コラム2023年3月15日

「チームとしての学校」の在り方

学校を取り巻く課題が複雑になっていることを背景に、
教員が教科指導や生徒指導に集中できる仕組みの構築を目指した「チーム学校」とよばれる考え方が提唱されています。
私立学校の場合は一部先行している事例もありますが、今後はさらなる地域との連携が求められていくことでしょう。

 

【学校教員の現状】

中央教育審議会の「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」によると、
日本の教員の特徴は以下の3つにまとめられています。 

・学習指導、生徒指導、部活動等、幅広い業務を担い、子どもたちの状況を総合的に把握して指導している。


・欧米諸国と比較して、教員以外の専門スタッフの配置が少ない。


・国際的に見て、勤務時間が長い。


さらに、いじめ、不登校、家庭の貧困問題などへの対応も学校に求められるようになっており、
教員が抱える課題は複雑化していると言えます。
結果として、教員が教科指導や生徒指導に割く時間が十分に確保できていないという問題が指摘されているのです。

 

【「チーム学校」とは?】

このような状況を解決するために、「チーム学校」という考え方が提唱されています。
「チーム学校」とは、
・「専門性に基づくチーム体制の構築」
・「学校のマネジメント機能の強化」
・「教員一人一人が力を発揮できる環境の整備」
3つの視点に沿って学校のマネジメントモデルを転換するものです。 

この中でも特に注目されているのが、「チーム体制の構築」です。
学校内部においては指導体制の充実を図るとともに、
スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、部活動指導員、図書館司書など、
外部の専門性を持つ人々と連携することが想定されています。
これに加え、地域住民と問題を共有するために、地域連携担当の教職員も重要な存在になります。

こういった取り組みにより、教員以外にも専門性を持ったスタッフが配置され、
「チーム」で連携・分担して問題解決にあたることになります。
教員は従来から担ってきたさまざまな役割のうち、教科指導や生徒指導といった
業務に今までよりも集中して取り組むことができるようになると期待されているのです。

 

【「チームとしての学校」の在り方】

これからの学校が教育課程の改善等を実現し、複雑化・多様化した課題を解決していくためには、学校の組織としての在り方や、学校の組織文化に基づく業務の在り方などを見直し、「チームとしての学校」を作り上げていくことが大切です。

そのため、現在、配置されている教員に加えて、多様な専門性を持つ職員の配置を進めながら、教員と多様な専門性を持つ職員が一つのチームとして、それぞれの専門性を生かして、連携・分担することができるよう、管理職のリーダーシップや校務の在り方、教職員の働き方の見直しを行うことが必要だと言えます。

また、「チームとしての学校」が成果を上げるためには、必要な教職員の配置と、学校や教職員のマネジメント、組織文化等の改革に一体的に取り組まなければいけません。

・「チームとしての学校」像

“校長のリーダーシップの下、カリキュラム、日々の教育活動、学校の資源が一体的にマネジメントされ、教職員や学校内の多様な人材が、それぞれの専門性を生かして能力を発揮し、子供たちに必要な資質・能力を確実に身に付けさせることができる学校” 

今後、「チームとしての学校」を実現するためには、
次の3つの視点に沿って学校のマネジメントモデルの転換を図っていくことが必要です。 

  • 専門性に基づくチーム体制の構築

 教員が教育に関する専門性を共通の基盤として持ちつつ、それぞれ独自の得意分野を生かし、学校の中で、学習指導や生徒指導など様々な教育活動を「チームとして」担い、子供に必要な資質・能力を育むことができるよう指導体制を充実していくことが重要です。

 さらに、心理や福祉等の専門スタッフを学校の教育活動の中に位置付け、教員との間での連携・分担の在り方を整備するなど専門スタッフが専門性や経験を発揮できる環境を充実していくことが必要です。

 

  • 学校のマネジメント機能の強化

 教職員や専門スタッフ等の多職種で組織される学校がチームとして機能するよう、管理職の処遇の改善など、管理職に優れた人材を確保するための取組を国、教育委員会が一体となって推進するとともに、学校のマネジメントの在り方等について検討を行い、校長がリーダーシップを発揮できるような体制の整備や、学校内の分掌や委員会等の活動を調整して、学校の教育目標の下に学校全体を動かしていく機能の強化等を進めることが必要です。

 また、主幹教諭の配置を促進し、その活用を進めるとともに、事務職員の資質・能力の向上や事務体制の整備等の方策を講じることにより、学校の事務機能を強化することが必要です。

 

  • 教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備

 教職員や専門スタッフ等の多職種で組織される学校において、教職員一人一人が力を発揮し、更に伸ばしていけるよう、教育委員会や校長等は、「学び続ける教員像」の考え方も踏まえ、学校の組織文化も含めて、見直しを検討し、人材育成や業務改善等の取組を進めることも必要です。

 また、教育委員会は、教職員が安心して教育活動に取り組むことができるよう、学校事故や訴訟への対応について、教職員を支援する体制を強化していくことが求められています。

 

【まとめ】

チーム学校においては、教員が本質的に担うべき業務は何か、
他のスタッフとの役割分担や連携のあり方はどうあるべきか、などについて考えていく必要があります。

また、従来のままの学校組織の感覚では対応できない面もあります。

チーム学校を機能させるためには、まず学校や教師集団が自らの理念やビジョンを持つことです。
その上で、社会的な議論や対話をもとに、学校の使命の再定義を行っていくなかで、
学校内外の連携・協働のあり方やチームづくりの進め方を模索していくことが重要になります。


弊社、株式会社NEQLIASではチーム作りにおける研修プログラムを取り扱っており、優秀なファシリテーターが研修を行います。
このチーム学校の実現には、学校としての方向性や、同じベクトルを向くために揃えることが必要不可欠です。
実際にどのようにするのか、どんなことをしているのか気になる方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

 

 

コラム2023年2月21日

心理的安全性について

ビジネスの世界で注目を集める「心理的安全性」という言葉があります。
その重要性は分かっているけれど、具体的にどのようなコミュニケーションで
心理的安全性の高い環境を整えればいいのか分からないリーダーも多いのではないでしょうか。

「心理的安全性って何?」

「心理的安全性でどんな効果があるの?」

こういったお悩みを少しでも解決できればと思います。

 

【心理的安全性とは】

「心理的安全性」とは、「サイコロジカル・セーフティ(psychological safety)」を日本語に訳した言葉です。
ビジネスに関する心理学用語の一つとされており、ハーバード大学で組織行動学を研究するエイミー・エドモンドソン教授が1999年に概念を提唱されました。

エドモンドソン教授によると心理的安全性は、

「チームにおいて、他のメンバーが自分が発言することを恥じたり、拒絶したり、罰をあたえるようなことをしないという確信をもっている状態であり、チームは対人リスクをとるのに 安全な場所であるとの信念がメンバー 間で共有された状態」と定義されています。

 

・なぜ心理的安全性が注目されているのか?

心理的安全性という言葉が知られたのは最近ですが、
注目されたのは、上述したGoogle(グーグル)の研究結果が発表されたのがきっかけです。 

離職率が高い、生産性が低い、アイディアがなかなか生まれないといった悩みがある中で、調査における「心理的安全性の高いチームのメンバーは、Google からの離職率が低く、他のチームメンバーが発案した多様なアイデアをうまく利用することができ、収益性が高く、「効果的に働く」とマネージャーから評価される機会が2倍多い」という結果は、衝撃を与えるものでした。

生産性の高いチーム作りには心理的安全性が重要であることが広く知られ、国内外で注目されることになったのです。

 

【「心理的安全性」がチームにもたらす3つのメリット】

では、チームで仕事を進めていく際、具体的に「心理的安全性」はどのようなメリットをもたらすのでしょうか。例えば、心理的安全性が高いチームは、各自が主体的な行動を取り、チーム内のアイデアを効果的に活用することができると言われています。

ここでは、大きく3つに分けてメリットを紹介したいと思います。

 

1】チームメンバーのパフォーマンス向上

心理的安全性が高くなると、チームのメンバーにフロー状態が生じます。フロー状態とは、心理学で夢中になる、のめり込んでいるといった精神状態を意味します。メンバー全員が安心しながら集中して仕事に取り組めるため、業務の生産性も高くなると言われており、また、何かにのめり込むとドーパミンの分泌量が増え、仕事へのストレスも緩和されるとされています。

 

2】イノベーションや改善の推進

チームに心理的安全性があることで、マネジメント層でなくても各自が、現状をより良くしていこうという前向きなマインドに変化していきます。新しい物事や困難なことに立ち向かいやすくなるため、イノベーションや改善が生まれやすい組織が出来上がるといわれております。一方、心理的安全性が低い組織は、「面倒がられるだけ」、「理解してもらえないから言っても無駄」といった状態に個々が陥りやすいと言うデメリットもあります。

  

3】質の高い「エンプロイー・エクスペリエンス」の提供

「エンプロイー・エクスペリエンス」は、メンバーが仕事を通して得られる体験を指します。例えば、入社してから体験する社内制度やルール、退所までに経験する様々な出来事などです。心理的安全性が高ければ、メンバーがどのような体験によってモチベーションが上がるかマネジメント層や周囲のメンバーが考える傾向にあります。その結果、一人ひとりにとって仕事の原動力になるような最適な経験を提供しやすくなります。

 

【心理的安全性をあげるためにリーダーがすべきこと】

職場の心理的安全性を高める鍵はリーダーシップをとる人物、
たとえば、職場全体では上司、チームであればリーダーの存在です。 

リーダーは組織をまとめるという役割がありますが、心理的安全性を高めるにはそのリーダー自身も自ら変えていくべきことがあります。こちらでは、リーダーがすべきポイントについて解説します。

 

・親しみのある人物になる

リーダーが尊敬できる人物というのは理想的ですが、「尊敬できる人物であっても近寄りがたい存在であってはならない」と意識することが大切です。 

心理的安全性が高いチームや職場の基本として、コミュニケーションが活発である点が挙げられています。部下のほうから気軽な話題を振りにくい場合もあるため、リーダーや上司から仕事以外の会話でコミュニケーションをとるのもひとつの方法です。

また、朝一で職場に到着したときに挨拶をするのも良いでしょう。大切なのはリーダーも含めて、コミュニケーションがとれている職場・チームであることです。

 

・わからないときはわからないと伝える

「リーダーであるからには部下にとって完璧でなければ」と考えてしまうかもしれませんが、何でもできる完璧な人間はいません。パーフェクトに見える人物であっても、陰で努力した結果であることも多いです。「親しみがある人物になること」にもつながりますが、会話のなかでわからないことがあったときは、素直に「わからない」と伝えることが大切です。

また、経験を積んでいてもミスをするときがあることを示すのもポイントになります。リーダーにもそういった部分があるとわかれば、部下も素直に自分の弱みをさらけ出し、互いにサポートし合う環境が整いやすくなるからです。

 

・相手を受け入れている姿勢を見せる

相手が発言しているときにはきちんと話を聞いていることが目に見えてわかるようにする、誰かの意見が出たときにメンバーにも意見を求めるなど相手を受け入れている姿勢を見せることは非常に重要です。

話を聞いている姿勢とは、たとえば、相手が発言しているときにほかの作業をしながら聞かない、必要であれば質問したり、なるほどと相槌を打ったりすることが挙げられます。

 

・指示をするときにはできるだけ具体的に

信頼関係が生まれると「言わなくてもわかるだろう」という気持ちから、細かな部分まで説明や指示をしない人もいます。
しかし、相手の気持ちは直接言葉で聞かなければわからないのと同じで、指示もできる限り具体的にしたほうがより正確に実行することが可能です。

具体的な指示をされてもわからない部分があれば、相手もピンポイントで質問しやすくなるため、業務の効率アップにつながります。

 

【まとめ】
心理的安全性が高い職場では、リーダーの存在が重要です。
組織をまとめるためには上下関係をはっきりさせることも大切ですが、部下にとって親しみがあり、何でも話しやすい存在でなければなりません。 

そのため、仕事以外の会話をしたり、あえて自分もミスをすることがあると打ち明けたりと話しやすい雰囲気をつくることも大切です。

弊社NEQLIASは心理的安全性を高めるサポートとして、
優秀なファシリテーターがリーダーズ研修を行なっております。
まずはお気軽にお問い合わせください。

 

 

 

 

お知らせ2023年2月15日

天理大学にてリーダーズキャンプ実施

今回、”第58回天理大学リーダーズキャンプ”を210日、天理大学の杣之内キャンパスにて行いました!

文化・体育総部や同好会のキャプテンや、学科会・コース会、学寮の代表者など、総勢146名の学生様にご参加頂きました

各団体の代表者が集まり、リーダーとしての資質向上を図り、相互の親睦を深めることを目的に実施致し、
ご参加頂いた学生様には、「チームとは」・「自分のリーダーの在り方」などをアクティビティを通じて学んで頂きました。
初対面の班でも、アイスブレイクを行い、各個人の意見を伝え合い、互いの思考や考え方を受け入れる大切さを体験していただく事で関係性が構築され相互の親睦を深める事ができました。
「頭で理解している事」と「実際にできる事」の違いもアクティビティを通じて学び、改めてチームや、リーダーシップとは何かを考えるきっかけを提供できたと思います。
これから、チームを引っ張るリーダー達が今回の研修で出会った仲間と切磋琢磨してより良い組織づくりにチャレンジしていただければと思います。

天理大学様も公式ホームページにてご紹介頂いておりますので、ぜひご覧ください♪

2023年02月14日 【お知らせ】第58回天理大学リーダーズキャンプについて

 

今年度は、ご継続いただいております学校様・企業様に加えて、新たな学校様や企業様、クラブチーム様などからもご依頼を頂いておりますので、順次お知らせにてご報告したいと思います!

ご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください♪