コラム2022年12月13日

コロナ渦におけるコミュニケーション不足

「コロナ禍で友達や社員とのコミュニケーションが減った」と考える人は珍しくありません。コロナ禍のなかリモートワークやテレワークのような新しい働き方が増えています。働き方の自由化という観点から見れば良いことですが、一方で従業員と対面する機会が減少しコミュニケーションも減ってしまったと懸念の声もあるようです。

 

【コミュニケーションロスとは?】

コミュニケーションロスとは、相手と意思疎通がとれずお互いに認識のズレが生じるなど、コミュニケーション不足を原因として生じる損失やミス、トラブルをいいます。

「説明が不十分で、誤った資料を作成した」「スケジュール変更がメンバーに伝わらず、プロジェクト進行が遅延した」といったトラブルがコミュニケーションロスです。
近年では、テレワークの浸透を背景に、対面コミュニケーションがとれないため、コミュニケーションロスが生じることが多くなっています。

 

【コミュニケーションロスが起こる3つの原因】
コミュニケーションロスの原因は、コミュニケーション不足が起因していますが、ここでは、コミュニケーションロスが起こる3つの原因を次のとおり説明します

 

・ヒューマンエラー

コミュニケーション不足というと、「報連相」が足りないことが要因にあげられます。しかし、報連相がしっかりとできていても、「勘違い」のような人的ミスもあり、コミュニケーションロスがなくならないでしょう。

こうした人的ミスはヒューマンエラーといい、「意図しない結果を生じる人間の行為」とJIS Z8115 ディペンダビリティ(信頼性)用語で定義されています。

厚生労働省では、ヒューマンエラーを「ついつい・うっかり型」「あえて型」に大別して定義しています。「ついつい・うっかり型」は、記憶・認知・判断・行動のそれぞれの間違いを指し、「あえて型」は、決まりを守らない・手抜き・横着など意図的行動を指しています。

 

・認識の違い

「言ったはずなのに伝わっていない」「指示通りに動いてくれない」など、コミュニケーションの相手との認識の違いもよくあるコミュニケーションロスです。
認識違いの多くは、コミュニケーションの送り手が十分に伝えていない、受け手が理解できていないなど、両者の報連相不足が原因です。

認識の違いやズレがないかをお互いにコミュニケーションをとらずに放置する、あるいは、「言わなくても分かるだろう」「多分やってくれている」など憶測で判断するといった行動が認識の違いを引き起こしやすいケースでしょう。
伝えたつもりでも、相手には伝わっていないことが多くありますが、相手に伝わっているかを確認することなく、一方的なコミュニケーションを取っている場合に、認識の違いが起きやすいといえます。

 

・情報共有の不足

目の前の職務に翻弄され、コミュニケーションが疎かになるなどにより、情報共有の量や頻度が不足することも、多く見られるコミュニケーションロスです。

先輩らが忙しく新入社員が放置されることもありがちですが、近年は、テレワークの浸透を背景に、対面コミュニケーションがとれないために情報共有不足が起きやすくなっています。
とくに、定期的な会議や報告会などを実施していない場合、情報共有のタイミングを逃すケースもあるでしょう。テレワーク環境下では、ビジネスチャットやグループウェアなどの情報共有ツールを整備していないと情報共有不足に陥りやすいです。

【会話と雑談の不足で7割以上が心的不調】

・テレワークで心的ストレスが増加
新型コロナウイルスによるテレワーク推進や外出自粛により、深刻化している課題が「孤独」と「孤立」。人と接する機会が減ることで、メンタルへの影響が懸念されています。

日本国内では、2020年の自殺率が11年ぶりに増加に転じ、新型コロナウイルスによる「孤独」と「孤立」との関係が深いのではないかと懸念されています。2021年2月には、内閣官房に「孤独・孤立対策担当室」が設置され、坂本哲志少子化相が担当相に任命されたことでも話題になったのはご存知でしょうか。

社内でのコミュニケーションはストレスの原因になることも多く、近年は、会社の飲み会や社員同士のプライベートな会話を好まない風潮も高まっている。会社だけと割り切り、仕事に関係のない会話はしたくないというワーカーも多くなっているように感じました。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークの長期化で、コミュニケーションが大幅に制限された今、コミュニケーション不足から孤独や孤立を感じ、心的ストレスに悩む人が急増しているようです。

 

・運動不足もメンタル不調の要因に
テレワーク下での課題には運動不足もある。毎日決まった時間に起きて、自宅と会社を行き来するという行為は、それ自体が一定の運動になり、生活のリズムを整える役割もあったが、テレワーク下ではそれがなくなってしまう。

運動不足が影響して、「肩こり、首のこり」「肥満」といった身体的な不調を感じている人が多く、4人に1人が「気分の落ち込み」というメンタル面への影響も感じているようです。

また、「眠気が多い」「慢性的な疲れ」など、メンタル不調につながりやすい身体的不調が多くなりつつあるようです。

テレワーク下では、意識的に生活のリズムを整える、運動をする機会を積極的につくるなど、出社時以上に、個々人での健康管理が重要になりますね。

 

【まとめ】

どのような状況であっても、コミュニケーションを取ることはとても重要です。

実際に、弊社が大学へ研修プログラムを行う際、オンライン授業のため学力が低下、生徒の発言が極端に減ったと講師や先生方からお話をよく聞きます。

ある企業では、リモートワークにより作業効率が落ち売上が下がったという事例も聞いております。

人はどれだけコミュニケーションが重要なのか改めて知るきっかけとなったこのコロナ禍ですが、再度、能力としてコミュニケーションスキルを上げるための対策はいかがでしょうか。


弊社、株式会社NEQLIASでは、優秀なファシリテーターによるコミュニケーションスキル向上を目的とした研修を行なっております。

もし、ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。

 

 

コラム2022年12月9日

教員負担を減らす部活地域移行は進むのか

公立中学校の休日部活動を、民間のクラブや指導者へ委ねる「地域移行」が2023年度から段階的に始まるとされているのはご存知でしょうか。
スポーツ庁の有識者会議は25年度までの3カ年で完了するように提言されています。

文部科学省においてもこの内容は示されています。

参照:https://www.mext.go.jp/sports/content/20200902-spt_sseisaku01-000009706_3.pdf

鹿児島県内では、43市町村中32自治体が、移行へ向けた協議会を来春までに設立する方針を示したそうです。
教員の働き方改革や少子化の進展で学校単位による部活運営が困難になる中、どう進めていけば良いのでしょうか。

 

【部活動の改革が叫ばれる理由】

部活動に関する問題は、立場や競技の種類によって様々なものがあります。

部活動の地域移行が必要だとされる理由を、

「教員の働き方改革の必要性」

「少子化における部活動の活動の維持」

という、2点に分けて紹介していきます。

 

・教員の働き方改革の必要性

教員の働き方改革を行うにあたって、部活動の改革は欠かせません。

それは、現状の部活動が3つの側面から問題になっているからです。

 

「部活動顧問の長時間労働の原因となっている」

部活動は、学校教育の一環として実施されてきました。

休日にも部活動があることを考えると、教師の負担の上に支えられており、長時間労働を助長する一因です。

実際、公立小・中学校教員の勤務実態調査の報告書にも「中学校教員の勤務時間の長時間化は(中略)特に土日の部活動に費やす時間が長時間化したことによる」とあるなど、改善の必要性が指摘されています。

 

「十分な手当が出ない」

教員が部活動の指導をする際には、特殊勤務手当が支給されます。

この手当の額は、国の方針をもとに自治体が定めており、手当の支給条件や額などは自治体によって様々です。

しかし、支給の基準となる活動時間は最長でも3時間~4時間程度に設定されている場合が多く、その場合、大会など丸1日活動をするような日でも追加の手当が支払われません。実際には、時給換算で最低賃金を割ることもありえるのが現状です。

 

「校長指名を拒否できない」

部活動顧問の指名は、各学校の校長に権限があります。

校務分掌のひとつであり、進路指導や生活指導などのように、教員が協力して分担しています。法令上、校長は勤務時間外の部活動業務を命令することはできないのですが、上司の指示であることや、自分が断れば同僚の誰かがやらなければならないことなどから、部活動顧問を断ることを難しくしています。

 

・少子化における部活動の活動の維持

進行する少子化も、部活動改革が叫ばれる大きな理由になっています。

 

実際、少子化によってサッカーや野球など1チームに多くの人数が必要なスポーツで学校単位でのチームを組めなくなったり、顧問の不足から人数の少ない部活動が廃部になったり、という影響が出ています。現在の部活動の在り方が変わらないと、子どもたちが多様な文化やスポーツに触れる機会が失われる恐れがあります。

本来自主的な取り組みであるはずの部活動が少子化の影響で“必須加入”となってしまうと、それによって苦しむ子どもたちが出てくることも考えられます。

部活動改革には、そのような事態を防ぐ意味合いもあると言えるでしょう。

 

【改革の3つの方向性】

教員の働き方改革と少子化による部員減少という課題について、

どのような解決策があるのか見ていきましょう。

 

・地域移行

地域移行とは、簡単に言うと教員が担っている管理者、指導者という役割を、

民間の方に担ってもらうということです。

 

教員の忙しさを解消するだけでなく、部活動の文化やスポーツの専門性をもった人材を登用することができるメリットもあります。

一方、デメリットもあります。現在の中学校学習指導要領において、部活動は「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」「学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意する」ことが求められています。この教育的な側面が民間の方に依頼したいとして、どのように担保されるのかという問題が懸念されています。また、人件費等の費用がどのように捻出され、何処が負担するのか、といった課題もあります。

 

・合理化(ICT活用など)

教員を部活動の職務から外すだけでなく、部活動自体を変化させていく方法もあります。

 

例えば教師がしっかり目を向けられるときは、全体練習でしかできないチームプレーの確認や事故や怪我が起こらないよう管理の重要な活動を中心にします。

教師が忙しい場合は、筋トレなど個人でできる練習や事故や怪我のリスクの低い活動をまとめることで、教師の負担を軽減できるかもしれません。

またICTの活用によって、個人情報の管理や連絡、書類手続きなどを直接的に業務削減する方法も可能になるかもしれません。

 

・大会の在り方の見直し

部活動の大会の運営も大きな負担の一つです。

基本的に休日に開催され、大会運営の多くが教員によってなされています。

また、大会には部活動の成果としての意味合いが大きくあります。

結果を求めるあまり、勝利至上主義や長時間の活動を引き起こし、

身体の発達以上の負荷やスポーツが「苦しい」ものになりかねないという問題があります。

 

このような観点から、各競技について若年層向けの大会のあり方を見直す動きが出ています。実際、海外では15歳以下の全国大会を廃止した例があるほか、日本でも、全日本柔道連盟が2022年から個人戦の全国小学生学年別大会の廃止をしているようです。

 

【まとめ】

部活動の改革はメリット・デメリットがはっきりとしていて、

すぐに浸透するとはなかなか考えにくいと思います。

部活動に対して熱量のある教員の方もいれば、もちろんそうではない方もいます。

教員と生徒の両局面から考えた際、どちらにもメリット・デメリットが見えてきますね。

弊社、株式会社NEQLIASもこの部活動の改革の一環として、チームビルディング研修を部活動に対して行なっております。

地域のサッカーチームのスポンサーもしておりますので、ぜひ応援してください!

https://www.facebook.com/GirasoleKyotoAC/

 

 

コラム2022年12月6日

VUCA時代における教員の働き方

教育の新キーワードの1つとして意識されるようになった「VUCA(ブーカ)」は、
4つの単語の頭文字を合わせて作られた言葉で、近年においては現代社会の状況を表す意味でも用いられます。
まずは、VUCAとは何かを解説します。

 

【「VUCA」(ブーカ)とは】

VUCA」とは以下の4つの英単語の頭文字を取って作られた用語です。

Volatility(変動性)

Uncertainty(不確実性)

Complexity(複雑性)

Ambiguity(曖昧性)

 

・Volatility(変動性)

様々な技術の進歩により、現代社会は常に変化し続けています。ビジネス環境だけみても、パソコンの普及やインターネットの普及、パソコンの性能向上に伴う様々なITサービスの登場など、常に変化し続け、仕事のやり方は変わり続けています。

一度集めた情報や身につけた能力が、しばらく経つと陳腐化することも多くなっており、常に適切な情報を収集し、変化に適応していくことが求められています。

 

・Uncertainty(不確実性)

年功序列や終身雇用といった旧来の雇用形態は少なくなったことを始め、景気や災害、2020年のコロナ禍などにより、「安定、確実」と思われていた企業においても、急激に業績が悪化するということが不思議ではなくなっています。

不確実性が増していることによって、経営の方向性を決めるための予測がより困難な状況になっています。

 

・Complexity(複雑性)

ビジネスのグローバル化などにより、一つの会社や組織、一つの国だけで解決できる課題が少なくなり、解決すべき問題は複雑に絡み合っているものが多くなっています。

また仕事におけるITなどの技術の進歩に伴い、単純作業は機械に任されるようになり、人が行うべき仕事がより高度な内容となっています。

複雑な課題に対して取り組んで行くために、問題や課題の本質を探る能力や、情報を集めて問題や課題を整理・分析する能力、複雑な問題に対して最後までやり遂げる能力などが求められます。

 

・Ambiguity(曖昧性)

環境の変化や不確かさ、問題の複雑さから、ビジネスにおける成果を再現しようとしても、要因を明確にすることが難しくなっています。

また、経営方針に関する裏付けや根拠に関しても同様に、内容を提示した直後に状況が変化することも増えているため、明確に示すことが困難になっています。

 

VUCA時代に求められる教育と人材】

VUCA時代を担う子どもたちには、変化に対応し、持続可能な社会を実現できる能力が求められます。しかしそれらの能力は、従来の受け身の教育だけで身に付けることはできません。ここからは、VUCA時代に求められる教育と人材について解説します。

 


・柔軟で自律的な思考力

これまでの常識が通用しないVUCA時代を生き抜くためには、柔軟で自律的な思考力が必要です。テクノロジーは日々進歩し、医師や弁護士のような職業ですらAIに置き換えられることも考えられます。

AIとの共存生活に対応できるよう、疑問に対して自ら考える力を育てる教育が大切です。VUCA時代には物事の本質を見極める力や、自ら課題を設定し解決できる力を持つ人材が求められるでしょう。

 


・新しい知識の吸収力

新しいテクノロジーの誕生や発展は、VUCA状況を作り出す要因の1つです。企業が存続するうえでは、破壊的イノベーション(これまでのルールをくつがえすような技術革新)が危機を救うチャンスになります。

革新をもたらすためには、新しい知識を幅広く吸収する力が必要です。ICT教育を足掛かりとし、テクノロジーを理解し活用していけるような人材が求められています。

 


・あらゆる状況への対応力

VUCA時代では、あらゆる状況へ臨機応変に対応できる力が必要です。職業や人生設計も不確実で予測できない社会では、「どこでも通用する」人間的能力が欠かせません。

変動する社会では、自分の立場が流動化したときに果断に決断し、新しい道を切り開いていける人材が求められます。

 


・他者との関わりを深める力

VUCA時代を生き抜くためには、他者との関わりも非常に重要になってきます。
SNS
の普及で、リアルに顔を会わさずとも世界中の人々と交流できる時代になりました。

対面が基本だった今までの社会から、大きく様変わりしています。
そんなコミュニケーションのあり方が大きく変わる中だからこそ、
人と人とのコミュニケーション・つながりが非常に重要になっています。

コロナ禍で、対面で家族以外の人と会えない時期が続いた時、
心の支えとなったのはオンライン上のコミュニティでした。
人はいつの時代でも、一人では生きていくことはできません。

対面だろうとオンラインだろうと、人と人とのコミュニケーション・つながりから生み出される価値は、これからの時代、ますます欠かすことができないものになるでしょう。

 

【まとめ】

VUCA時代(変化が激しく、複雑で予測困難な時代)において、環境の変化への柔軟な対応や誰も答えを持たない仕事への挑戦、革新的な発想へ転換するための能力が求められています。

また、これからの時代は一人ひとりが適切な内容を自ら進んで選び学ぶ『戦略的学習力』と「いかなる環境や境遇に置かれても、どこでも活躍するためのスキル」が重要になります 

弊社、株式会社NEQLIASではこのVUCA時代において、
教職員や会社員、学生へ向けた研修プログラムを行なっております。

優秀なファシリテーターが在籍しておりますので、
皆様に合わせたオーダーメイドのプログラムでしっかりと身につけて頂きます。

ご興味がありましたらお気軽にお問い合わせください。

 

 

コラム2022年12月2日

自走する組織をつくるには?

「自ら考え行動できるメンバーを育成してほしい」という企業の要望は年々増えています。同時に“メンバーを育てられるリーダー育成”の要望も増えています。マネジメントと人材育成を両立できる管理職が足りないなかで、指示待ちや受け身のメンバーが増えており、頭を悩ませる企業が多いのです。

 

【「今」必要とされる人とは】

今、社会で働く会社員は二極化が進んでいます。
二極化の一方は、市場や企業から求められている人たちです。
この人たちは様々な機会を得ることができ、高い報酬を手にしています。
もう一方は、希望する機会や報酬を手にすることができていない人たちです。
その差はどうして生まれてしまうのでしょうか?

その違いを生み出している要因の一つは、「自ら考え行動する働き方ができているかどうか?」です。
今は「自ら考え行動できる人」が必要とされる時代です。
その様な社員を一人でも多く増やさなければ企業は成長することができません。
簡単ではありませんが、「自ら考え行動できる人」を教育しなければなりません。

 

【自ら考え行動する社員がいる組織の特徴】

組織づくりの観点から、「自ら考え行動する」社員について考えていきます。
自ら考え行動する社員が多い組織の特徴、そして、自ら考え行動する社員を増やす組織づくりのポイントをお伝えします。

 

・心理的安全性が高い


心理的安全性とは、「年齢、性別、役職などに関係なく自分の思っていることを言いやすい状態」「ありのままの自分をさらけ出せる状態」「自分の失敗を開示したり、初歩的な質問などを躊躇なくできたりする状態」を指します。

心理的安全性という言葉が有名になったのは、Googleの調査がきっかけです。Google社内で生産性の高い組織の特徴を調査した結果、生産性に最も影響を与える要素は、他のどの要素よりもチームの心理的安全性であるという発表です。

心理的安全性がなぜ「自ら考え行動する」社員の育成につながるのでしょうか。心理的安全性が高い状態は、社内での経験や職位が低い若手も気兼ねなく提案や発言ができる状態です。また、的外れな意見やアイデアを出しても批判されることはない、また、価値ある失敗に対しては寛容に受け入れてくれると信じられる状態です。当然、このような心理的安全性が高い状態は「自ら考え行動する」ことにつながります。 

一方で、日本企業の多くは心理的安全性の高い組織が少ないといわれています。昔から「余計なことはするな」「上がやることを見て覚えろ」といった形で、自分で考えることを抑制されていました。そういう組織で「自ら考え行動する」社員が増えることはありません。

 

・チャレンジを歓迎する環境がある

チャレンジを歓迎するという点も重要です。そもそも挑戦できる環境がなければ、自ら考えて行動する機会を活用することは難しいでしょう。最近こそ挑戦を奨励する日本企業も増えていますが、現場レベルで見るとまだまだ少ないのが現状です。

チャレンジといっても新規事業のような大きな話である必要はありません。トヨタ自動車の「カイゼン」のような日々の業務をルーティン化させず、生産性向上に向けて変化に取り組むといったことも立派なチャレンジです。

しかし、チャレンジして失敗した際、「だから勝手なことをするなと言ったんだ」と怒る上司がいたら、現場の若手や新人は“挑戦を歓迎されている”とは思わないでしょう。チャレンジを歓迎する環境作りは容易ではありませんが、実現すれば若手のモチベーション向上につながり、「自ら考え行動する」社員を育成することにつながります。

 

・フィードバックする文化がある


フィードバックする文化も「自ら考え行動する」社員の育成につながります。部下が自ら考え行動したとき、どういった影響をおよぼしたのか、どのような成果や貢献につながったかをフィードバックすることが次の思考や行動につながります。

また、うまくいかなかった際も単に結果を叱責するのではなく「何が原因だったか」「何を学べるか」「もう一回やるならどうするか」などをフィードバックすることが、成功要因や失敗要因を自ら考え、次に挑戦しようという気持ちにつながります。

 

【「自ら考え行動する」社員を育てる組織作りのポイント】

社員が自ら考え行動する組織作りはどうすれば実現できるでしょうか。
組織作りは文化作りともいわれます。重要なことは経営陣のメッセージや上司の理解です。

経営陣が組織作りに関してコミットし、心理的安全性やチャレンジする風土を社員に意識させて浸透させるようにします。
そして上司が経営陣のメッセージを理解して、メンバーに対してチャレンジを歓迎しフィードバックを行ないます。
大事なことは、言葉と行動がともなっていることです。
組織作りには時間がかかりますが、あきらめずに取り組むことが大切です。

 

【まとめ】

「自ら考え行動できる人」は、その人自身の能力ではありません。

学生時代からの経験でそれができる人はわずかです。日本の教育制度的にもこのような考えを持って育っているとは言い難い環境です。

このような人が入社するまで待つ、探すと言うのは途方も無い苦労だと思います。

結論としては、企業が人材を「育てる」方が早いです。

社内体制の見直しから、適任者を見つけ、社内育成に取り組む方がコストも時間も何倍も削減できることは間違いありません。

ですが、実際に内政化を行うには基準となる存在が必要です。

弊社、株式会社NEQLIASではそういった人材を育てることができる研修プログラムを取り扱っております。

優秀なファシリテーターが在籍しておりますので、基礎から実用的な部分までしっかりとお伝えし、スムーズな内政化を行なっていけるよう研修を行います。

ご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

 

コラム2022年11月29日

自分の「当たり前」が、他人の「当たり前」とは限らない

『~~という時には,〇〇して当たり前なのに,できないあの人はおかしい』

皆様はこのような感覚を持ったことはありますか。

 

【一度はこんな経験が…】
例えば,挨拶をしたのに返してもらえなかった時に,
『人に挨拶をされたら返すのが当たり前なのに,それもできないなんておかしな人。』、


他者に対して何か善いことをしたのにお礼を言ってもらえなかった時に,
『人に何かお世話になったらお礼を言うのが当たり前なのに,この人はなんて常識がないなー。』や、

 

他者に迷惑をかけられたのに謝ってもらえなかった時に,
『人に迷惑をかけたら謝るのが当たり前なのに,謝りもしないなんて考えれない。』

など、一度はどこかで思ったことがある方もいるかもしれません。
上記のような感覚を持ったことがある方に考えていただきたいのですが、

“あなたが思った「当たり前」は,間違いなく相手にとっても「当たり前」であり,絶対的な「原則」といえるものかどうか”

ということです。

 

【当たり前と言えるための「原則」】

「原則」は,以下の4つの要素を持っています(※スティーブン・R・コヴィー著「7つの習慣」参照)

 ① 普遍的である(万国共通である)

 ② 不変的である(時代を選ばない)

 ③ 自明の理である(考えなくても感覚的に理解できる)

 ④ 意思に関係なく作用する

つまり「原則」とは、国や人種に関係なく、時代を問わず共通するもので、感覚的に誰しもが理解できるようなものであり、尚且つ誰の意思にも関係なく作用する法則を指します。

典型的な「原則」の例として、『嘘つきよりも正直者の方が信用される』というものがあります。

これは、嘘つきの方が他人に信用されやすい国や人種などはまずないのではないでしょうか。(①普遍性)

また、昔であれば嘘つきの方が信用された、ということも考えにくいです。(②不変性)

嘘つきよりも正直者の方が信用されるということは、考えなくても感覚的に理解できるかと思います。(③自明の理)

どれだけ「嘘つきの方が信用される」と人に信じ込ませようと思っても、そのような人の意思に関係なく、誰しもが「正直者の方が信用できる」と考えると思います。(④意思に関係なく作用する)

このような「原則」に当てはまることについて、それに反することがあったとすれば、それは相手の異常を疑っても良いと思います。

考える限り、非常に低い確率の例外的な状況と言えます。

上記の例でいえば,「嘘つきの方が絶対に信用できる!」と心から信じている人がいたような場合です。

これは,むしろ「なぜ?」と思うべきです。

 

では,このような「原則」に該当しない事柄の場合はどうでしょう。
それでも相手の感覚や反応を「異常である」と断言することはできますか。 

正直、それはとても危険な行為であり,お勧めできません。

「原則」に該当しない事柄であるということは、

・ 国や人種等によって変わりうる考え方(≠普遍性)

・ 時代によって変わりうる感覚(≠不変性)

・ 必ずしも誰しもにとって感覚的に理解できるものではない(≠自明の理)

・ 誰かの意思によって作用しない可能性がある(≠意思に関係なく作用する)

と言えるものだからです。

つまり,「原則」に該当しない事柄の場合,あなたにとって「当たり前」のことであっても,他者にとって「当たり前」といえるとは限らないわけです。

全てを決めつけることは難しいと思います。

上記の内容を瞬間的に考えて発言をしたり行動をしたりしている人は本当に限られた人たちかも知れません。

 

【価値観の違いであること】

今回お伝えしたいのは、「価値観が違う」ということです。

この価値観の違いというものを前提に他者と接するようにすると、

多くの人間関係の悩みはかなり軽減されるはずと我々は考えています。

夫の価値観、妻の価値観、子供の価値観、親の価値観、
兄弟(姉妹)の価値観、友人の価値観、上司の価値観、
部下の価値観、同僚の価値観、顧客の価値観、などなど、

みんなそれぞれ異なります。そして,そこに優劣はありません。

 あくまでも、自分の理想の価値観を追い求めている中で、自分の価値観である「当たり前」を他者に求めてしまい、攻撃的な発言や、相手を罵倒するような発言をしてしまうこともあります。

ですが、改めて考えて頂くと「価値観の違いがある」というのは皆様もお分かりいただけるのではないでしょうか。

自分の当たり前という価値観を押し付けて他者を責めてしまう。

そこから生まれる感情や行動は負の連鎖としかなりません。

今一度、ご自身の価値観を他人へ押し付けていないか、考えてみてください。

周囲にもそういった人がいないか、もしいるのであればこの記事をお勧めしてください。

 

【まとめ】

自分の当たり前は他人の当たり前とは違います。

それは価値観の違いです。ですが、この価値観の違いに気づき、他人の価値観を理解できるようになると、自分の価値観も広がり様々なことにチャレンジできるようになります。

私自身も、仕事をする上で経験のない業種から知らない価値観を教わることで、自分の能力の向上を身を持って体感しております。

しかし、誰もがこの価値観の違いに気づき、理解し吸収できるものではありません。

実際、私も当時の企業へ来ていたファシリテーターによる研修で理解することができました。


弊社、株式会社NEQLIASには優秀なファシリテーターが在籍しております。

当たり前とは何か、どう他人の価値観を理解するのか、そしてどのように自身の能力へと変換していくのかなど、研修プログラムを通じてお伝えしております。

もしご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

 

 

 

 

コラム2022年11月25日

「チームワーク」と「チームビルディング」の違い

チームワークとチームビルディング、これは似ているような、違うような2つの用語です。組織の問題が起こっている場合、この違いによって発生している場合があるかもしれません。この違いについてお伝えさせていただきたいと思います。

 

【「チームワーク」と「チームビルディング」とは】

・チームワーク

「チームワーク(teamwork)とは集団に属しているメンバーが同じ目標を達成するために行う作業、協力、意識、行動など。」(Wikipediaより参照)

チームワークは、集団が同じ目標を達成するために行う行為をさす言葉のようです。

 

・チームビルディング

チームビルディングとは、メンバーの能力や特性を活かし、
高いパフォーマンスを上げるチームを作る取り組みをいいます。
組織全体の生産性を上げるうえでチームビルディングは不可欠な要素です。 

より良いチームにするための研修やワーク、日常業務でのコミュニケーションなども含めて、「チームビルディング」と呼ぶことがあります。

チームワークとの違いですが、イメージで言えば

「チームワークは単なる共同作業、もしくは個人の弱点を補う事に対して、チームビルディングは個人の強みを活かしてチームを創り上げる事」というイメージがあります。

 

「チームビルディング」を効果的に行うためには、段階を経ることが重要です。

「タックマンモデル」は、チームの状態を5段階に分類し、次の段階に移行するためには、どのような施策が求められるのかを明確にしたモデルです。

心理学者のタックマンが提唱したモデルであり、チームビルディングを体現するための有名な理論です。

各段階の概要については、過去のコラムにて解説しております。
↓↓↓
https://neqlias.net/
チームが進化する瞬間〜タッグマンモデル〜/

 

【チームビルディングのメリット】
チームビルディングによって得られる効果やメリットを、あらためて紹介します。
代表的なものは、以下の3つです。 

①コミュニケーションの活性化

共同作業やワーク、イベントなどを通じて、コミュニケーションが活発になります。やりとりがスムーズだと情報共有がしやすくなり、メンバー同士で共通認識を持てるようになるのがメリットです。

②モチベーションの向上

ビジョンの共有や目的の明確化により、目標達成へ向かって、モチベーション高く行動していけるようになります。また、コミュニケーションの活性化により、チームに一体感が生まれ、メンバーの士気が高まります。 

③アイデアが生まれやすくなる

コミュニケーションが円滑に進み、関係性が深まることで、チームでの議論が活発になります。新しいアイデアやイノベーションが生まれやすい組織になるといったメリットがあります。

 

【チームビルディングを成功させるためのポイント】
それでは実際に「どうやってチームビルディングを進めていくか」説明していきます。
チームのパフォーマンス向上や関係の強化を図るには、4つのポイントがあります。

①目標を明確に設定する
はじめに、個人と組織の両方で目標を明確にし、「達成へ向けたマインド」の共有を目指していきます。 

ここで重要となるのは「強制的な目標にしない」ということです。個々人が主体性を持って行動する機能期と違い、形成期ではモチベーション管理が非常に難しいからです。無理にやらされているように感じると、メンバーの士気は下がり、結果的にチームとして機能しなくなる可能性があります。 

②個々の役割を明確にする
次に、メンバー個々の役割分担を明確にし、それぞれの担当領域をチーム内で共有します。 

この時期はタックマンモデルにおいて形成期にあたり、何かとリーダー任せになることが多いです。メンバーは不安を抱えている状態のため、的確な指示がなければチームがまとまりません。

しかし、個々の役割を明確にすることによって、各自が自分のやるべきことを認識できるようになります。今、何をすべきかが明確になるだけで、リーダーの指示を待たずとも、主体的に動けるようになっていきます。

③チーム内で発生した問題や課題を特定して解決策を探す
起きた問題を解決することは、チームビルディングにおいて必須の作業です。タックマンモデルの形成期〜散会期において、段階ごとに様々な問題が発生します。

起きた問題は共通課題として認識し、チーム全体で取り組みましょう。 

例えば、形成期ではメンバーが遠慮がちになり、コミュニケーションが上手くいきません。混乱期では、意見のぶつかり合いや衝突がしばしば起こります。リーダーが価値観の多様性を認めることによって、チーム全体にもそれが浸透していきます。

問題解決は、メンバー間の交流を活性化できるほか、論理的思考力の向上にも繋がります。

適切な対処ができるかどうかで、チームとしてのパフォーマンスや生産性が変わると言っても過言ではありません。

④コミュニケーションの「量」と「質」を保つ
チームビルディングにおいては、コミュニケーションの「量」と「質」を十分に保つことも重要です。形成期ではコミュニケーションの「量」を高め、混乱期に入ると「質」を重視することで、チームを最良の状態に維持します。 

関係が構築できていれば、こまめな情報共有や相互のサポートも可能です。メンバー同士の信頼関係が築けることで、目標達成へと向かうことができます。

 

【まとめ】


チームビルディングを成功させた時のメリットはどんな組織においても効果的と言えるのでは無いでしょうか。

学校のクラスや企業の部署単位でも、メンバーのコミュニケーション能力が上がり、様々なアイデアが生まれるのはクラスや企業を成長させる上で最も重要な事だと言えます。

ですが、いきなりこのようなチームビルディングをスタートして必ずしも成功に至るわけではありません。

弊社、株式会社NEQLIASでは優秀なファシリテーターが在籍しており、このチームビルディングも行っております。

成功させるためのポイントをしっかりと抑えて、クライアント様の状況やご要望に応じてプログラムを構成することが可能となりますので、ご興味がありましたらお気軽にお問合せ下さい。

 

 

コラム2022年11月22日

変化する指導者の在り方とスキル

「指導者」という言葉を耳にした際、皆様はどのような指導者を思い浮かべますか?

また、「指導者」を表す言葉としてどのような言葉が思い浮かぶでしょうか?

学校の先生や塾の講師、企業で言うのであれば上司や研修担当者など様々ではないでしょうか。

今回は、「コーチ」・「ティーチャー」・「インストラクター」・「ファシリテーター」の

“指導者”としての違いをお伝えできればと思います。

 

【「コーチ」「ティーチャー」「インストラクター」の違い】

どれも普段さりげなく使う指導者の呼び名ですが、
実は意味を調べていくと教え方のスタイルが違うことに気づきます。

 

・ティーチャー(Teacher)は教える人

Teach(教える)はTeacher=先生など使われる通り「教える人」という意味を持ちます。
教えるという意味に含まれるのは”知識や技術を伝えて身につけさせる”ということです。
教科書の内容を分かりやすく伝える先生が良い例ですが、特定の知識を伝えるというイメージが強い職業で使われます。 

例えば、サッカーというスポーツが“どういうもの”で、“何を使って”“どう行うのか”など、

ルールを一から教える人というはこの「ティーチャー」にあたります。

 

・インストラクター(Instructor)は技術などを指導する人

インストラクション(Instraction)が”指示する”という意味を持ちます。
具体的にこのように動いてください、というように文字通り”指し示す”ということです。

ですから指示によって相手を動かすというニュアンスが含まれるので、スポーツ指導者に最も多く使われる呼称ではないでしょうか?ゴルフインストラクターの他にも、ヨガインストラクターや、パソコンインストラクターなど、お手本を示してその動きを真似てもらうような指導スタイルによく使われるイメージがあります。

インストラクターは、英語でも日本語でも同じで、なにかを指導する人ということです。
指導をすることが前提のため、インストラクターは、特定の分野の知識があること、
特定分野の技術があることが求められます。

例えば、サッカーのボールの蹴り方や基本ポジションの取り方、各ポジションでの必要な動き方などを指導する人にあたります。

 

・コーチ(Coach)は導く

コーチですが、語源は「乗り物」で目的地まで運ぶ(導く)という意味で指導者に使われている言葉です。
相手の目的地を知る(カウンセリング)から始まり、常に相手の動機(行動の意味付け)を行いながら指導するスタイルです。
なので、あまり理論や意見を押しつけず、相手が達成したい目標や方法で達成できることをサポートするという意味を持っているように思います。

 例えば、サッカーにおける戦術やチームに合った練習プランの構築、「勝利」というゴールに導くための必要なサポートを行なってくれる人とのことです。

 

【ファシリテーターとは?】
ファシリテーターとは、会議やプロジェクトなどの集団活動がスムーズに進むように支援する行為(ファシリテーション)を、専門的に担当する人を指します。

広義では、「ファシリテーター自身は集団活動に参加せず中立的に活動を支援する立場」という意味になりますが、日本のビジネスシーンでは主に会議やミーティング、研修といった場面で参加者の発言を平等に引き出し、会議をゴールに導く進行役のことをファシリテーターと呼びます。

司会進行役にも似ていますが、司会進行役は段取りやプログラム通りに進めるだけの役割で、参加者の発言を引き出すようなことは求められません。

 

【ファシリテーターの役割】

まず、効率的で有意義な場となるように、議題の検討や参加者の選定、内容の事前説明や資料準備なども必要となります。そして、進行していく中で参加者が意見を出しやすい雰囲気作りに努め、意見の対立が起こった場合には、客観的な立場で双方の意見をバランスよく引き出すように心がけなければなりません。 

立場が異なり、多様な考えを持つ参加者の意見をまとめることは難しいものです。しかしながら、ファシリテーターは客観的な立場で意見を聞き、相反すると思われる意見の中から共通点を見出すことが必要です。そして、参加者から同調を得ながら、徐々に意見を取りまとめて集約し、議論を結論へと導いていきます。 

サッカーで例えると、“ゴール”を決めるには、

まずボールはどう蹴るのが良いのか、どのようにフィールドを動き回るのが良いのか、

各ポジションの選手がどういった位置取りを保つのが良いのかなど、ゴールを決めるために必要な要素を選手同士で話し合わせ、取りまとめる人がファシリテーターの役割となります。

ファシリテーターはあくまでも客観的にそのチームの状況を分析し、必要な課題を出し、選手に解決させることでチーム力の向上をはかります。

 

【ファシリテーターに求められるスキル】

ファシリテーターは会議やプロジェクト、研修などのシーンによって求められるスキルが異なります。どのようなシーンにおいてもファシリテーターとして必須となる2つのスキルを紹介します。

 

・参加者の意見を引き出すスキル

会議の参加者は意見や考えを出し合い、互いの理解や共感を深めてアイディアを広げていくことで、会議の結論に対する納得感を高めることができます。 

そのためファシリテーターには、参加者の意見を引き出す、あるいは受け止めるといった、傾聴・応答・観察・質問といったコミュニケーションスキルが求められます。

たとえば、参加者の意見が曖昧なときには発言の意図をくみ取ってほかの参加者に伝えたり、話が長くなる参加者に対しては簡潔になるように促したり、また、発言が苦手な参加者にも相槌や質問をして発言させたりする対応が望ましいです。

 

・結論に導くスキル

議論すべき点を絞り込んだら、結論に向けて舵取りをします。ファシリテーションでは、全員が納得できる結論を目指します。この時に注意したいのが、異なる意見の対立です。

対立点を明確にしつつ互いの利益を尊重するようにサポートすることで、参加者の結束力は高まり、創造の結論が得られやすくなります。たとえば、ホワイトボードに現状の対立点を書き出し、参加者全員が視覚的に状況を把握できるようにするのもひとつの方法です。

反対に、どちらかの意見だけを採用してしまうと、結論に対して不満が残ってしまい、次回以降の会議に対するモチベーションが下がってしまう人も出てくる可能性があります。

このように対立する意見を融合させ、全員が納得できる形で会議を終わらせるように結論へ導くスキルも、ファシリテーターの必要なスキルといえます。

 

【今後、需要の高まるファシリテーター】

今後、企業だけではなく学校の教育現場やスポーツ指導においても、ファシリテーターとしての役割が求めらてきます。

スポーツ界では、女子サッカーチームの「INAC神戸」もこのファシリテーターを導入し飛躍的に組織力が上がり数々の勝利を収めてきた実績もあります。

業務の効率化や生産性向上のためにも、進行役であるファシリテーターはますます必要となっています。

 

今後、企業だけでなく学校の教育現場やスポーツ指導においても、人の成長をサポートする立場の人に求められるスキルとしてファシリテーションスキルや、コーチングスキルが求められます。

教師や、スポーツの指導者がファシリテーションスキルを習得する事で、育成の幅が広がります。

自分で考えて行動ができる人に育てるための大切な考え方です。

スポーツの世界でも、サッカー指導者のS級ライセンス(プロの監督ができる資格)取得の際にファシリテーターの考え方もレクチャーされます。また、日本代表のチームメンバー招集の際は、普段同じチームとして所属していない選手同士の集まりのため、チームビルディングをするためにファシリテーターがチームビルディングを行っています。

これまでは、ビジネスシーンでの活躍が見られるファシリテーターですが、現在は子どもの成長の分野でも注目度が高まっています。

弊社、株式会社NEQLIASでは優秀なファシリテーターが多く在籍しております。

現在では学校研修から企業研修、リーダー研修やサッカーチームのスポンサーなど幅広いサポートを軸に活動しております。

もし、現状より更なる結果に繋げたいとお考えでしたら、お気軽にお問合せくださいませ。

 

コラム2022年11月19日

アイスブレイクを知ってますか?

近年、オンライン化なども加速していく中でコミュニケーションが深めづらいといった声が聞かれます。

そんなときに活用できるのが”アイスブレイク”です。

アイスブレイクを活用することで、見知らぬもの同士でも互いに話しかける糸口が見つかり、
その後のコミュニケーションの活性剤となります。

 

【アイスブレイクとは】
「アイスブレイク」(ice break)とは、面識のない人同士が集まる場面などで初対面の緊張感を和らげ、
お互いに打ち解けるきっかけをつくるための手法、あるいはそれを行う活動時間を指す言葉として使われます。

メンバーの緊張や警戒心を堅い氷に例えて、それを解きほぐすという意味で使われます。

アイスブレイクでは、全員で自己紹介をしたり、たわいもない雑談や簡単なゲームに興じたりすることが多く、
それによって参加者がコミュニケーションをとりやすい雰囲気を醸成し、
集まった目的の達成に積極的に関わってもらえるように促す効果が期待できます。
そのため、職場や学校、ワークショップや歓迎会など、様々な場で活用されています。

 

【アイスブレイクのメリット】

・緊張感がほぐせる

アイスブレイクのゲームに夢中になることで、会議や研修のことを一旦忘れて緊張をほぐすことができます。リラックスして研修に臨めるため、頭がやわらかくなり柔軟な発想ができ、研修効果を高めることにつながります。

 

参加者どうしのコミュニケーションがとれる

通常ならあまり参加者どうしで会話をおこなうことはない研修や会議の場でも、アイスブレイクをおこなうことで気軽にコミュニケーションを取り合うことができます。アイスブレイクで仲良くなったものどうしでレクリエーションをおこなうなど、研修に前向きに取り組むようになるメリットがあります。

 

お互いの理解が深まる

例えばアイスブレイクで自己紹介をおこなうと、出身地が同じ人どうしで盛り上がったり趣味を通じて個人的に親しくなったりと、仕事以外の会話が生まれるきっかけになります。なかなか自分からは発言しにくいことでもゲームの流れがあれば話しやすくなるので、普段は見えないその人の意外な一面を知ることもできます。 

 

・積極的に発言できるようになる

ただ講義をおこなうだけであればなかなか受講側からの発言が生まれませんが、アイスブレイク中に会話をおこない笑顔になることで、知っている人がいない場所でも自然と発言しやすくなります。特定の人が話しがちな会議でも意見が多く出て、新しいアイデアが生まれるなど有意義な発表の場につながります。

 

【「アイスブレイク」3選】

・「他己紹介」と「実は自己紹介」
アイスブレイクの手法の代表的なものに、自己紹介があります。単なる自己紹介だけではなく、「実は」というフレーズを用いて、「実は、私……です」という形式で発表する「実は自己紹介」や、参加者をペアにして、ペアになった相手のことを紹介していく「他己紹介」などの方法もあります。

 

・「ヒーローインタビュー」
「他己紹介」と似ていますが、参加者がペアになって片方がヒーロー、片方がインタビュアーとなって、その人が一番活躍したときのことを聞き出していきます。聞き役のほうは多少大げさなくらいにリアクションをとると、場の雰囲気が盛り上がるでしょう。ヒーローの側は話をしやすくなりますし、聞き手も積極的なコミュニケーションを取ることに抵抗がなくなります。

 

・「チェックイン」
研修などで活用できるのが、5人前後のグループを組んで、1人ずつ短い時間で自己紹介をしていく「チェックイン」という方法です。話す内容は事前に決めておきます。何度も開催される会議の場合は、自己紹介ではなく「最近、気になったこと」などをテーマにすると、話題を出しやすくなります。

なお、チェックインで気をつける点は2つあります。1つ目は、話をしているときは、他の人は質問や突っ込みをせずに黙って聞くこと。2つ目は、話し手をテンポよく切り替えていくことです。この2つを守ることで、話をすることへのプレッシャーを減らし、円滑なコミュニケーションを行う下地ができるのです。

 

【アイスメイクになっていませんか?】

アイスブレイクは場の空気を和ませ、組織内のコミュニケーションを活発化するための方法です。明確に目的を定め、成果を得るためにも、以下の点に注意して実施しましょう。

 

・目的を明確にする
アイスブレイクの目的がはっきりしていないと、ただの雑談の場になりかねません。
むしろ「アイスメイク」になることも。
「アイスメイク」とは、アイスブレイクとは逆に緊張を高めてしまい、完全に凍りついてしまう状態を指します。
軽い自己紹介の場にしたいのか、互いをより深く知るために行うのか、短時間で緊張を解くために行うのかなど、目的をしっかりと設定した上で実施しましょう。

 

・受講者層にあったアイスブレイクを選ぶ
研修は、学校研修や新入社員研修もあれば、2年目・3年目研修、リーダー研修、管理職研修などさまざまな層を対象としています。受講者が初対面同士の場合もあれば、ある程度知っている場合も考えられます。そのため、受講者層を考えながら、アイスブレイクを選ぶ必要があります。

間違ったアイスブレイクを選んでしまうと、スタート時点からアイスメイクとなってしまい、その後の研修の効果も格段に下がってしまいます。

 

・時間を決めておく
アイスブレイクが楽しくてつい長引いてしまうことがあります。しかし、アイスブレイクの本来の目的は、場の緊張をほぐし親睦を深め、研修をスムーズに進行することにあります。あくまで研修のウォームアップにすぎないため、時間をかけ過ぎないように気を付けましょう。

種類の多いアイスブレイク。研修の受講者層や目的を加味して、よりよい手法を選ぶようにしましょう。

 

【まとめ】
アイスブレイクをしっかりと取り入れることで、緊張をほぐして参加者同士のチーム意識を促進するだけでなく、生徒や社員に「新たな気づき」を与えるきっかけにもなります。
参加者に合ったアイスブレイクを選んで、有意義な研修・会議を実現しましょう。

また、このような研修においては牽引するファシリテーターの存在は必須となります。


弊社、株式会社NEQLIASでは優秀なファシリテーターが在籍しております。
多くの学校様や企業様に研修をしてきた実績がありますので、ご興味がありましたらお気軽にお問合せください。

 

コラム2022年11月15日

「チーム」と「グループ」の違い、わかりますか?

「チーム」と「グループ」という2つの単語を並べてみたとき、多くの方はほぼ同じ意味だと感じるかもしれません。しかし、「人が集まった様子」を意味するこの2つの単語は大きな違いがあるのです。

今回は、チームとグループの違いを説明していきながら、チームとして仕事をするときに陥りがちな問題点や「良いチーム」を築き運営するためのコツをご紹介したいと思います。

 

【チームとグループの違い】

・チーム

チームの概念は、スポーツにおける集団競技をイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。

スポーツにおけるチームは、「勝利」という目標を達成するために、
共通の戦術・戦略に基づいて、メンバーはそれぞれの役割と責任を全うしようとします。

つまりチームとは、共通の目標・目的を達成するために、メンバーが協働する集団です。
チームでのビジネスは、メンバーがお互いにサポートしあい、共同作業によって進めていくものと言えますね。

 

・グループ

グループの概念は、動物の「群れ」をイメージすると分かりやすいと思います。

「羊の群れ」には、協力関係や共通の目標は存在しないでしょう。
それぞれの羊が「生存」という目的のために、単独で活動している状態です。

グループとは複数の人が集まり、集団を構成している状態そのものを指します。ある特徴や要素で分類されることはあっても、共通の目標や理念は存在しないのがグループの概念です。

 

【チームとグループそれぞれのメリット】

・チームのメリット

チームで物事・仕事を進めるメリットは、相乗効果による生産性と問題解決力の向上が挙げられます。

チームの相乗効果は、メンバーがそれぞれの足りない部分を補いあったり、問題解決に向け協力しあったりすることで生まれます。相乗効果により、「1+1=2」ではなく「3」や「4」の結果を生むような生産性の向上が期待できるでしょう。

また、問題が生じた際も、複数の頭で協力しながら解決策を考えられます。「三人寄れば文殊の知恵」のことわざの通り、良い知恵が出てきます。結果としてスピーディーな解決が図られ、問題解決力が向上するのです。

 

・グループのメリット

グループで物事・仕事を進めるメリットは、効率アップと個人の成長を促せる点にあります。

グループでは、個人の責任として成果を追求するため、仕事の効率が高まります。特に、専門性の高い特殊な業務を、同時進行でおこなうようなケースには適しているようです。

また、仕事の目標と達成の責任が個人単位で明確になるため、個人の成長を促しやすい点もメリットです。個人単位で成果を求めるため、スキル向上をはじめとした努力の方向性も分かりやすいでしょう。

自分磨きに熱心な人物ほど、短期間で飛躍的な成長を遂げるのではないでしょうか。

 

【チームが機能不全に陥る原因は?】

ビジネス目標達成のために人を集めて作られた「チーム」なのに、うまく機能していないと感じる機会もあるかもしれません。

なぜそのような状態に陥るのか原因と考えられるものを確認してみましょう。

 

共通の目標を把握しておらず、それを常時意識できていない

チームは、目標や目的達成のために集まった人員です。そのようなチームの人員が、共通であるはずの目的・目標をよく理解していない状態のままでは、十分な協力体制を築くことができません。 

また、目標や目的を理解はできていても、それに対する意識が散漫になったり、欠如させたりする状況を放っておくことも、チームを機能させない要因となり得ます。

 

・各人員の役割を明確にできていない

チームワーク(チームで取り組む仕事)において真っ先に決めることは、各メンバーの役割です。どれだけ目標を意識していても、役割分担を初めにきちんと行わない状態のまま作業を始めてしまうと無駄が多くなり、目標へ早くたどり着けません。

 

・熱意や意欲、互いの称賛の意思に欠けている

各メンバーに目標への熱意や高いモチベーションがない状態では、チームとして質の良い共同作業はできません。また、メンバー間で褒め合う場や対話の場がなく、険悪だったり弛緩していたりする雰囲気ではまとまりも生まれないでしょう。

 

【良いチームとして運営するために】

チームのリーダーが強く目標を意識し、それをメンバー全員が理解できるよう明示することが大切です。

また、役割分担をはっきりさせ、メンバーが役割に忠実に動けるように、各業務のマニュアルを作っておくことも効果的です。

さらには会議ではなく、各メンバーの価値観を共有するための「話し合い」の機会を設けることも、良質なチームワークを生み出します。指示・命令ではなく、横のつながりを意識した意思疎通を図ることで「各個人の共通認識としての課題や問題点」を洗い出し、目標の再確認や振り返りにつなげていくことが大切です。

弊社、株式会社NEQLIASではこのようなチームリーダーを育成する研修プログラムを行なっております。

優秀なファシリテーターが在籍しておりますので、チームリーダーを育成し社内での内政化ができるように一度ご検討されてみてはいかがでしょうか。

 

 

コラム2022年11月10日

チームが進化する瞬間〜タックマンモデル〜

学校のクラス形成や会社組織を持続的に成長させるため、チームビルディングを重要視する学校・企業が増加傾向にあります。
組織は「人」の集まりですが、単に「人」を集めただけではチームとしては有効に機能しません。
成果をあげるチームになるためには、メンバー同士が前向きな協力関係を築きながら、相乗効果を生むチームビルディングが必要です。

 

【タックマンモデルとは】

タックマンモデルとは、心理学者のブルース. W. タックマンが1965年に提唱した、
チームビルディングにおける4つの発展段階です。

タックマンは、チームには、

・形成期(Forming
・混乱期(Storming
・統一期(Norming
・機能期(Performing
という、4つの発展段階があることを示し、その過程について明らかにしました。

 

【タックマンモデルにおける4つのステージ】

ここでは各ステージについて具体的にどのような段階なのか説明するとともに、
それぞれの段階においてどのようなチーム形成や組織運営をするのが望ましいかを記述したいと思います。

 

・ステージ1|形成期(Forming)

形成期(Forming)は、チームが結成されたばかりの初期段階を指します。この段階では、メンバーがお互いの人となりや能力・考え方・価値観などを把握していないため、不安や緊張感・ぎこちなさが生じがちです。

そのため、まずはリーダーがチーム全体の目標やそれぞれのメンバーの役割を早期に決定し、目標が達成された際の成功イメージをメンバー全員が共有できるようにすることが重要です。

また相互理解を深めるために、飲み会や交流会を開催して雑談する機会を増やしたり、チームとしての目標を確かめ合ったりすることも有効となります。

 

・ステージ2|混乱期(Storming)

チームでの活動を進めていくうちに、個々の仕事の進め方や考え方における違いが徐々に明確になってきます。そこで意見の衝突が発生し、軋轢が生まれるようになるのが混乱期(Storming)です。

この段階に達した時、飲み会で雑談などをすることは逆効果となります。まずはお互いの認識をすり合わせることが重要なため、お互いが納得行くまで話し合いを続けることが重要です。

また、混乱期においてリーダーはより良い立ち回りをするよう心掛けることが求められます。それぞれのメンバーの仕事に対する考え方・価値観・方針などを可能な限り話して共有してもらい、それをもとに個別にアドバイスすることがチームでの活動を円滑にする助けとなるのです。

 

・ステージ3|統一期(Norming)

仕事の進め方や考え方に関する意見の食い違いを乗り越え、メンバー全員が共通の目標や役割を持てるようになった段階が統一期(Norming)です。

ここまで来ると、各メンバーが自身の能力を最大限に発揮し、他のメンバーの考え方を受け入れられる状態になっています。普段から活発な議論が行われるようになるため、多少の意見の食い違いがあっても自然に解決する場合が多くなります。

重要なのは間違った方向に進まないようにすることです。いくらメンバー全員が同じ方向を向いていても、正しい方向に進まなければ目標は達成できません。リーダーは日頃の議論の内容をしっかりと把握した上で、必要な時には軌道修正を行うことが求められます。

 

・ステージ4|機能期(Performing)

チームが組織として機能し、成功体験を積めるようになる時期が機能期(Performing)です。各メンバーは自身の役割を正しく認識し、互いの個性を認め合いながら自信を持って活動するため、次々と成果を出すことができます。

統一期まではリーダーがアドバイスや軌道修正などを行う必要がありましたが、機能期ではそれまでリーダーが担っていた役割をメンバー自身が果たすことが可能です。

その中でリーダーは、機能期を可能な限り長く持続させることが求められます。細かい指示出しやアドバイスをしようとせず、逆にメンバーが働きすぎで心身を疲労させることのないようリフレッシュを促すことが重要です。

 

・今は、5段階とも言われているので…
散会期(Adjourning

タックマンが提唱しているのは4段階までなので、軽くご紹介させていただきます。
1977
年に新たに1段階を加え、現在では5段階の発展順序であるともされています。

どのようなチームでも、未来永劫活動を続けるわけではありません。目的を達成できたり、時間の制約を受けたりするとやがて解散となります。この時期が散会期(Adjourning)です。

形成期〜機能期の間で各メンバーはスキルを向上させてきたため、そのスキルを別の活動・チームでの仕事で活かす時が来たということでもあります。

 

【タックマンモデルを利用し成功した事例】

タックマンモデルにおける4段階のモデルとチームの役割についてご説明しましたが、実際どのようにしてこのモデルを活用していくのか、実際にタックマンモデルが当てはまる事例及び、活用された事例をご紹介します。

 

・事例1:サッカーワールドカップ2010年南アフリカ大会

2010年南アフリカ大会に出場した岡田ジャパンは、ベスト16という素晴らしい結果を残すも、20102月に行われた東アジアカップでは、非常にふがいない結果に終わっています。このときチームは形成期から混乱期にかけての非常に不安定な状態だったと言われています。

このような中でも岡田監督は、「本気でベスト4を目指したい」「ベスト4を本気で目指す人とサッカーがしたい」と訴え続け、その後選手たちも、じっくり本音で話し合いのできる機会を設けました。
戦い方に関する議論が出たり、インタビューにおいても選手の口から「自分たちのサッカー」というキーワードが飛び交い始めます。この時期が統一期です。

そして迎えたワールドカップ本番の時期に機能期を迎えます。
これまで負け続きだったチームが、まずカメルーン戦で一勝します。続くオランダ戦では、有効だと思っていた戦術がうまく機能しないと選手同士が気づき、フィールド内で対応しました。これまでには見られない「チームとしての動き」です。そして最後のデンマーク戦ではチームとしての組織力を生かした試合展開をするという結果に。

最終的に機能期を迎えられたのも、混乱期をきっかけに皆が本音での話し合いを行い、同じ方向に向かって動き始めたことが大きな要因だったといえるでしょう。

 

・事例2:公立中学校1年生の事例


この中学校は、2つの小学校から進級した生徒たちが通う学校です。
1年2組では、それぞれの小学校からの生徒が20人ずつで構成されたクラスです。
同じ地域という事で、2つの小学校間での交流はありましたが、
ほとんどが顔と名前が一致しない状態で入学を迎えました。
4月は、互いに緊張していたのか、もめ事はほとんどなく落ち着いたクラスの状況でした。
5月に入り、関係性が構築され徐々にグループができ、仲間外れや、グループ間の対立など人間関係の問題が露呈し始めます。
「混乱期」の状態が顕著に表れます。
現状を踏まえ、担任は、クラスの生徒たちへ問題解決の為のアプローチを試みます。
今、クラスで起こっている状態が担任からどのように見えるか客観的視点で伝えます。
その上で、生徒一人一人がどんなクラスを目指していきたいかの確認をヒヤリングしていきました。個々では、「楽しいクラス」「みんなが仲の良いクラス」「このクラスでよかったと思えるクラス」など前向きな内容が多かった事を伝え、今後生徒一人一人が自分たちのクラスをどうしていきたいかをクラス全員で時間をかけて話し合いました。話し合いでは、クラスの理想の姿を共有し、どうすればそのクラスが実現できるかなどの規範も同時に生まれました。

この後もしばらくの間、問題が発生しましたが、その度に、自分たちの規範に照らし合わせどうだったかという振り返りをするようになりました。
クラスは徐々にまとまりはじめ、7月に入り文化際に向けクラスの出し物を決める事になりました。話し合いをする為のクラスの規範もうまれ様々な意見が飛び交いクラスの雰囲気が良くなり、本音で対話ができるようになってきました。
生徒一人一人の方向性が整いはじめ、同じ目標に向かい始め、「統一期」の段階に達しました。

9月に入り文化祭の準備も本格化しはじめました。クラスが同じ方向に向かい、小さないざこざなども起こりましたがこの段階では、担任の力を使わなくても自分たちの力で解決できる状態にまでなっていました。
文化祭の出し物が大成功し、大きな成果を上げる事ができました。
「機能期」に入り、様々な場面で、結果を出せるクラスへと成長していきました。
関係性が構築されていない4月から徐々にクラスが一つにまとまり、生徒一人一人が自律し、自分たちで行動する習慣もうまれました。まさにチームビルディングができたのです。

【まとめ】

チーム・組織としての成功・パフォーマンスの最大化を目指すためには、それぞれのメンバーにビジョンや自身の役割を認識してもらう必要があります。
タックマンモデルの4段階のステージは、相互理解を深めてもらうことにも最適です。

タックマンモデルをベースにしたチームビルディングの取り組みを学ぶには、
株式会社NEQLIASにお任せください。

優秀なファシリテーターが在籍しており、どのような組織でも習得しておきたい基本的なプログラムをベースに、
各事業者が個別に抱える課題に応じてカスタマイズしたプログラムをご提案しております。
チーム形成にお悩みの学校様及び企業様は、ぜひ弊社の研修プログラムをご検討くださいませ。