性化できるほか、論理的思考力の向上にも繋がります。

適切な対処ができるかどうかで、チームとしてのパフォーマンスや生産性が変わると言っても過言ではありません。

④コミュニケーションの「量」と「質」を保つ
チームビルディングにおいては、コミュニケーションの「量」と「質」を十分に保つことも重要です。形成期ではコミュニケーションの「量」を高め、混乱期に入ると「質」を重視することで、チームを最良の状態に維持します。 

関係が構築できていれば、こまめな情報共有や相互のサポートも可能です。メンバー同士の信頼関係が築けることで、目標達成へと向かうことができます。

 

【まとめ】


チームビルディングを成功させた時のメリットはどんな組織においても効果的と言えるのでは無いでしょうか。

学校のクラスや企業の部署単位でも、メンバーのコミュニケーション能力が上がり、様々なアイデアが生まれるのはクラスや企業を成長させる上で最も重要な事だと言えます。

ですが、いきなりこのようなチームビルディングをスタートして必ずしも成功に至るわけではありません。

弊社、株式会社NEQLIASでは優秀なファシリテーターが在籍しており、このチームビルディングも行っております。

成功させるためのポイントをしっかりと抑えて、クライアント様の状況やご要望に応じてプログラムを構成することが可能となりますので、ご興味がありましたらお気軽にお問合せ下さい。

 

 

コラム2022年11月22日

変化する指導者の在り方とスキル

「指導者」という言葉を耳にした際、皆様はどのような指導者を思い浮かべますか?

また、「指導者」を表す言葉としてどのような言葉が思い浮かぶでしょうか?

学校の先生や塾の講師、企業で言うのであれば上司や研修担当者など様々ではないでしょうか。

今回は、「コーチ」・「ティーチャー」・「インストラクター」・「ファシリテーター」の

“指導者”としての違いをお伝えできればと思います。

 

【「コーチ」「ティーチャー」「インストラクター」の違い】

どれも普段さりげなく使う指導者の呼び名ですが、
実は意味を調べていくと教え方のスタイルが違うことに気づきます。

 

・ティーチャー(Teacher)は教える人

Teach(教える)はTeacher=先生など使われる通り「教える人」という意味を持ちます。
教えるという意味に含まれるのは”知識や技術を伝えて身につけさせる”ということです。
教科書の内容を分かりやすく伝える先生が良い例ですが、特定の知識を伝えるというイメージが強い職業で使われます。 

例えば、サッカーというスポーツが“どういうもの”で、“何を使って”“どう行うのか”など、

ルールを一から教える人というはこの「ティーチャー」にあたります。

 

・インストラクター(Instructor)は技術などを指導する人

インストラクション(Instraction)が”指示する”という意味を持ちます。
具体的にこのように動いてください、というように文字通り”指し示す”ということです。

ですから指示によって相手を動かすというニュアンスが含まれるので、スポーツ指導者に最も多く使われる呼称ではないでしょうか?ゴルフインストラクターの他にも、ヨガインストラクターや、パソコンインストラクターなど、お手本を示してその動きを真似てもらうような指導スタイルによく使われるイメージがあります。

インストラクターは、英語でも日本語でも同じで、なにかを指導する人ということです。
指導をすることが前提のため、インストラクターは、特定の分野の知識があること、
特定分野の技術があることが求められます。

例えば、サッカーのボールの蹴り方や基本ポジションの取り方、各ポジションでの必要な動き方などを指導する人にあたります。

 

・コーチ(Coach)は導く

コーチですが、語源は「乗り物」で目的地まで運ぶ(導く)という意味で指導者に使われている言葉です。
相手の目的地を知る(カウンセリング)から始まり、常に相手の動機(行動の意味付け)を行いながら指導するスタイルです。
なので、あまり理論や意見を押しつけず、相手が達成したい目標や方法で達成できることをサポートするという意味を持っているように思います。

 例えば、サッカーにおける戦術やチームに合った練習プランの構築、「勝利」というゴールに導くための必要なサポートを行なってくれる人とのことです。

 

【ファシリテーターとは?】
ファシリテーターとは、会議やプロジェクトなどの集団活動がスムーズに進むように支援する行為(ファシリテーション)を、専門的に担当する人を指します。

広義では、「ファシリテーター自身は集団活動に参加せず中立的に活動を支援する立場」という意味になりますが、日本のビジネスシーンでは主に会議やミーティング、研修といった場面で参加者の発言を平等に引き出し、会議をゴールに導く進行役のことをファシリテーターと呼びます。

司会進行役にも似ていますが、司会進行役は段取りやプログラム通りに進めるだけの役割で、参加者の発言を引き出すようなことは求められません。

 

【ファシリテーターの役割】

まず、効率的で有意義な場となるように、議題の検討や参加者の選定、内容の事前説明や資料準備なども必要となります。そして、進行していく中で参加者が意見を出しやすい雰囲気作りに努め、意見の対立が起こった場合には、客観的な立場で双方の意見をバランスよく引き出すように心がけなければなりません。 

立場が異なり、多様な考えを持つ参加者の意見をまとめることは難しいものです。しかしながら、ファシリテーターは客観的な立場で意見を聞き、相反すると思われる意見の中から共通点を見出すことが必要です。そして、参加者から同調を得ながら、徐々に意見を取りまとめて集約し、議論を結論へと導いていきます。 

サッカーで例えると、“ゴール”を決めるには、

まずボールはどう蹴るのが良いのか、どのようにフィールドを動き回るのが良いのか、

各ポジションの選手がどういった位置取りを保つのが良いのかなど、ゴールを決めるために必要な要素を選手同士で話し合わせ、取りまとめる人がファシリテーターの役割となります。

ファシリテーターはあくまでも客観的にそのチームの状況を分析し、必要な課題を出し、選手に解決させることでチーム力の向上をはかります。

 

【ファシリテーターに求められるスキル】

ファシリテーターは会議やプロジェクト、研修などのシーンによって求められるスキルが異なります。どのようなシーンにおいてもファシリテーターとして必須となる2つのスキルを紹介します。

 

・参加者の意見を引き出すスキル

会議の参加者は意見や考えを出し合い、互いの理解や共感を深めてアイディアを広げていくことで、会議の結論に対する納得感を高めることができます。 

そのためファシリテーターには、参加者の意見を引き出す、あるいは受け止めるといった、傾聴・応答・観察・質問といったコミュニケーションスキルが求められます。

たとえば、参加者の意見が曖昧なときには発言の意図をくみ取ってほかの参加者に伝えたり、話が長くなる参加者に対しては簡潔になるように促したり、また、発言が苦手な参加者にも相槌や質問をして発言させたりする対応が望ましいです。

 

・結論に導くスキル

議論すべき点を絞り込んだら、結論に向けて舵取りをします。ファシリテーションでは、全員が納得できる結論を目指します。この時に注意したいのが、異なる意見の対立です。

対立点を明確にしつつ互いの利益を尊重するようにサポートすることで、参加者の結束力は高まり、創造の結論が得られやすくなります。たとえば、ホワイトボードに現状の対立点を書き出し、参加者全員が視覚的に状況を把握できるようにするのもひとつの方法です。

反対に、どちらかの意見だけを採用してしまうと、結論に対して不満が残ってしまい、次回以降の会議に対するモチベーションが下がってしまう人も出てくる可能性があります。

このように対立する意見を融合させ、全員が納得できる形で会議を終わらせるように結論へ導くスキルも、ファシリテーターの必要なスキルといえます。

 

【今後、需要の高まるファシリテーター】

今後、企業だけではなく学校の教育現場やスポーツ指導においても、ファシリテーターとしての役割が求めらてきます。

スポーツ界では、女子サッカーチームの「INAC神戸」もこのファシリテーターを導入し飛躍的に組織力が上がり数々の勝利を収めてきた実績もあります。

業務の効率化や生産性向上のためにも、進行役であるファシリテーターはますます必要となっています。

 

今後、企業だけでなく学校の教育現場やスポーツ指導においても、人の成長をサポートする立場の人に求められるスキルとしてファシリテーションスキルや、コーチングスキルが求められます。

教師や、スポーツの指導者がファシリテーションスキルを習得する事で、育成の幅が広がります。

自分で考えて行動ができる人に育てるための大切な考え方です。

スポーツの世界でも、サッカー指導者のS級ライセンス(プロの監督ができる資格)取得の際にファシリテーターの考え方もレクチャーされます。また、日本代表のチームメンバー招集の際は、普段同じチームとして所属していない選手同士の集まりのため、チームビルディングをするためにファシリテーターがチームビルディングを行っています。

これまでは、ビジネスシーンでの活躍が見られるファシリテーターですが、現在は子どもの成長の分野でも注目度が高まっています。

弊社、株式会社NEQLIASでは優秀なファシリテーターが多く在籍しております。

現在では学校研修から企業研修、リーダー研修やサッカーチームのスポンサーなど幅広いサポートを軸に活動しております。

もし、現状より更なる結果に繋げたいとお考えでしたら、お気軽にお問合せくださいませ。

 

コラム2022年11月15日

「チーム」と「グループ」の違い、わかりますか?

「チーム」と「グループ」という2つの単語を並べてみたとき、多くの方はほぼ同じ意味だと感じるかもしれません。しかし、「人が集まった様子」を意味するこの2つの単語は大きな違いがあるのです。

今回は、チームとグループの違いを説明していきながら、チームとして仕事をするときに陥りがちな問題点や「良いチーム」を築き運営するためのコツをご紹介したいと思います。

 

【チームとグループの違い】

・チーム

チームの概念は、スポーツにおける集団競技をイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。

スポーツにおけるチームは、「勝利」という目標を達成するために、
共通の戦術・戦略に基づいて、メンバーはそれぞれの役割と責任を全うしようとします。

つまりチームとは、共通の目標・目的を達成するために、メンバーが協働する集団です。
チームでのビジネスは、メンバーがお互いにサポートしあい、共同作業によって進めていくものと言えますね。

 

・グループ

グループの概念は、動物の「群れ」をイメージすると分かりやすいと思います。

「羊の群れ」には、協力関係や共通の目標は存在しないでしょう。
それぞれの羊が「生存」という目的のために、単独で活動している状態です。

グループとは複数の人が集まり、集団を構成している状態そのものを指します。ある特徴や要素で分類されることはあっても、共通の目標や理念は存在しないのがグループの概念です。

 

【チームとグループそれぞれのメリット】

・チームのメリット

チームで物事・仕事を進めるメリットは、相乗効果による生産性と問題解決力の向上が挙げられます。

チームの相乗効果は、メンバーがそれぞれの足りない部分を補いあったり、問題解決に向け協力しあったりすることで生まれます。相乗効果により、「1+1=2」ではなく「3」や「4」の結果を生むような生産性の向上が期待できるでしょう。

また、問題が生じた際も、複数の頭で協力しながら解決策を考えられます。「三人寄れば文殊の知恵」のことわざの通り、良い知恵が出てきます。結果としてスピーディーな解決が図られ、問題解決力が向上するのです。

 

・グループのメリット

グループで物事・仕事を進めるメリットは、効率アップと個人の成長を促せる点にあります。

グループでは、個人の責任として成果を追求するため、仕事の効率が高まります。特に、専門性の高い特殊な業務を、同時進行でおこなうようなケースには適しているようです。

また、仕事の目標と達成の責任が個人単位で明確になるため、個人の成長を促しやすい点もメリットです。個人単位で成果を求めるため、スキル向上をはじめとした努力の方向性も分かりやすいでしょう。

自分磨きに熱心な人物ほど、短期間で飛躍的な成長を遂げるのではないでしょうか。

 

【チームが機能不全に陥る原因は?】

ビジネス目標達成のために人を集めて作られた「チーム」なのに、うまく機能していないと感じる機会もあるかもしれません。

なぜそのような状態に陥るのか原因と考えられるものを確認してみましょう。

 

共通の目標を把握しておらず、それを常時意識できていない

チームは、目標や目的達成のために集まった人員です。そのようなチームの人員が、共通であるはずの目的・目標をよく理解していない状態のままでは、十分な協力体制を築くことができません。 

また、目標や目的を理解はできていても、それに対する意識が散漫になったり、欠如させたりする状況を放っておくことも、チームを機能させない要因となり得ます。

 

・各人員の役割を明確にできていない

チームワーク(チームで取り組む仕事)において真っ先に決めることは、各メンバーの役割です。どれだけ目標を意識していても、役割分担を初めにきちんと行わない状態のまま作業を始めてしまうと無駄が多くなり、目標へ早くたどり着けません。

 

・熱意や意欲、互いの称賛の意思に欠けている

各メンバーに目標への熱意や高いモチベーションがない状態では、チームとして質の良い共同作業はできません。また、メンバー間で褒め合う場や対話の場がなく、険悪だったり弛緩していたりする雰囲気ではまとまりも生まれないでしょう。

 

【良いチームとして運営するために】

チームのリーダーが強く目標を意識し、それをメンバー全員が理解できるよう明示することが大切です。

また、役割分担をはっきりさせ、メンバーが役割に忠実に動けるように、各業務のマニュアルを作っておくことも効果的です。

さらには会議ではなく、各メンバーの価値観を共有するための「話し合い」の機会を設けることも、良質なチームワークを生み出します。指示・命令ではなく、横のつながりを意識した意思疎通を図ることで「各個人の共通認識としての課題や問題点」を洗い出し、目標の再確認や振り返りにつなげていくことが大切です。

弊社、株式会社NEQLIASではこのようなチームリーダーを育成する研修プログラムを行なっております。

優秀なファシリテーターが在籍しておりますので、チームリーダーを育成し社内での内政化ができるように一度ご検討されてみてはいかがでしょうか。

 

 

コラム2022年11月10日

チームが進化する瞬間〜タックマンモデル〜

学校のクラス形成や会社組織を持続的に成長させるため、チームビルディングを重要視する学校・企業が増加傾向にあります。
組織は「人」の集まりですが、単に「人」を集めただけではチームとしては有効に機能しません。
成果をあげるチームになるためには、メンバー同士が前向きな協力関係を築きながら、相乗効果を生むチームビルディングが必要です。

 

【タックマンモデルとは】

タックマンモデルとは、心理学者のブルース. W. タックマンが1965年に提唱した、
チームビルディングにおける4つの発展段階です。

タックマンは、チームには、

・形成期(Forming
・混乱期(Storming
・統一期(Norming
・機能期(Performing
という、4つの発展段階があることを示し、その過程について明らかにしました。

 

【タックマンモデルにおける4つのステージ】

ここでは各ステージについて具体的にどのような段階なのか説明するとともに、
それぞれの段階においてどのようなチーム形成や組織運営をするのが望ましいかを記述したいと思います。

 

・ステージ1|形成期(Forming)

形成期(Forming)は、チームが結成されたばかりの初期段階を指します。この段階では、メンバーがお互いの人となりや能力・考え方・価値観などを把握していないため、不安や緊張感・ぎこちなさが生じがちです。

そのため、まずはリーダーがチーム全体の目標やそれぞれのメンバーの役割を早期に決定し、目標が達成された際の成功イメージをメンバー全員が共有できるようにすることが重要です。

また相互理解を深めるために、飲み会や交流会を開催して雑談する機会を増やしたり、チームとしての目標を確かめ合ったりすることも有効となります。

 

・ステージ2|混乱期(Storming)

チームでの活動を進めていくうちに、個々の仕事の進め方や考え方における違いが徐々に明確になってきます。そこで意見の衝突が発生し、軋轢が生まれるようになるのが混乱期(Storming)です。

この段階に達した時、飲み会で雑談などをすることは逆効果となります。まずはお互いの認識をすり合わせることが重要なため、お互いが納得行くまで話し合いを続けることが重要です。

また、混乱期においてリーダーはより良い立ち回りをするよう心掛けることが求められます。それぞれのメンバーの仕事に対する考え方・価値観・方針などを可能な限り話して共有してもらい、それをもとに個別にアドバイスすることがチームでの活動を円滑にする助けとなるのです。

 

・ステージ3|統一期(Norming)

仕事の進め方や考え方に関する意見の食い違いを乗り越え、メンバー全員が共通の目標や役割を持てるようになった段階が統一期(Norming)です。

ここまで来ると、各メンバーが自身の能力を最大限に発揮し、他のメンバーの考え方を受け入れられる状態になっています。普段から活発な議論が行われるようになるため、多少の意見の食い違いがあっても自然に解決する場合が多くなります。

重要なのは間違った方向に進まないようにすることです。いくらメンバー全員が同じ方向を向いていても、正しい方向に進まなければ目標は達成できません。リーダーは日頃の議論の内容をしっかりと把握した上で、必要な時には軌道修正を行うことが求められます。

 

・ステージ4|機能期(Performing)

チームが組織として機能し、成功体験を積めるようになる時期が機能期(Performing)です。各メンバーは自身の役割を正しく認識し、互いの個性を認め合いながら自信を持って活動するため、次々と成果を出すことができます。

統一期まではリーダーがアドバイスや軌道修正などを行う必要がありましたが、機能期ではそれまでリーダーが担っていた役割をメンバー自身が果たすことが可能です。

その中でリーダーは、機能期を可能な限り長く持続させることが求められます。細かい指示出しやアドバイスをしようとせず、逆にメンバーが働きすぎで心身を疲労させることのないようリフレッシュを促すことが重要です。

 

・今は、5段階とも言われているので…
散会期(Adjourning

タックマンが提唱しているのは4段階までなので、軽くご紹介させていただきます。
1977
年に新たに1段階を加え、現在では5段階の発展順序であるともされています。

どのようなチームでも、未来永劫活動を続けるわけではありません。目的を達成できたり、時間の制約を受けたりするとやがて解散となります。この時期が散会期(Adjourning)です。

形成期〜機能期の間で各メンバーはスキルを向上させてきたため、そのスキルを別の活動・チームでの仕事で活かす時が来たということでもあります。

 

【タックマンモデルを利用し成功した事例】

タックマンモデルにおける4段階のモデルとチームの役割についてご説明しましたが、実際どのようにしてこのモデルを活用していくのか、実際にタックマンモデルが当てはまる事例及び、活用された事例をご紹介します。

 

・事例1:サッカーワールドカップ2010年南アフリカ大会

2010年南アフリカ大会に出場した岡田ジャパンは、ベスト16という素晴らしい結果を残すも、20102月に行われた東アジアカップでは、非常にふがいない結果に終わっています。このときチームは形成期から混乱期にかけての非常に不安定な状態だったと言われています。

このような中でも岡田監督は、「本気でベスト4を目指したい」「ベスト4を本気で目指す人とサッカーがしたい」と訴え続け、その後選手たちも、じっくり本音で話し合いのできる機会を設けました。
戦い方に関する議論が出たり、インタビューにおいても選手の口から「自分たちのサッカー」というキーワードが飛び交い始めます。この時期が統一期です。

そして迎えたワールドカップ本番の時期に機能期を迎えます。
これまで負け続きだったチームが、まずカメルーン戦で一勝します。続くオランダ戦では、有効だと思っていた戦術がうまく機能しないと選手同士が気づき、フィールド内で対応しました。これまでには見られない「チームとしての動き」です。そして最後のデンマーク戦ではチームとしての組織力を生かした試合展開をするという結果に。

最終的に機能期を迎えられたのも、混乱期をきっかけに皆が本音での話し合いを行い、同じ方向に向かって動き始めたことが大きな要因だったといえるでしょう。

 

・事例2:公立中学校1年生の事例


この中学校は、2つの小学校から進級した生徒たちが通う学校です。
1年2組では、それぞれの小学校からの生徒が20人ずつで構成されたクラスです。
同じ地域という事で、2つの小学校間での交流はありましたが、
ほとんどが顔と名前が一致しない状態で入学を迎えました。
4月は、互いに緊張していたのか、もめ事はほとんどなく落ち着いたクラスの状況でした。
5月に入り、関係性が構築され徐々にグループができ、仲間外れや、グループ間の対立など人間関係の問題が露呈し始めます。
「混乱期」の状態が顕著に表れます。
現状を踏まえ、担任は、クラスの生徒たちへ問題解決の為のアプローチを試みます。
今、クラスで起こっている状態が担任からどのように見えるか客観的視点で伝えます。
その上で、生徒一人一人がどんなクラスを目指していきたいかの確認をヒヤリングしていきました。個々では、「楽しいクラス」「みんなが仲の良いクラス」「このクラスでよかったと思えるクラス」など前向きな内容が多かった事を伝え、今後生徒一人一人が自分たちのクラスをどうしていきたいかをクラス全員で時間をかけて話し合いました。話し合いでは、クラスの理想の姿を共有し、どうすればそのクラスが実現できるかなどの規範も同時に生まれました。

この後もしばらくの間、問題が発生しましたが、その度に、自分たちの規範に照らし合わせどうだったかという振り返りをするようになりました。
クラスは徐々にまとまりはじめ、7月に入り文化際に向けクラスの出し物を決める事になりました。話し合いをする為のクラスの規範もうまれ様々な意見が飛び交いクラスの雰囲気が良くなり、本音で対話ができるようになってきました。
生徒一人一人の方向性が整いはじめ、同じ目標に向かい始め、「統一期」の段階に達しました。

9月に入り文化祭の準備も本格化しはじめました。クラスが同じ方向に向かい、小さないざこざなども起こりましたがこの段階では、担任の力を使わなくても自分たちの力で解決できる状態にまでなっていました。
文化祭の出し物が大成功し、大きな成果を上げる事ができました。
「機能期」に入り、様々な場面で、結果を出せるクラスへと成長していきました。
関係性が構築されていない4月から徐々にクラスが一つにまとまり、生徒一人一人が自律し、自分たちで行動する習慣もうまれました。まさにチームビルディングができたのです。

【まとめ】

チーム・組織としての成功・パフォーマンスの最大化を目指すためには、それぞれのメンバーにビジョンや自身の役割を認識してもらう必要があります。
タックマンモデルの4段階のステージは、相互理解を深めてもらうことにも最適です。

タックマンモデルをベースにしたチームビルディングの取り組みを学ぶには、
株式会社NEQLIASにお任せください。

優秀なファシリテーターが在籍しており、どのような組織でも習得しておきたい基本的なプログラムをベースに、
各事業者が個別に抱える課題に応じてカスタマイズしたプログラムをご提案しております。
チーム形成にお悩みの学校様及び企業様は、ぜひ弊社の研修プログラムをご検討くださいませ。

コラム2022年11月7日

PM理論

 

PM理論とは】
PM理論とは、リーダーシップ機能を類似化するための理論です。
日本の社会心理学者である「三隅二不二」らによって提唱されました。
三隈教授は、大阪大学や九州大学で教鞭を執っており、日本の集団力学の先駆者でした。


理論というと、実務としては使いづらいと思われるかもしれませんが、PM理論は汎用性が高く、かなりわかりやすい理論です。
PM
理論は、目には見えず、評価しにくいリーダーに求められる能力を非常に明確に示してくれるので、組織運営やリーダーシップ開発に役立ちます。

●P機能:目標達成機能(Performance function
P機能とは、集団の目標達成の働きを促進し、強化する機能のことです。
目標設定や計画立案、指示などにより、集団の成績や生産性を高めます。
具体的には、
業務の進捗状況を管理し遂行させる、意思決定の結果を指示する、
知識やスキルを部下に伝える、といった行動が挙げられます。

 

●M機能:集団維持機能(Maintenance function
M機能とは、集団の人間関係を良好に保つことで、
チームワークを維持・強化する機能のことです。
チームに調和をもたらします。
具体的には、
チーム内のトラブルに関与し解決に導く、部下に対して積極的に意見を求める、
部下へ声かけをする、といった行動が挙げられます。

 

PM理論の4つの分類】
PM理論では、リーダーシップを構成するP行動とM行動、頭文字を取って、
リーダーシップの発揮状態を4つに分類します。

P機能の発揮状態

・PP機能を十分に発揮している)

・pP機能をあまり発揮していない)

 

●M機能の発揮状態

・MM機能を十分に発揮している)

・mM機能をあまり発揮していない)

 

PM型:理想的なリーダー

PM型は、P機能とM機能のどちらも強いタイプのリーダーです。
目標達成にも組織の維持・強化に対しても、強い意識をもって行動できます。
PM
理論では、このタイプを最も良いリーダーとしています。
当然ながらビジネスにおいても、PM型リーダーこそが求められる理想的なリーダーといえるのです。
言い換えれば、P機能とM機能のどちらが欠けても理想的なリーダーにはなれないと考えられます。

 

Pm型:成果重視のリーダー

目標達成のための行動に長けている反面、
部下に気を配るような集団維持行動を苦手とするため、
部下のモチベーションやパフォーマンスが低下を引き起こす恐れがあります。
そのため、短期的に成果を上げることができても、長期的には難しくなると考えられています。
ある程度の結果を残すものの、部下からの人望が薄いという典型です。

 

pM型:チームワーク重視のリーダー

pM型は、P機能が弱くM機能が強いタイプのリーダーです。
集団を維持する行動に優れているため、チームワークは保たれやすく、
部下とも良好な関係を築くことができます。
しかし、チームを率いて目標を達成するという点では力不足であり、
メンバーの能力を発揮できず、成果が上がりにくい傾向にあります。

 

pm型:未熟なリーダー

pm型は、P機能もM機能も弱いタイプのリーダーです。
目標達成のための行動に加えて、集団を維持する行動のどちらも苦手としています。
成果を上げられず、部下からの人望も薄いことから、集団をまとめるのが難しいです。
4
つに分類されたリーダー像の中で、最もリーダーに向いていないタイプと考えられています。

 

P機能とM機能を向上させるために】
PM型のリーダーを目指すために、
P
機能(目標達成機能)、M機能(集団維持機能)をそれぞれどのように伸ばしていけばよいのかを説明させていただきます。

 

●「P機能」を向上させるための取り組み

・明確なゴールと達成計画を設定・提示する

まずは、大前提としてリーダーが会社(組織)全体の目指すべき方向性を認識した上で、自分たちの部署やチームが果たすべき役割や目指すゴールをメンバーにしっかりと設定・提示する必要があります。
それを達成するために、メンバーの意識を継続的に促し、
具体的に何をいつまでにやるべきかを伝えていく必要があります。

 

・具体的な達成イメージをチーム内で共有すること

2つ目は、ゴール達成のイメージをチーム内で共有することが必須です。
達成までにすべきことを紐解いて伝えることで、メンバーが共通の理解を持てるとともに、強い意識を持ちながら業務を進めることができ、良い結果へと繋がっていくきっかけにもなります。

 

・目標達成への行動を徹底すること

3つ目は、メンバーに目標を浸透させると共に、達成に向けた行動を徹底させることです。
チームの目標を自分ごととして捉えさせ、各メンバーの業務に、より責任感を持たせつつ
定期的にミーティングを行い、常に全体の進捗を確認・管理するなどの取り組みが想定されます。このような行動を継続することで、P機能向上させていくことができるとされています。

 

 

●「M機能」を向上させるための取り組み

・メンバー一人ひとりと向き合い、丁寧にコミュニケーションを取ることが大切

1つ目は、メンバーと信頼関係を築けるよう丁寧にコミュニケーションを取ることです。

これは、上司対メンバーという縦の人間関係を良好にするためのポイントと言えます。

具体的には、月に一度は1on1ミーティングを行い、メンバーの思い・考えを確認することや、キャリアイメージをヒアリングして共有するという取り組みが想定されます。

また、日常レベルでもメンバー一人ひとりに気さくに声をかけるとか、

メンバーから話を持ち掛けられた際には、仕事を一旦中断して意識を集中するといった心がけも大切です。

 

・メンバー同士の人間関係を良好に保つよう配慮すること

2つ目は、メンバー同士の人間関係に配慮することです。

こちらは、メンバー対メンバーという横の人間関係を維持するためのポイントとなります。

具体的には、会議の場で参加者全員の意見を聞く、

メンバー一人ひとりの価値観を認識・共有し相互理解を深める場を設けるなどの取り組みが有効だと言われています。

 

・チームの心理的安全性を高めるアプローチ

3つ目は、チーム全体の心理的安全性を高める働きかけです。

各メンバーがチームへの貢献実感を持てるよう成果を評価し共有すること、

メンバー全員によるコミュニケーションの場を意識的に設けることで、

互いの言動を肯定できるような体制を作るといったことがあげられます。

これは、縦の人間関係だけでなく、横の人間関係づくりにも役立つポイントだと言えます。

節度をわきまえた上で、お互いに忌憚なく自分の想いを伝えあえるような環境であれば、

チームとしてのまとまりが生まれ、パフォーマンス向上にもつながる。

 

【まとめ】

今回はPM理論の概要から、4つのタイプのリーダー像や、リーダーシップ機能を高めるポイント、PM型リーダーを育成する方法について記事にしました。

リーダーシップを発揮する場面で、P機能とM機能のバランスを意識することは重要です。今回記述したP機能やM機能を向上させるポイントを基にセルフチェックをしてみてはいかがでしょうか。

 

自社でPM型リーダーを育成するには、KPTの活用やメンター制度の導入、外部講師による社員研修の実施が有効です。

弊社、株式会社NEQLIASでは優秀なファシリテーターが在籍しておりPM理論を熟知しております。

“求める理想のリーダー”を育成するためにも、一度研修会にご参加してみてはいかがでしょうか。

 

 

コラム2022年11月4日

関係の質が結果の質を変える

【成功循環モデルとは】

マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱していたものだが、
「成功循環モデル」とは、組織に成功をもたらす基本的な考え方です。
組織の循環モデルには、グッドサイクルとバッドサイクルがあると言われています。

例えば、「どうすれば組織は活性化するのか?」という議題が出た際、
その内容は組織論にとどまらず、モチベーション理論、リーダーシップ理論、
そして戦略論など経営全体に関わる中心テーマとなります。
「成功の循環モデル」はその一つですが、
コーチングとの親和性を強く感じることができる理論であり、今回のコラムで紐解いてみようと思います。

 

「成功の循環モデル」…2つの循環(サイクル)とは…?

●バッドサイクル
活性化していない組織  → 成果を上げようと「結果の質」からサイクルがスタート

(結果が芳しくない状況にあると…)
1.結果の質…結果としての数字ばかりに意識が集まる。(売上・利益至上主義?)
2
関係性の質…上司は話し合いを回避し指示命令に頼る。人間関係がギスギスしてくる。
3
思考の質…仕事をしても面白くない。心理的安全性が脅かされ不安感が膨らんでいく。
4
行動の質…失敗してとがめられるのを回避すべく受身的態度、面従腹背、協働の減退。
1
結果の質…結局のところ“結果”につながらない悪循環のループになっていく。

「関係の質」が悪化すると、メンバーは考えることをやめ、受け身になってしまい、
仕事がつまらないと感じ、「思考の質」が低下してしまいます。
受け身なので、当然自発的・積極的に行動しなくなり、「行動の質」が低下して成果が上がらなくなる、結果的には「結果の質」がさらに低下してしまいます。

 成長が停滞してしまったり、なかなか成果の上がらない組織は、
このようなバッドサイクルに陥っていることがよくあります。

 

●グッドサイクル
活性化している組織  → 「関係性の質」を重視する組織は最終的に「結果の質」が向上していく

(結果が芳しくない状況だからこそ…)
1.関係性の質…上司は指示命令に頼ることなく部下との1on1ミーティングに注力する。上司の態度に感化され、メンバー間でも信頼感が徐々に形成されていく。
2
思考の質…心理的安全性が醸成され不安感が薄まる。狭まっていた思考の幅が広がり、メンバー個々のなかに“気づき”が生まれるようになる。
3
行動の質…メンバーの受身的態度が能動的態度に変わっていくことで、ダイナミズ溢れる組織に変容していく。閉じていた組織から組織間連携も活発になっていく。
4
結果の質…結局のところ“結果”に結びつく好循環のループとなっていく。

グッドサイクルは、「関係の質」を高めるところから始まります。
「関係の質」を高めるとは、相互理解を深め、お互いを尊重し、一緒に考えることである。
ここからスタートすると、メンバーは自分で気づき、面白いと感じるようになり、
「思考の質」が向上していきます。すると、面白いと感じ自分で考え、自発的に行動するようになり、「行動の質」が向上して行きます。
その結果として「結果の質」が向上し、成果が得られ、信頼関係が高まり、「関係の質」がさらに向上するというサイクルを生むのです。

 「関係の質」の大切さを理解せずに、「結果の質」だけを求めていると、
部下との信頼関係を築けず、どんなに努力しても組織として結果を出せないという状況になってしまう可能性もあります。

 

 【「成功循環モデル」の成功例】
ソニーの平井さんは、3回も復活をさせたまさに「成功の循環モデル」の体現者と言えます!

「成功の循環モデル」は、組織活性化を語る上でいかに実践に裏付けられているのか…
『ソニー再生 変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」 日本経済新聞社』である平井さんの行動に、
実践としての効果が見受けられます。

35歳の若い平井さんが、
SCEA(ソニー・コンピュータエンタテインメント・アメリカ)のトップを任されたときの組織風土は最悪で、
「もうこんな会社では働きたくない」と泣き出す社員や、
「ここはストレスが大きすぎる」「みんな言っていることがバラバラです」など、
平井さんが始めた1on1ミーティングのなかで社員は訴えたそうです。

その1on1ミーティングでの平井さんは、社員に向かって、
「将来はこんな風にゲームビジネスを展開したい」といった夢や希望については、
ほとんど話すことがなかった、と語っています。
「目の前にある混乱し疲弊しきった組織を立て直すこと」が先決であり、
だからこそ、社員の話を聴くことに徹したそうです。
遠回りをしていると感じるかもしれませんが、何よりもまずメンバーとの人間関係の質を高めることが、成果を持続的に出していくための近道であると言えます。
メンバーに対して「結果を出せ」と怒鳴り散らす前に、リーダーがやるべき大切な行動だと言えるのではないでしょうか。
結果として、「成長循環モデル」のグッドサイクル通りの流れとなり、ソニーは復活して行きます。
重要なのは、“急がば回れ!” です。


私たち株式会社NEQLIASでは、リーダーの行動変革を通して、部下との信頼関係を築きながら「関係の質」を高め、組織の中でグッドサイクルを目指していく研修を行なっております。
優秀なファシリテーターが在籍しており、「成功循環サイクル」の生み方や、現状の組織の中で弱点となってしまっているポイントを見つけ出し、どう改善していくかなど、一般の社員研修から管理職研修まで幅広く対応しております。

もし、今回の内容にご興味がありましたら、お気軽にお問合せくださいませ。

 

コラム2022年10月31日

自己理解①〜ジョハリの窓〜

【ジョハリの窓とは?】

ジョハリの窓とは、自己分析をおこなう際に使用する心理学モデルのひとつです。
「自分から見た自分」と「他人から見た自分」の情報を切りわけて分析することで、
自己理解をおこなうというものです。
これは、1955年にアメリカの心理学者ジョセフ・ルフトと、
ハリ・インガムが「対人関係における気づきのグラフモデル」を発表したものです。
これが後に、2人の名前を組み合わせた「ジョハリの窓」と呼ばれるようになりました。

ジョハリの窓は、「自分をどのように公開するか?」あるいは「自分をどのように隠すか?」という、
他者とのコミュニケーションの円滑化において重要な考え方にもとづき、提案されました。
自分自身が見た自己と、他者から見た自己の情報を分析することで、

次の4つに区分して自己を理解するというものです。

 

  • 開放の窓

自分も他人も知っている自分の性質

 

  • 盲点の窓

自分は気付いていないが他人は知っている性質

 

  • 秘密の窓

他人は知らないが自分は知っている性質

 

  • 未知の窓

自分も他人も知らない性質

 

【強固な信頼関係がつくられるきっかけに】

ジョハリの窓を理解することで、チーム内の信頼関係をより強固にできます。
例えば、自分では恥ずかしいと思っていることを、勇気を振り絞って相手に話すとします。
すると、思いのほか共感されたり同情されたりするといった経験は、誰しも一回はあるはずです。
相手の弱みを知ると、自分の弱みもさらけ出したくなりますよね。

「今まで隠していた自分」がオープンになったことで相手との距離が近くなり、
信頼関係がいっそう強くなるのです。
社内のチームワークや人間関係においても同じことがいえます。
ジョハリの窓への理解が、さらなるチームワーク向上へとつながるきっかけとなります。

 

【自己理解に有効な理由】
ジョハリの窓が自己理解に有効と言われる理由ですが、
ジョハリの窓を利用することで得られるメリットは複数あります。
最大のメリットは、「自分と他人との認識のズレを洗い出せる」ことです。
自分自身のことは、自分が一番わかっていると思っていても他人から見た自分を知ることで、
自分と他人との間で起きている認識のズレに気がつくことができます。
このズレはなぜおきているのか、他人が見た自分を受け入れ、
よりよい自分を作るために何が必要かを考えるきっかけとなります。

それだけはなく、他人の目を通じて自分の意外な一面を知ること、
短所に気が付くことで自分に何が必要かを考え始めることもできます。
この気付きをもとに自分が変えていくべきことは、
こういう部部分であると考え行動することが重要です。
他人との認識のズレが軽減されることで、
コミュニケーションが円滑に行われ対人関係がスムーズになる、
ストレスを軽減できるなどの期待効果もあります。
参加しているメンバーが、気付きをえることで職場全体のコミュニケーション力があがり、
業務を今まで以上に円滑にできるメリットは企業としては非常に魅力的な効果です。
こうした期待効果があるため、ジョハリの窓は有効性の高い分析手法とされています。

 

【ジョハリの窓の進め方】
紙を2枚準備します。
1枚目は格子状に4つに区切り、
左上から時計回りに開放の窓、盲点の窓、未知の窓、秘密の窓となります。
2枚目には、性格に該当する可能性のある要素を記入します。 

例えば、「性格」を表す言葉として、

・勝気である

・社交的である

・流行に敏感である

といった直感的で回答できる項目を列挙します。

 

【ジョハリの窓を実施する際の注意点】

・主観に左右される

注意する点には「主観に左右されない」ということが大事です。自分自身や他人が持つ印象について洗い出していきますが、相手の嫌われたくないなどの思いでジョハリの窓を実施することはおすすめできません。あくまでジョハリの窓を実施することで、自分自身や相手の自己分析をしていくこと、気付きを得ることが目的です。主観により、思っていないことを書き出していくことではジョハリの窓は持つ意味を損なってしまいます。なぜジョハリの窓を行うかの意味を参加者全員で確認し意義のあるワークを行うことを心掛けましょう。

 

・ポジティブワードで行うこと

ジョハリの窓の大前提は、相手を否定しないことです。洗い出す際に使う用語は、ポジティブワードに統一します。例えば、「短気」と洗い出すような相手を否定する用語を使用することを禁止とします。ジョハリの窓は、相手の悪い性格を洗い出すものではなく、良い点や改善点に気付くためのものです。表現は難しい特徴を示す必要がある場合には、事例を交えて洗い出すやり方や、他の特徴から書き出すようにしましょう。ネガティブワードが重なってしまうと参加者のモチベーションが下がり、意見交換の場も有効な意見を出しあえなくなります。ファシリテーターは洗い出している意見を確認しながら、ネガティブ用語がある場合には、適切な表現に変更する指示を出していきましょう。

 

・深刻にならない雰囲気作り

メンバーの中に、相手を批判するネガティブワードを利用する方がいる場合には、分析対象にストレスとなり深刻な雰囲気を作り出してしまいます。雰囲気が悪化しないためにポジティブワードでの分析を進める必要があります。万が一、深刻な雰囲気を感じた場合には、ファシリテーターによる分析を実施し、雰囲気の改善を行う必要があります。相手を非難することで進んでいくワークにならないためには、ファシリテーターの役割は重要だと理解して進めていきましょう。

 

株式会社NEQLIASでは、優秀なファシリテーターが在籍しております。

「ジョハリの窓」は雰囲気やワードの選び方が重要となります。
間違った方向で実施してしまうと、逆効果にもなりかねません。
非常に良い効果を発揮するワークだからこそ、プロに任せてみるのはいかがでしょうか。
お気軽にお問合せください。