コラム2022年11月7日

PM理論

 

PM理論とは】
PM理論とは、リーダーシップ機能を類似化するための理論です。
日本の社会心理学者である「三隅二不二」らによって提唱されました。
三隈教授は、大阪大学や九州大学で教鞭を執っており、日本の集団力学の先駆者でした。


理論というと、実務としては使いづらいと思われるかもしれませんが、PM理論は汎用性が高く、かなりわかりやすい理論です。
PM
理論は、目には見えず、評価しにくいリーダーに求められる能力を非常に明確に示してくれるので、組織運営やリーダーシップ開発に役立ちます。

●P機能:目標達成機能(Performance function
P機能とは、集団の目標達成の働きを促進し、強化する機能のことです。
目標設定や計画立案、指示などにより、集団の成績や生産性を高めます。
具体的には、
業務の進捗状況を管理し遂行させる、意思決定の結果を指示する、
知識やスキルを部下に伝える、といった行動が挙げられます。

 

●M機能:集団維持機能(Maintenance function
M機能とは、集団の人間関係を良好に保つことで、
チームワークを維持・強化する機能のことです。
チームに調和をもたらします。
具体的には、
チーム内のトラブルに関与し解決に導く、部下に対して積極的に意見を求める、
部下へ声かけをする、といった行動が挙げられます。

 

PM理論の4つの分類】
PM理論では、リーダーシップを構成するP行動とM行動、頭文字を取って、
リーダーシップの発揮状態を4つに分類します。

P機能の発揮状態

・PP機能を十分に発揮している)

・pP機能をあまり発揮していない)

 

●M機能の発揮状態

・MM機能を十分に発揮している)

・mM機能をあまり発揮していない)

 

PM型:理想的なリーダー

PM型は、P機能とM機能のどちらも強いタイプのリーダーです。
目標達成にも組織の維持・強化に対しても、強い意識をもって行動できます。
PM
理論では、このタイプを最も良いリーダーとしています。
当然ながらビジネスにおいても、PM型リーダーこそが求められる理想的なリーダーといえるのです。
言い換えれば、P機能とM機能のどちらが欠けても理想的なリーダーにはなれないと考えられます。

 

Pm型:成果重視のリーダー

目標達成のための行動に長けている反面、
部下に気を配るような集団維持行動を苦手とするため、
部下のモチベーションやパフォーマンスが低下を引き起こす恐れがあります。
そのため、短期的に成果を上げることができても、長期的には難しくなると考えられています。
ある程度の結果を残すものの、部下からの人望が薄いという典型です。

 

pM型:チームワーク重視のリーダー

pM型は、P機能が弱くM機能が強いタイプのリーダーです。
集団を維持する行動に優れているため、チームワークは保たれやすく、
部下とも良好な関係を築くことができます。
しかし、チームを率いて目標を達成するという点では力不足であり、
メンバーの能力を発揮できず、成果が上がりにくい傾向にあります。

 

pm型:未熟なリーダー

pm型は、P機能もM機能も弱いタイプのリーダーです。
目標達成のための行動に加えて、集団を維持する行動のどちらも苦手としています。
成果を上げられず、部下からの人望も薄いことから、集団をまとめるのが難しいです。
4
つに分類されたリーダー像の中で、最もリーダーに向いていないタイプと考えられています。

 

P機能とM機能を向上させるために】
PM型のリーダーを目指すために、
P
機能(目標達成機能)、M機能(集団維持機能)をそれぞれどのように伸ばしていけばよいのかを説明させていただきます。

 

●「P機能」を向上させるための取り組み

・明確なゴールと達成計画を設定・提示する

まずは、大前提としてリーダーが会社(組織)全体の目指すべき方向性を認識した上で、自分たちの部署やチームが果たすべき役割や目指すゴールをメンバーにしっかりと設定・提示する必要があります。
それを達成するために、メンバーの意識を継続的に促し、
具体的に何をいつまでにやるべきかを伝えていく必要があります。

 

・具体的な達成イメージをチーム内で共有すること

2つ目は、ゴール達成のイメージをチーム内で共有することが必須です。
達成までにすべきことを紐解いて伝えることで、メンバーが共通の理解を持てるとともに、強い意識を持ちながら業務を進めることができ、良い結果へと繋がっていくきっかけにもなります。

 

・目標達成への行動を徹底すること

3つ目は、メンバーに目標を浸透させると共に、達成に向けた行動を徹底させることです。
チームの目標を自分ごととして捉えさせ、各メンバーの業務に、より責任感を持たせつつ
定期的にミーティングを行い、常に全体の進捗を確認・管理するなどの取り組みが想定されます。このような行動を継続することで、P機能向上させていくことができるとされています。

 

 

●「M機能」を向上させるための取り組み

・メンバー一人ひとりと向き合い、丁寧にコミュニケーションを取ることが大切

1つ目は、メンバーと信頼関係を築けるよう丁寧にコミュニケーションを取ることです。

これは、上司対メンバーという縦の人間関係を良好にするためのポイントと言えます。

具体的には、月に一度は1on1ミーティングを行い、メンバーの思い・考えを確認することや、キャリアイメージをヒアリングして共有するという取り組みが想定されます。

また、日常レベルでもメンバー一人ひとりに気さくに声をかけるとか、

メンバーから話を持ち掛けられた際には、仕事を一旦中断して意識を集中するといった心がけも大切です。

 

・メンバー同士の人間関係を良好に保つよう配慮すること

2つ目は、メンバー同士の人間関係に配慮することです。

こちらは、メンバー対メンバーという横の人間関係を維持するためのポイントとなります。

具体的には、会議の場で参加者全員の意見を聞く、

メンバー一人ひとりの価値観を認識・共有し相互理解を深める場を設けるなどの取り組みが有効だと言われています。

 

・チームの心理的安全性を高めるアプローチ

3つ目は、チーム全体の心理的安全性を高める働きかけです。

各メンバーがチームへの貢献実感を持てるよう成果を評価し共有すること、

メンバー全員によるコミュニケーションの場を意識的に設けることで、

互いの言動を肯定できるような体制を作るといったことがあげられます。

これは、縦の人間関係だけでなく、横の人間関係づくりにも役立つポイントだと言えます。

節度をわきまえた上で、お互いに忌憚なく自分の想いを伝えあえるような環境であれば、

チームとしてのまとまりが生まれ、パフォーマンス向上にもつながる。

 

【まとめ】

今回はPM理論の概要から、4つのタイプのリーダー像や、リーダーシップ機能を高めるポイント、PM型リーダーを育成する方法について記事にしました。

リーダーシップを発揮する場面で、P機能とM機能のバランスを意識することは重要です。今回記述したP機能やM機能を向上させるポイントを基にセルフチェックをしてみてはいかがでしょうか。

 

自社でPM型リーダーを育成するには、KPTの活用やメンター制度の導入、外部講師による社員研修の実施が有効です。

弊社、株式会社NEQLIASでは優秀なファシリテーターが在籍しておりPM理論を熟知しております。

“求める理想のリーダー”を育成するためにも、一度研修会にご参加してみてはいかがでしょうか。

 

 

コラム2022年11月4日

関係の質が結果の質を変える

【成功循環モデルとは】

マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱していたものだが、
「成功循環モデル」とは、組織に成功をもたらす基本的な考え方です。
組織の循環モデルには、グッドサイクルとバッドサイクルがあると言われています。

例えば、「どうすれば組織は活性化するのか?」という議題が出た際、
その内容は組織論にとどまらず、モチベーション理論、リーダーシップ理論、
そして戦略論など経営全体に関わる中心テーマとなります。
「成功の循環モデル」はその一つですが、
コーチングとの親和性を強く感じることができる理論であり、今回のコラムで紐解いてみようと思います。

 

「成功の循環モデル」…2つの循環(サイクル)とは…?

●バッドサイクル
活性化していない組織  → 成果を上げようと「結果の質」からサイクルがスタート

(結果が芳しくない状況にあると…)
1.結果の質…結果としての数字ばかりに意識が集まる。(売上・利益至上主義?)
2
関係性の質…上司は話し合いを回避し指示命令に頼る。人間関係がギスギスしてくる。
3
思考の質…仕事をしても面白くない。心理的安全性が脅かされ不安感が膨らんでいく。
4
行動の質…失敗してとがめられるのを回避すべく受身的態度、面従腹背、協働の減退。
1
結果の質…結局のところ“結果”につながらない悪循環のループになっていく。

「関係の質」が悪化すると、メンバーは考えることをやめ、受け身になってしまい、
仕事がつまらないと感じ、「思考の質」が低下してしまいます。
受け身なので、当然自発的・積極的に行動しなくなり、「行動の質」が低下して成果が上がらなくなる、結果的には「結果の質」がさらに低下してしまいます。

 成長が停滞してしまったり、なかなか成果の上がらない組織は、
このようなバッドサイクルに陥っていることがよくあります。

 

●グッドサイクル
活性化している組織  → 「関係性の質」を重視する組織は最終的に「結果の質」が向上していく

(結果が芳しくない状況だからこそ…)
1.関係性の質…上司は指示命令に頼ることなく部下との1on1ミーティングに注力する。上司の態度に感化され、メンバー間でも信頼感が徐々に形成されていく。
2
思考の質…心理的安全性が醸成され不安感が薄まる。狭まっていた思考の幅が広がり、メンバー個々のなかに“気づき”が生まれるようになる。
3
行動の質…メンバーの受身的態度が能動的態度に変わっていくことで、ダイナミズ溢れる組織に変容していく。閉じていた組織から組織間連携も活発になっていく。
4
結果の質…結局のところ“結果”に結びつく好循環のループとなっていく。

グッドサイクルは、「関係の質」を高めるところから始まります。
「関係の質」を高めるとは、相互理解を深め、お互いを尊重し、一緒に考えることである。
ここからスタートすると、メンバーは自分で気づき、面白いと感じるようになり、
「思考の質」が向上していきます。すると、面白いと感じ自分で考え、自発的に行動するようになり、「行動の質」が向上して行きます。
その結果として「結果の質」が向上し、成果が得られ、信頼関係が高まり、「関係の質」がさらに向上するというサイクルを生むのです。

 「関係の質」の大切さを理解せずに、「結果の質」だけを求めていると、
部下との信頼関係を築けず、どんなに努力しても組織として結果を出せないという状況になってしまう可能性もあります。

 

 【「成功循環モデル」の成功例】
ソニーの平井さんは、3回も復活をさせたまさに「成功の循環モデル」の体現者と言えます!

「成功の循環モデル」は、組織活性化を語る上でいかに実践に裏付けられているのか…
『ソニー再生 変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」 日本経済新聞社』である平井さんの行動に、
実践としての効果が見受けられます。

35歳の若い平井さんが、
SCEA(ソニー・コンピュータエンタテインメント・アメリカ)のトップを任されたときの組織風土は最悪で、
「もうこんな会社では働きたくない」と泣き出す社員や、
「ここはストレスが大きすぎる」「みんな言っていることがバラバラです」など、
平井さんが始めた1on1ミーティングのなかで社員は訴えたそうです。

その1on1ミーティングでの平井さんは、社員に向かって、
「将来はこんな風にゲームビジネスを展開したい」といった夢や希望については、
ほとんど話すことがなかった、と語っています。
「目の前にある混乱し疲弊しきった組織を立て直すこと」が先決であり、
だからこそ、社員の話を聴くことに徹したそうです。
遠回りをしていると感じるかもしれませんが、何よりもまずメンバーとの人間関係の質を高めることが、成果を持続的に出していくための近道であると言えます。
メンバーに対して「結果を出せ」と怒鳴り散らす前に、リーダーがやるべき大切な行動だと言えるのではないでしょうか。
結果として、「成長循環モデル」のグッドサイクル通りの流れとなり、ソニーは復活して行きます。
重要なのは、“急がば回れ!” です。


私たち株式会社NEQLIASでは、リーダーの行動変革を通して、部下との信頼関係を築きながら「関係の質」を高め、組織の中でグッドサイクルを目指していく研修を行なっております。
優秀なファシリテーターが在籍しており、「成功循環サイクル」の生み方や、現状の組織の中で弱点となってしまっているポイントを見つけ出し、どう改善していくかなど、一般の社員研修から管理職研修まで幅広く対応しております。

もし、今回の内容にご興味がありましたら、お気軽にお問合せくださいませ。

 

コラム2022年10月31日

自己理解①〜ジョハリの窓〜

【ジョハリの窓とは?】

ジョハリの窓とは、自己分析をおこなう際に使用する心理学モデルのひとつです。
「自分から見た自分」と「他人から見た自分」の情報を切りわけて分析することで、
自己理解をおこなうというものです。
これは、1955年にアメリカの心理学者ジョセフ・ルフトと、
ハリ・インガムが「対人関係における気づきのグラフモデル」を発表したものです。
これが後に、2人の名前を組み合わせた「ジョハリの窓」と呼ばれるようになりました。

ジョハリの窓は、「自分をどのように公開するか?」あるいは「自分をどのように隠すか?」という、
他者とのコミュニケーションの円滑化において重要な考え方にもとづき、提案されました。
自分自身が見た自己と、他者から見た自己の情報を分析することで、

次の4つに区分して自己を理解するというものです。

 

  • 開放の窓

自分も他人も知っている自分の性質

 

  • 盲点の窓

自分は気付いていないが他人は知っている性質

 

  • 秘密の窓

他人は知らないが自分は知っている性質

 

  • 未知の窓

自分も他人も知らない性質

 

【強固な信頼関係がつくられるきっかけに】

ジョハリの窓を理解することで、チーム内の信頼関係をより強固にできます。
例えば、自分では恥ずかしいと思っていることを、勇気を振り絞って相手に話すとします。
すると、思いのほか共感されたり同情されたりするといった経験は、誰しも一回はあるはずです。
相手の弱みを知ると、自分の弱みもさらけ出したくなりますよね。

「今まで隠していた自分」がオープンになったことで相手との距離が近くなり、
信頼関係がいっそう強くなるのです。
社内のチームワークや人間関係においても同じことがいえます。
ジョハリの窓への理解が、さらなるチームワーク向上へとつながるきっかけとなります。

 

【自己理解に有効な理由】
ジョハリの窓が自己理解に有効と言われる理由ですが、
ジョハリの窓を利用することで得られるメリットは複数あります。
最大のメリットは、「自分と他人との認識のズレを洗い出せる」ことです。
自分自身のことは、自分が一番わかっていると思っていても他人から見た自分を知ることで、
自分と他人との間で起きている認識のズレに気がつくことができます。
このズレはなぜおきているのか、他人が見た自分を受け入れ、
よりよい自分を作るために何が必要かを考えるきっかけとなります。

それだけはなく、他人の目を通じて自分の意外な一面を知ること、
短所に気が付くことで自分に何が必要かを考え始めることもできます。
この気付きをもとに自分が変えていくべきことは、
こういう部部分であると考え行動することが重要です。
他人との認識のズレが軽減されることで、
コミュニケーションが円滑に行われ対人関係がスムーズになる、
ストレスを軽減できるなどの期待効果もあります。
参加しているメンバーが、気付きをえることで職場全体のコミュニケーション力があがり、
業務を今まで以上に円滑にできるメリットは企業としては非常に魅力的な効果です。
こうした期待効果があるため、ジョハリの窓は有効性の高い分析手法とされています。

 

【ジョハリの窓の進め方】
紙を2枚準備します。
1枚目は格子状に4つに区切り、
左上から時計回りに開放の窓、盲点の窓、未知の窓、秘密の窓となります。
2枚目には、性格に該当する可能性のある要素を記入します。 

例えば、「性格」を表す言葉として、

・勝気である

・社交的である

・流行に敏感である

といった直感的で回答できる項目を列挙します。

 

【ジョハリの窓を実施する際の注意点】

・主観に左右される

注意する点には「主観に左右されない」ということが大事です。自分自身や他人が持つ印象について洗い出していきますが、相手の嫌われたくないなどの思いでジョハリの窓を実施することはおすすめできません。あくまでジョハリの窓を実施することで、自分自身や相手の自己分析をしていくこと、気付きを得ることが目的です。主観により、思っていないことを書き出していくことではジョハリの窓は持つ意味を損なってしまいます。なぜジョハリの窓を行うかの意味を参加者全員で確認し意義のあるワークを行うことを心掛けましょう。

 

・ポジティブワードで行うこと

ジョハリの窓の大前提は、相手を否定しないことです。洗い出す際に使う用語は、ポジティブワードに統一します。例えば、「短気」と洗い出すような相手を否定する用語を使用することを禁止とします。ジョハリの窓は、相手の悪い性格を洗い出すものではなく、良い点や改善点に気付くためのものです。表現は難しい特徴を示す必要がある場合には、事例を交えて洗い出すやり方や、他の特徴から書き出すようにしましょう。ネガティブワードが重なってしまうと参加者のモチベーションが下がり、意見交換の場も有効な意見を出しあえなくなります。ファシリテーターは洗い出している意見を確認しながら、ネガティブ用語がある場合には、適切な表現に変更する指示を出していきましょう。

 

・深刻にならない雰囲気作り

メンバーの中に、相手を批判するネガティブワードを利用する方がいる場合には、分析対象にストレスとなり深刻な雰囲気を作り出してしまいます。雰囲気が悪化しないためにポジティブワードでの分析を進める必要があります。万が一、深刻な雰囲気を感じた場合には、ファシリテーターによる分析を実施し、雰囲気の改善を行う必要があります。相手を非難することで進んでいくワークにならないためには、ファシリテーターの役割は重要だと理解して進めていきましょう。

 

株式会社NEQLIASでは、優秀なファシリテーターが在籍しております。

「ジョハリの窓」は雰囲気やワードの選び方が重要となります。
間違った方向で実施してしまうと、逆効果にもなりかねません。
非常に良い効果を発揮するワークだからこそ、プロに任せてみるのはいかがでしょうか。
お気軽にお問合せください。

 

 

コラム2022年10月28日

一歩踏み出す体験〜コンフォートゾーン〜

コンフォートゾーンとは「安全な領域」や「快適な領域」という意味がある言葉で、
人間が成長するためにはこの安全な領域から抜け出す必要があるといわれています。
居心地がよい空間がいつまでも存続するのは、人間本能の恒常性が働くためで、
少し違った環境や困難を迎えると元の状態に戻そうとする力が働くためです。

 

【心の3つのゾーン】


人は成長する上で、3つの心理状態(ゾーン)に分かれると言います。
一度は受けたことがある「学校のテスト」で例えてみましょう。

 

・コンフォートゾーン
安心・安全なゾーンのことです。
慣れ親しんだ行動や空間にいることや、自身の得意な領域のことを言います。
例えば、自宅や自分の部屋、歩き慣れた道、テストでも得意な科目などはこのコンフォートゾーンにあたります。

・ストレッチ(ラーニング)ゾーン
ストレッチゾーンとは、コンフォートゾーンを抜け出した外側にあるゾーンのことです。
自分のスキルや能力があまり通用しない未知の領域のため、
簡単には達成できず心地が悪いと感じる心理状態です。
例えば普段歩かない道、初めて行く街、テストで苦手な科目はこのストレッチゾーンにあたります。

 

・パニックゾーン
パニックゾーンとは、ストレッチゾーンを抜け出した外側にあるゾーンのことです。
自分のスキルや知識では全く通用しないため、
不安やストレスを過度に感じ、思考が停止してしまう心理状態です。
初めて行く海外、予習・復習をしていない抜き打ちテストがこのパニックゾーンにあたります。

※この3つのゾーンは、人によって違います!
あくまでも例え話となりますので、自身の3つのゾーンを考えてみて下さい。

 

【一歩踏み出すメリット】
コンフォートゾーンとは不安にならない行動範囲のことで
つまり、いつも同じことをして、同じことを言い、
同じものを見て、同じものを食べてしまいます。

もちろん、それが悪いわけではありません。
誰でも慣れ親しんでいることに執着して当然です。
しかし、コンフォートゾーンをそのままに留めていると、
そこから広げるのは大変になります。
そんな生活をしているとそれなりの代償を払うことになります。

例えば、0歳児の赤ちゃんが、
コンフォートゾーンを広げる挑戦せずに、小さい領域のまま、
大人になったらどうなるでしょうか?

コンフォートゾーンを広げる言っても、極端なことをする必要はありません。
例えば、普段は緊張のあまり発言できない場で発言する、
苦手意識がある本を読むこと挑戦してみるなど、簡単なことからスタートでも問題ありません。
これがコンフォートゾーンを一歩出る、ストレッチゾーンへのチャレンジとなります。

すると、自分で自分の背中を押せるようになり、
より大きな(戦略的な)リスクを負うことが次第にできるようになります。

 

●具体的なメリット


コンフォートゾーンを広げることで得られると言われるメリットをご紹介致します。 

1.内面が強くなる
同じことを何度も繰り返していながら、違う結果になることを期待するのは愚かです。
そんなことは誰でもわかっているはずなのに、まさにその愚かなことを日常生活の中で行いながら、
八方ふさがりと不幸感を感じている人たちがいます。 

多少の緊張感を伴う新しいこと(例えば、新しい趣味を見つけたり、新しい友だちを作ることなど)を生活に取り入れると、内面が強くなります。

仮に失敗しても、将来のためになる経験ができますし、
そうした経験は、より有意義な生活につながる積み木の役割を果たします。

 

2.自信を持てるようになる
人間は生まれつき自信があるわけではありません。
自信は、目標の設定と達成を繰り返していくことで身につくスキルです。
自信をつけるためには、恐れに立ち向かい、リスクを冒す必要があります。

達成できる確信がないことを成し遂げる爽快感を知らない人はいないでしょう。
目標の設定と達成をたくさん重ねるほど、自信を持てるようになります。

 

3.変化に対する適応力が高くなる
コンフォートゾーンの中にいる時間が長くなるほど、未知の領域が怖くなります。
しかし、世界は急速に変化しており、変化を恐れる人は取り残される危険性があります。 

コンフォートゾーンから抜け出した人は、変化を怖がりません。
むしろ、仕事で新しいプロジェクトを歓迎したり、新しい言語の習得に挑戦します。
そのような挑戦が、コンフォートゾーンの中にいては出会えない「成長の可能性」につながるかもしれません。

 

4.創造性が高まる
安全なレールから決して外れない生き方ほど創造性を損なうことはありません。
新しい考えやアイデア、物事を深堀する方法を楽しんで受け入れられない期間が続くほど、マンネリに陥ります。
新しいことに挑戦することで、創造力をかきたて、想像力を呼び覚ますことができます。

 

5.想像もしなかったことを達成できる
思い切って冒険したことがない人は、
自分の手に負えると思っている以上のことに挑戦するとどうなるのか知りようがありません。
成功者はみんなリスクを冒し、失敗し、立ち直り、再びリスクを冒す、ということを繰り返して何とか成功に辿り着いています。
安全な道をいつも選びたくなりますが、それでは未来に後悔という大きな代償を払うことになります。

人生の終末を迎えた人々にインタビューすると、「ずっとやりたかったことをしなかったことを後悔している」という言葉をよく聞きます。
「人生は死を迎える準備をするためにある」と言う人もいますが、
もしそれが本当なら、コンフォートゾーンを抜け出すべき最も説得力のある理由は、後悔の無い人生にするためとも言えます。

 

【まとめ】
コンフォートゾーンから抜け出すと、勇気や自信など、ポジティブなものがたくさん発見でき自身の可能性が広がります。
目標設定を明確にすることで、自分の行動が変わります。
まずは一歩を踏み出す勇気が必要です。
不安でも乗り越えた後を考えて、少しだけ厳しく自分を成長させてみませんか。

株式会社NEQLIASでは、優秀なファシリテーターが在籍しており、
皆様の「一歩踏み出す体験」を研修として行なっております。
ご興味がありましたらお気軽にお問合せください。

コラム2022年10月24日

アクティブラーニング

アクティブラーニングは、教育機関や教育界では今、最も注目されている学習方法の1つです。
教育機関や教育界にいらっしゃる方、また教育について関心のある方であれば、
最近アクティブ・ラーニングという言葉を聞く機会が多いのではないでしょうか?
アクティブ・ラーニングという学習方法は、大学をはじめ、
幼稚園から小・中・高等学校などの多くの教育機関で、すでに取り入れられ始めています。
なぜ各教育機関で取り入れ始められているかといえば、
国の教育の方針を決める文部科学省がアクティブ・ラーニングを推進しているからというのが一つの理由です。

 

【アクティブラーニングとは?】

アクティブラーニングとは、
「児童」「生徒」「学生」などの受講者が、
自ら能動的に学びに行けるように設計された学習方法のことです。

・認知的・倫理的

・社会的能力

・教養・知識・経験

といった汎用的能力の育成を図る内容だと定義されています。

 教師が一方的に指導を行うのではなく、
グループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク
といった体験学習を中心とした学習方法を指します。

 

 【アクティブラーニングが注目される理由・背景】
アクティブラーニングが注目されるようになった背景には、

・急速なグローバル化

・少子高齢化

・社会環境・構造の変化

などが、主な要因として挙げられています。
そして教育の場においても、
時代の変化やニーズに応じた人材育成が求められているのです。

 近い将来、コンピューターの急速な発展によって、
多くの職業がAIに取って代わられるといわれています。
そのためにも、単なる知識の伝達だけではなく
生き抜く上で主体性に物事を捉えて解決していく能力が必要になったのです。

 

【アクティブラーニングの必要性】

アクティブラーニングの必要性を主張する根拠として、
「学習定着率」の高さが挙げられており、
「ラーニングピラミッド」という図では、
それぞれの学習方法の「学習定着率」が示されています。

 「座学」の講義はピラミッドのトップに位置しながらも、
「読書」よりも「学習定着率」が低い
「グループ討論」「フィールドワーク」「プレゼンテーション」といった、
ピラミッドの下に位置するアクティブラーニングは「学習定着率」が高いといったことが証明されています。
このため、能動的な学修方法である「アクティブラーニング」が必要とされているのです。

 

【アクティブ・ラーニング実施時の3つのポイント】

アクティブ・ラーニングとは、主体的・対話的で深い学びのことを指します。
そして、この「主体的」「対話的」「深い学び」というのが、
アクティブ・ラーニングの重要な3つのポイントになります。
ここでは、このアクティブ・ラーニングで大切にしている3つのポイントについて解説してきます。

 ・主体的な学び

1つ目の「主体的な学び」では、学ぶことに興味や関心を持ち、自分のキャリアの方向性と学習との関連性を意識し学ぶこと、また将来の見通しを持って粘り強く取り組むことが何よりも大切なことだとされています。また、学んだらそこで終わりなのではなく、自分の学習活動を振り返り次の学習つなげることができているのかも、主体的な学びができているかの判断基準となっています。

・対話的な学び

2つ目の「対話的な学び」とは、学修者である子供同士での対話や、学修者と教職員や地域の人と対話をすること、または先人の考え方を手掛かりにして考えることにより、自分の考え方に囚われてしまうのではなく、自分の考えを広げて深める対話的な学びをすることを意味します。こういった対話的な学びが実践できているかどうかも、アクティブ・ラーニングの評価の一つとなります。

・深い学び

3つ目の「深い学び」とは、物事を学ぶ過程で、それぞれの特性・特質に合わせた見方や考え方を踏まえながら、さまざまな別の知識と関連づけることで、学びをさらに深めていくことをいいます。学んだ情報を確かめながら自分の考えを形成したり、問題を自ら見つけてその解決策を考えたり、アイデアを想像することが深い学びといえます。多様な社会になり、答えのない問題が増えているからこそ、学びを学びで終わらせるのではなく、創造的に学びを深めていくことが求められています

 

【アクティブ・ラーニング型授業の失敗要因と結果例】
実際のアクティブ・ラーニング型授業で、逆にうまくいかないケースにも着目していきます。
こちらは、アクティブ・ラーニングの普及・拡大に際し、特に大学における取り組みで、どのようなつまずきポイントがあるのか明らかにしています。
特に、失敗の原因と、それがどのような結果につながるかを示したマンダラやケース集は、アクティブ・ラーニング型授業を設計する上で示唆に富む内容です。

 【失敗の原因】

  • 知識技能不足[学生側]

・議論前提知識不足:(例)浅薄な議論、発言しない

・リーダー技能:(例)浅薄な議論、独断専行

・思考訓練不足:(例)発言しない

 

  • 目的喪失[学生側]

・愛着:(例)協力企業肩入れ

・怠惰:(例)雑談、ドロップアウト、提出物の不管理、課題要件違反、欠席

・他事優先:(例)学外活動不協力

・不挑戦:(例)安易な解答、派生知識無関心

 

  • 価値観の固執[教員側]

・形式偏重:(例)プレゼンと集団討議、AL理解不良、主体性教育の無理解、やらされ感

・成果偏重:(例)助言企業の固定化、振り返り実施せず、学生提案減少

・自主性偏重:(例)企業連携無成果、学習目的を伝達しない など

 

【失敗の結果】

  • パフォーマンス低下

・グループワーク無機能化

[学生]独断専行、欠席、発言しない / 雑談、浅薄な議論、作業内容の不足、協力企業肩入れ

[教員]自習を促進せず、過剰介入、介入不足、不用意な人選、学生提案減少

 

・成果物水準低下

[学生]安易な解答、派生知識無関心 / 学外活動の怠慢

[教員]学習目的を伝達しない、成績評価が連動しない

[企業と教員]指導範囲の不合意、助言企業の固定化

 

  • 運営困難

・教育負担増加

・要件未完了

 

  • 各種被害

・精神的被害

・信用失墜 など

※参照:文部科学省「産業界ニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」
中部圏の地域・産業界との連携を通した教育改革力の強化
平成26年度 東海 A(教育力)チーム成果物 アクティブラーニング失敗事例ハンドブック

アクティブ・ラーニング型授業について、これだけの失敗原因や結果があることで、改めて取り組みへの不安や懸念は出てくるかもしれません。

 

株式会社NEQLIASでは、正しく効果的にアクティブラーニングを行うための専門の研修企業です。
優秀なファシリテーターが在籍しており、多くの学校様や企業様に対して研修を行なっております。

アクティブラーニングの必要性、重要性がわかったとしても、実行できなければ意味がありません。
特に失敗をして逆効果になっては本末転倒ですよね。
必要な取り組み、失敗しないためにもまずはお気軽にご相談をしていただければと思います。

 

コラム2022年10月18日

ELCまとめ

人材育成は、いつの時代も企業の現在と将来を支える重要事項です。
現在は知識労働が当たり前となり、IT化が進む中で、
社員一人ひとりのパフォーマンスが企業の業績を左右する時代です。
学生においても同じく、学歴・成績に捉われず、
自身の考え方や行動で切り拓く時代に移り変わっていると言えます。
日常での経験を自身にとっての気付きや学びとして、次の成長につなげていけるかどうかです。
本記事では、経験を気付きや学びとして成長する「経験学習モデル(ELC)」についてまとめ、
利用のメリットなどを解説します。日常で学び成長する組織と人材を育てたい方はぜひご覧ください。

【ELC導入のメリット】

経験学習モデル導入のメリット
組織に経験学習モデルを導入するメリットは、大きく3つ挙げられます。
1.社員が気付きを得ることができる
経験学習モデルを導入することで、社員それぞれ日々見落としがちだった、
気付きを得ることができるようになります。
気付きは社員の能力や担当業務における生産性の向上に結びつくだけではありません。
別の業務を担当する場合にも、気付きを活かして効率的に行なうことができるなど応用が期待でききます。
2.経験学習モデルは年齢を問わず効果がある
経験学習モデルは、経験やポジション、いまの力量に関係なく使えるモデルであり、
全社横断的に導入できる学習体系です。
3.経験学習の習慣を身に着ければ、すべてが学習の機会となる
あらゆる経験が学習機会となることで社員の成長が加速していき、企業の発展にもつながります。
子供たちであっても、普段何気ない遊びの中で考え、
より効率良い方法を見出し、またよりより遊びをしていくなど成長へと繋がることでしょう。

【経験学習モデル導入時のポイント】
組織に経験学習モデルを導入する際のポイントについて紹介します。

・導入研修を実施する
経験学習モデルを導入して「日々の業務や学習の中で経験学習を実践しましょう」といわれても、
社員・学生にとっては意味がわかりません。
まずは、経験から学ぶことの重要性や経験学習の流れを理解するための導入研修を実施することが必要です。

研修では「経験→内省→概念化→実践」のサイクルやそれぞれの役割・やり方を学んだうえで、
実際の経験を題材にして、ワークショップ形式で経験学習のやり方を身に着けます。

経験学習モデルは誰もが無意識にやっているプロセスですが、
少し馴染みの薄い単語も出てきます。難しいものだと誤解されてしまうと導入が進みませんので、
わかりやすいレクチャーをできるファシリテーターに依頼することともお勧めです。

・実践の場を組み込む
経験学習サイクルを促進するためには、日常や教育に実践の場を組み込むことが不可欠です。
日常で、誰もが経験はしますが、不足しているのは「内省」「概念化」「実践」のサイクルを回す能力と機会です。
実践の場として組み込める施策をいくつか紹介します。

夕礼

日常における経験学習を効果的にするにはタイムリーさが重要です。
「内省」は「経験」から時間が経過しないうちにしないと忘れてしまいます。

そこで、お勧めするのが「夕礼」です。
その日を振り返って完了するという意味でも、夕礼で経験学習を実践することは最適です。

・日誌

日誌や日報、週報なども経験学習モデルの定着に活用できます。
記入する項目を経験学習モデルのサイクルを意識した設計とすることで、
日誌の記入=経験学習モデルの実践となり、社員・学生が自走しやすくなります。

経験学習を意識させる設計としては、以下のような設問を盛り込むことが有効です。

・今日うまくいったことは何か?
→よりうまくやる、成功を再現するポイントは何か?
・今日うまくいかなかったことは何か?
→もし、もう一度やるならどうするか?

「振り返って学びにつなげる」問いを日誌に盛り込むことで、
日常を学びにつなげる経験学習が回るようになります。
さらに、社員や学生が経験学習の考え方や習慣が身に着いて自走できるようになる点もポイントです。

・リフレクション研修

リフレクション研修とは、日常から離れ、一定期間の仕事や自分の働き方を客観的に振り返って、
内省することに焦点をあてた研修です。
学校研修も同じように、勉強以外の内容を行います。

この研修を受講すると、自身の成長や価値観を自覚したり、
また、考え方や行動パターンの課題などが見えてきたりします。
新入社員であれば、入社3ヶ月後、1年後、2年後など、節目となるタイミングで実施するとよいでしょう。
学校においては新入生のタイミングで取り入れることで、学年単位での統率から人間関係の構築が望めます。

また、新卒・中途を問わず入社3年、新しい業務に取り組んだり管理職になったりした3年後など、
マンネリ化や停滞が起こりがちなタイミングで、
業務から離れてしっかりと深く内省するリフレクション研修を活用することも非常に有効です。
マンネリ化や停滞を打破するためのリフレクション研修は、
しっかりとした内省へと導くために相当の力量が求められますので、
ファシリテーターへの依頼がお勧めです。

【効果的なELC実現のために】
今回、ELCについて3つの記事に分けて投稿させていただきました。
重要なポイントや導入のメリットは伝わったでしょうか。
日々の学校や業務の中では得られない体験を行うことで、
人材の更なる成長が見込めるのがこの総合体験学習(ELC)の最大のメリットです。
我々も学校や企業様に対し研修を行う中で、参加者の表情が変わっていくのを幾度なく体験しております。
その結果、成績が伸びたりスポーツにおいて結果が出たり、業績が伸びたりと良いご報告をいただいております。
このELCを効果的に実践するためにはファシリテーターの存在が必要を考えております。
弊社NEQLIASでは優秀なファシリテーターが在籍しております。

過去の実績やクライアント様のお声もございますので、
ご検討されている方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

コラム2022年10月14日

ELC②一般化・適応

以前の記事でも紹介しました、組織行動学者のD.コルブが提唱する「経験学習モデル」によれば、
人が経験を通して学習するプロセスには、次の4つの要素があります。

1具体的経験(日々の仕事に取り組む中での具体的な経験を重ねること)
2省察(自分の経験を多様な観点から振り返って気づきを引き出すこと)
3概念化(自分なりの『自論』を形成すること)
4試行(自論を新しい状況のもとで実践してみること)

今回の記事では、3概念化(一般化)と4試行(適応)にフォーカスを当ててみたいと思います。

 

・抽象的概念化(一般化)

具体的経験を省察をして得られた材料から一般化、
抽象化して他の状況でも応用可能な知識つまり教訓や持論をつくります。
例えば、「料理で品数を増やすためには、先にお湯を沸かしておくことが大切だ。」
から、料理一般に応用できる知識に広げると「料理では手順を考え行動することが大切だ。」になります。

チームビルディング・アクティビティでの抽象概念化では、
「アクティビティのやり方」のフェーズで抽象概念化をして完成ではありません。
パイプラインでのパイプの持ち方やヘリウムフープでのフラフープの下げ方を、
学習しても業務で役に立たないので、業務に役立つフェーズに徐々に上げていきます。

第1フェーズ:同じアクティビティで成果を上げるための方法

第2フェーズ:違うアクティビティに活用できること

第3フェーズ:業務で役に立つこと

第1フェーズから第2フェーズに上がる際には視点の切り替えが必要で、
第2フェーズから第3フェーズに上がるには第2フェーズで出てきた、
多種多様な応用可能な知識から業務に合わせて選択をすることが求められます。

 

・試行(適応)

抽象的概念化(一般化)で得た教訓を次の体験で活用します。
体験学習では試行(適応)は次の具体的体験につながり新たな気づきが得られるため、
一般化された知識を活用することに意味を見出しています。

チームビルディング研修や組織づくりプログラムでは、
プログラム序盤から中盤は第2フェーズを中心に抽象的概念化を行います。
それは次のアクティビティ(体験)があり非日常のプログラムで、
能動的実験から具体的体験へと循環することで、多様な教訓が得られ、また得た教訓の精度が上がるためです。

 

【体験学習サイクルは日常に活かす】

体験学習サイクルは実務家を意識し普及させる目的で提唱されたモデルのため分かりやすく、
体験学習の研修で、よく使われる理論モデルです。

日本ではPDCAサイクルが浸透していますが、
PDCAサイクルは工場製品の品質向上から生まれた概念で、
サイクルを回し次に活かす点では同じですが、背景となる考え方が異なります。
デューイやコルブの学習観を理解したうえで、
「他の状態でも応用可能な知識」つまり教訓や持論を得て、
教訓や持論を次の体験で活用することが肝要です。

そして体験学習サイクルはプログラム中に教訓や持論を得て終わりでなく、
日常業務を一つの体験としてふり返り日々サイクルを回し続けることが一番のポイントです。

 

【ELC体験を進めるために】

 
学校及び企業において、リーダーとなる人材の育成は不可欠です。
実際に体験学習を行うに当たって、必ず必要なのがファシリテーター(司会・進行役)の存在です。
組織の課題点を見出し、具体的にどの体験を用いてどのように解決していくのか、しっかりと見極める必要があります。
無作為に体験学習を行なっても効果的ではありません。
むしろ逆効果になり組織が崩れる可能性もあります。

弊社NEQLIASでは、数多くの学校様や企業様に対し研修を行なっております。

優秀なファシリテーターを在籍させておりますので、
課題点や解決策を模索されている方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問合せくださいませ。

 

コラム2022年10月11日

ELC①体験と振り返り

以前の記事でも紹介しました、組織行動学者のD.コルブが提唱する「経験学習モデル」によれば、
人が経験を通して学習するプロセスには、次の4つの要素があります。

1具体的経験(日々の仕事に取り組む中での具体的な経験を重ねること)
2省察(自分の経験を多様な観点から振り返って気づきを引き出すこと)
3概念化(自分なりの『自論』を形成すること)
4試行(自論を新しい状況のもとで実践してみること)

今回の記事では、特に「1.具体的経験」と「2.省察(振り返り)」にフォーカスを当ててみたいと思います。

 

・具体的経験

最初の経験とは、会議で新規プロジェクトのプレゼンをした、
社外研修を受講したなどの具体的な体験を指します。

 ここでの経験は、仕事の場面に限ったことではありません。
学生時代のクラブ活動やバイト体験などが、のちの振り返りの材料となることもあります。

 これは人から見聞きしたことではなく、
自分自身が主体的に考えて行動した経験であることがポイント。
自分ごととしての経験が、後の振り返り・概念化にも活きてきます。

 

・省察(振り返り)
何かしらの経験・体験をしたら、次は「振り返り」が重要です。
 気づきや学びのきっかけとなる経験の後は、
必ず「自分はこの経験から何を学んだか?」という振り返りを心がけましょう。
気づきや学びを深めるには、「具体的にはどういうことか?」と深める問いや、
「他に気づいたことはないか?」と広げる問いを立てるのが有効です。

 

【重要な「省察」】

この四つの要素の中でも注目したいのが、「省察」です。
日々の出来事や経験を振り返り、自分にとってのレッスンを引き出すことは、
人の持続的な成長に欠かせないことです。
そのためにも、自分と向き合い自己対話する時間を設けることが必要になりますし、
また他者からの問いかけやフィードバックがあれば、
多様な観点からの振り返りができ、視野の拡大につながることでしょう。

 

・「省察」(振り返り)がリーダーに特に必要な理由

省察(振り返り)は、組織を率いるリーダーにとっては、とりわけ重要です。
昨今の上司は、部下に対して高い要求をすることもないし、
言うべきことがあってもソフトな言い方で取り繕うなど、
優しいリーダーシップを発揮する方が多いようです。

なぜ、部下に対して厳しく毅然とした態度を取れないのでしょうか。
それは、リーダーとしての持論が充分に練られていないことが原因と思われます。

リーダーに求められる持論とは、
「我々の組織の使命は何か」
「事業を通じて誰にどのような価値を提供しているのか」
「なぜ、事業を発展させなければいけないのか」といった仕事観から、
「人はどうすれば成長するのか」
「どのような生き方をすることが幸せなのか」という人生観に至るまで、広範囲に及びます。

リーダーがこのような持論をもてば、
「何が正しいか」「何をするべきか」という判断の基軸が明らかになりますし、
行動することへの勇気も出てきて、厳しいリーダーシップを発揮できるようになるでしょう。

 

【ELC体験を進めるために】

学校及び企業において、リーダーとなる人材の育成は不可欠です。
実際に体験学習を行うに当たって、必ず必要なのがファシリテーター(司会・進行役)の存在です。
組織の課題点を見出し、具体的にどの体験を用いてどのように解決していくのか、しっかりと見極める必要があります。
無作為に体験学習を行なっても効果的ではありません。
むしろ逆効果になり組織が崩れる可能性もあります。

弊社NEQLIASでは、数多くの学校様や企業様に対し研修を行なっております。

優秀なファシリテーターを在籍させておりますので、
課題点や解決策を模索されている方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問合せくださいませ。



コラム2022年10月7日

PDCAの成り立ち

略語が1人歩きし「改善は継続が大事。がんばろう」で終わっていることが多い「PDCAサイクル」ですが、
デミング博士によって1950年に日本に輸入され、サンプリングと分布という統計的なアプローチと、
品質管理の概念は日本の産業に大きく影響を与えたものです。
今一度、PDCAとは何か、一緒に見ていきましょう。

この記事の監修者
株式会社NEQLIAS
コラム編集部

 

【PDCAサイクルの歴史】

PDCAは、「Plan-Do-Check-Actの反復のこと」と、
略語を知っているだけで分かったつもりになりがちです。
このPDCAとは一体何なのでしょうか?
きめ細かさやコツコツと積み重ねる姿勢、優秀な現場、
飽くなき改善魂を持つ日本人にとっては、「PDCAなんて当たり前」かもしれませんが、
日本のQCサークルはUSで発達した統計的な品質管理の考え方に影響を受けているという歴史的経緯は、
あまり知られていません。
PDCAサイクルは、USの統計学者ウィリアム・エドワーズ・デミング博士(1990~1993)によって提唱され、
普及しました(そのためにPDCAサイクルはデミング・サイクルとも呼ばれています)。

デミング博士が参考にしたのは、1925~1926年にともに働いたウォルター・シューハート博士(1891~1967)による統計的品質管理です。
当時の製造業における品質管理は、製造された製品の品質をすべて検査し、
基準を満たさない製品を排除するという破壊的なプロセスが一般的でした。

一方、シューハート博士は品質のバラツキに影響を与える要因を管理できない「特殊要因」と、
管理できる「一般要因」に分け、「一般要因」を好ましい状態に制御することで、
品質の統計的な分布を一定の許容範囲内に収めるという考え方を提唱しました。
これによって、不良品の発生を防止しつつ、品質の維持が可能になります。
トヨタ流にいうと、「工程において品質を作り込む」という考え方です。

このシューハートの考え方に影響を受けたデミング博士は戦後の1947年に、
国勢調査の準備のためにGHQによって日本に派遣されました。
それがきっかけとなり、1950年に再来日。経営者や管理者向けの「品質の統計的管理8日間コース」を皮切りに
2カ月間で数々の講義を開催しました。この講義シリーズには主要な製造業のトップが参加し、
その後の日本におけるQCサークル活動の源流となりました。
日本の製造業が高い品質を武器に大きく成長していったのは広く知られている通りです。
博士はこの時の講演料や速記録の印税の受け取りを辞退したため、それを原資としてデミング賞が創設されました。

【PDCAの概要】

まずPDCAは以下4つの単語の頭文字をつなげたものとなります。

PLAN  (計画)   目標の設定と目標達成のための計画の立案

DO  (実行)     計画に対するタスクの洗い出しとタスク遂行

CHECK (評価)    実行後の結果検証。結果によって軌道修正プランの構築

ACT  (改善)      軌道修正後のプラン実行

PDCAサイクルは、これら4つのステップを順番に行っていくことにより、
自身や組織としての成果を効率的に上げるようにするための、フレームワークとなります。
PDCAを繰り返し行うことで、個人、組織としての生産性の向上を目的としているのです。

・PLAN (計画)

まずは、PLAN・計画です。
しかしいきなり計画を立てることはできず、その前に「目標」を立てる必要があります。
まずは達成するべき目標をまず定めましょう。
「今はどうなっているのか」現状を確認し、目標と現状のギャップを埋める方法が「計画」となります。

例えば英語のテスト勉強の計画を立てることを考えます。
目標とするべき点数に対して、自分の今の点数(前のテストの点数でも良いです)を考え、
その乖離に対して何を勉強するべきなのか「計画」を立てることになります。
英単語なのか、文法なのか、長文読解なのか、どの項目を重点的に勉強していくのか定めるのが計画です。

そしてここで重要なのが、計画がうまくいっているのか確認できる指標、
KPI (Key Performance Indicator )を設定することです。
計画が立てたが、進捗を確認できず時間ばかり経ってしまうということが起きてしまいます。
そしていつまでにKPIをどうするのか期日も定めることも大切です。

・DO (実行)

2番目にDo・実行です。
ここでは「Plan(計画)」で設計・立案した目標やプランをもとに、
実際の行動を遂行していく段階になります。
具体的には、目標を達成するために必要なタスクを洗い出し、
誰が・いつ実行するのか詳細なスケジュールを立てその通り実行しましょう。
組織で実行する際には、誰が責任を持つのか合意を取りながら進めていくことが重要です。

・CHECK (評価)

3番目にCheck・評価です。
Check(評価)では、設計した目標や計画に対して、
どの程度実行できているかを評価するステップになります。

DO(実行)した結果、PLANで策定したKPI指標がどうなっているか評価します。
評価し、順調であればより良く進めていけないか確認し、
評価が悪ければ何が悪かったのか問題を特定をする必要があります。

他の勉強を優先してしまったことや学習方法がわからなかったことなど、
さらに深い要因が出てきます。これに対して対策するべき点・しない点を考えることで、
次回の実行につながっていくのです。

・ACT (改善)

最後に、ACT・改善です。
ここではCHECKで要因分析した結果、「どう対策を打つべきか」を改善案考えます。
最初の計画に対して、良いところは継続し、直すべき点は修正し、やめるべき点は中止させることを検討します。

その際には、改善すべき優先順位を確定し、
時間やお金などの制約も考慮し改善案を決めていくことが重要となります。
そしてその改善案を踏まえ計画を遂行していくことになります。

 

【まとめ】

普段から使われているPD CAサイクルでも、その背景や歴史から知ることで、
より効果的に実践へと繋げていくことができるのではないでしょうか。
言葉としてサイクルを回していたとしても、効果が出ないと勿体無いです。
しっかりと実践できるように取り組みましょう。

株式会社NEQLIASでは、企業様の研修において、効果的なPDCAサイクルの回し方から、
企業研修を行なっております。
優秀なファシリテーターが在籍しておりますので、効果的な振り返りも可能です。
現状、PDCAサイクルを行なっている社員様において、
効果があまり出ていないと感じている方がもしいらっしゃれば、お気軽にお問合せください。



コラム2022年10月1日

ELC (経験学習サイクル)とPDCAの違い

経験学習の話になると、「PDCA」と混同している方をよく見かけます。
この経験学習サイクルとPDCAサイクルには大きな違いがあります。
今回はこの違いの部分を確認していきましょう。

この記事の監修者
株式会社NEQLIAS
コラム編集部

 

【結論、経験学習サイクルとPDCAサイクルは何が違うのか】

経験学習サイクルとPDCAサイクルは、どこが違うのですか?
このようなご質問をいただくことがあります。
特に、企業様へ研修をさせていただいた際に多いです。

 

  • PDCAは、計画実行点検・評価処置・改善というサイクルです。

  1.Plan(計画):従来の実績や将来の予測などをもとにして業務計画を作成する

  2.Do(実施・実行):計画に沿って業務を行う

  3.Check(点検・評価):業務の実施が計画に沿っているかどうかを確認する

  4.Act(処置・改善):実施が計画に沿っていない部分を調べて処置をする

 

  • 経験学習サイクルは

  具体的経験 ⇒ 省察的観察 ⇒ 抽象的概念化 ⇒ 実践的試み

なので、確かに似ているようにも思いますが、どこかが違います。

 

そもそもPDCAサイクルは、業務活動のマネジメント、つまり業務効率アップのためのサイクルです。
それに比べて、経験学習サイクルは経験からの学習による積み重ねるサイクルなので、
前者が「活動プロセス」で後者は「思考プロセス」となります。

 

【経験学習サイクルの思考プロセス】

経験学習サイクルは4つのプロセスから構成されています。
「経験振り返り概念化実践」を繰り返しおこなうことで、
経験を自分のものにして次のステップへと活かせるのです。
また、具体的な振り返りを実施して深く掘り下げていくため、
ミスを予見して失敗やトラブルを回避できる力が備わります。

1.まずは経験

経験学習サイクルでは、まずは経験がなければ始まりません。
ここでいう「経験」とは、人から教えてもらった内容や、
資料から得た知識のような間接的なものではありません。
自分で「体験」したことを指します。
例えば、
「社長の前でプレゼンをした」
「営業で契約を取れなかった(取れた)」といった
具体的で直接的な経験です。

 また、経験においての目標を設定することも重要です。
目標を設定する際は、現在のレベルや経験値よりも少し上、
達成には少し難しいと思われるくらいが望ましいでしょう。
容易に達成できる目標設定だと、得られる気づきが少なく浅いためです。
一方、目標設定を高くしすぎると、やる気を削がれてしまうだけでなく、
自信喪失にもつながってしまいます。経験学習サイクルを実践する社員、
もしくは自分自身にとって「頑張ればできそう」くらいの目標を設定するのがベストです。
性格や考え方なども見ながら、どんな経験を用意して目標を設定するかを考えましょう。

 

2.経験に対する振り返り

直接的な経験を経たあとは、経験に対する「振り返り」をおこないます。
経験学習サイクルにおいての振り返りは、最も重要であり欠かせないプロセスです。
「振り返り」というと抽象的に感じてしまいますが、
つまりは「なぜその結果になったか」を徹底的に深く掘り下げていく作業です。

振り返りにおいて大切なことは、「いろんな角度から考える」ことです。
経験で得た結果を客観的、俯瞰的に見ることで
これまで気づかなかったところを発見できます。
ひとつひとつに自問自答しながら深掘りして、
その結果に至った要因や背景を考えましょう。
また、振り返りで注意したいのが「成功経験」です。
失敗に至った経験は日頃から振り返りを実施することは多いものの、
成功した経験は振り返りが疎かになります。
失敗だけでなく、成功した経験も深く振り返り作業をおこなうことで、
次の経験でさらによい結果に期待できるでしょう。

また、人によっては、自分の体験を客観的に見ることが苦手な場合もあります。
その場合は、第三者からフィードバックをもらうのが効果的です。
「どうしてこの提案をしたんだろう?」
「お客様は何を求めていたんだと思う?」
というように、具体的に考えられるようなフィードバックをもらえるのが理想的です。
誘導してあげるとよりよい振り返りができます。

 

3.振り返りを経た概念化

「概念化」と聞くと、難しく複雑なことのように感じられます。
国語辞典によると「概念」とは、
「ある事物の概括的で大まかな意味内容」となっています。

経験学習サイクルでいう概念化とは、
「経験し、振り返った内容を大まかにまとめて他の経験に活かせるようにすること」です。
気づきを得ながら物事の本質を捉えることで、
「この気づきは別の事例(経験)にも共通するのでは」という点を見つけていきます。

 1つの経験から教訓を見出し、他者に伝えられるレベルまで概念化できるとベストです。
また、同じような経験をもとに振り返りと概念化を繰り返すことで、
自身の経験則になります。そうすることで、さらに先のトラブルや失敗を予見できるようになります。

 

4.実践へ

振り返りや概念化で得た気づき、教訓をもとに「実践」をします。
振り返りや概念化でとどまってしまっては、実力として身につかず、
自身の成長につながりません。これまでのプロセスで見出した気づきや教訓、
予測が正しいものであるかどうかを実践を通して確認します。

 もちろん、立てた予測すべてが正しく成功するものではないでしょう。

しかし、その一部は通用するものかもしれません。
再度経験を通して「実践」することで、また新たな気づきを得ることができます。
それにより、さらに深い振り返りをおこない、
以前より精度の高い予測を立てられるようになります。

 経験・振り返り・概念化・実践、4つのプロセスをひとつひとつ繰り返すことが大きな成長へとつながります。

 

【より良い経験学習サイクルを行うために】

弊社、株式会社NEQLIASでは、学校研修や企業研修を行なっております。

優秀なファシリテーターを在籍させておりますので、お任せ下さい。

各個人やグループ、各企業様に合わせた研修をオリジナルで組み上げることで、

用意された研修プランよりも高い効果を発揮します。

特にポイントとなる「フィードバック」に関しても、質の良いフィードバックで

クライアント様より高評価をいただいております。

学校研修や企業研修などをご検討の際は、
ぜひ株式会社NEQLIASまでお気軽にお問い合わせ下さいませ。